食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

みの家

2009-07-14 07:34:09 | 日記
 日韓ワールドカップ開催年だったと思う。


 「今夜、一杯やりましょう」  懇意にしていただいてる昭和大の先生から電話が入った。

 外は白み始めているが、いまだ、うだるような空気の戯れを窓越しに感じとれる

 「みの家、有名ですからネット検索で場所はわかります。7時に。では。」



 1897年創業、深川森下、桜なべの老舗は、どこかのんびりとした雰囲気を備えて遠慮がちにたたずんでいた。

 
 障子戸が開け放された大広間では、皆がうちわをあおいでる。クーラーはなかった。

 汗は、流れるそばから蒸発し、ねっとりとした塩分だけが皮膚についている。

 老舗のプライドだろう。メニューは馬肉のみ。いたってシンプル。「たてがみ」という、たてがみの付け根の部分が特に美味だった。



 全共闘世代の先生は、お酒がはいると決まって、ノスタルジーにしたられ、「三島事件」 「世界同時革命」など、当時の世相を象徴する言葉を口にされた。

 その日も高らかな声が、江戸情緒にとけ込んでいた。



 馬肉は食肉の王様。低カロリー。低脂肪。高たんぱく。

 特にフランスでは馬肉を好んで食する。タルタルステーキも元来、馬肉を使用していた。

 特に馬肉を忌避する国     アメリカ



 老舗の味に、甲乙はあまり関係ないと思う。店に降り積もった歴史を堪能しに行くのだから。