「夏の雨は馬の背を分ける」とはよく落語で聞くことわざ。雨雲がはっきりとした形(積雲)をしていて、そのため雨の降る範囲もはっきりしている。その境にいると、あちらは晴れているのにこちらは急に大雨なんて現象に出くわすことになる。「馬の背」は稜線形なので、その片一方の斜面だけが濡れていて、もう一方は雨が当たっていないという情景を想像しやすい。べつに猫の背でもいいのだが、丸すぎてよく区別がつかないのだろう。猫背だけに・・・。
バカ話していて気がついたが、雨の中、まだグラウンドから金属バットの快音や声援が聞こえてくる。大丈夫か。大雨だぞ。きっと練習とかではなく、少年野球の大会なのだろう。雨を押して続けているということは、公式戦か。
風呂に入ろうと様子を見に行くと、いくつかの少年野球チームが宿泊していることに気がついた。なるほどやはり大会だったんだ。後で調べたら、軟式野球の県大会があって、その予選が行われていたらしい。雨の中お疲れ。選手も大変だけど、応援に来た保護者も大変だ。スポ小父母の会経験者として敬意を表します。
子どもたちをやり過ごして入浴。すっかり暗くなっていた。雨は相変わらず降っている。露天風呂に行くとやや肌寒い。猛暑なのに何だか岩手に入ってから今日はずうっと涼しいまま。浴槽に身を沈めてほっと一息。あれれ、それでもグラウンドが賑やか。
・・・熱心なのは子供なのか大人なのか。答えのでない議論が、そこにあります。
さてあらためて今日のお宿「赤い風車」。
お目当ては大きなラドン岩盤浴と「九州・沖縄うまいものバイキング」。
なぜに岩手で「九州・沖縄」?と思ってしまうが、そこはホレ、岩手県民目線なわけで。県内にいながら南国の料理が楽しめる、という趣向だと理解すればそりゃー楽しいわけで。ところがそこに県外から泊まりに来るもんだから話がややこしく・・・ん、「ひゅうが丼」?「ラフテー」?「日向夏ゼリー」?
難しい話はナシだ。ご飯が呼んでいる。
食事を済ませ、客室でビールを開ける。さっき道の駅で買ってきたビール。岩手のクラフトビールはホップを褒めるべき。キリッと効いていてうまい。防腐剤という役にとどまらず味にも大きく寄与している。利他の精神。さすが賢治のふるさと(そこか?)。もうグラウンドは静かになっていた。雨はどうどうと降りつづけている。
明くる日(8/5)、世間では日曜日という。
昨日の子どもたちが風邪引かなかったか心配。おそらく今日も戦いがあるのだろう。
早めに宿を出る。
すこし雨が残っていたが、昨日ほどひどくない。農道を御所湖方面へ。
雨にうすくけぶる農道が林のあいだをすり抜けて小さな谷の方へおりてゆく。谷にはこじんまりとした橋が掛かっていて、その先はまた登り道になっている。緑や青の色鮮やかな森や山や谷を乗り越えて、まるでおとぎ話のイメージスクロールが浮かんでくる。実際、絵本のような雫石の森たちは、たとえ小雨日和でも十分に美しいということを知った。
やがて木々のあいだから湖らしきものが見えてきて、それが進行方向左手に大きな湖として形成されたことを知る。御所湖だ。
ここからどこへ向かおう。いろいろ案が出たが、花巻に行きたいポイントが集中していることに気がついた。今夜のお宿も花巻だし。
一旦国道に出て、小岩井農場入り口を過ぎて県道16号に左折。すこし紆余曲折すること暫く、突然大きな城壁のような構造物に出会った。え、ナニコレ。
旗を見ると「志波城古代公園」となっている。うわ、すごいトコロに出たぞ。
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