不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

鳴子~鬼首の旅

2011年08月17日 15時00分19秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 鳴子のお湯はアツい。
 ハンパなくアツい。

 秋保の源泉も熱いというが、鳴子のお湯はそんなものではない。

 夏の盛り、暦でいうところの「大暑」。
 標高が高くても暑いものは暑い。外気温計は35度とかいっている。

 この旅では最初っから涼をもとめていなかった。
 ガンガン暑いところを歩きまわり、ひたすら熱い湯につかる。
 これを三日間繰り返す。
 どんなもんだい。

 そうしなければ、子供たちの願望を叶えられないのだから仕方がない。

 初日、午前中は普通に勤務して、午後から荷物をまとめて放菴を出発。
 明るいうちに鳴子の奥にある「中山平温泉」到着。
 チェックインをしてから、近くにブルーベリー農園があると聞き、日が落ちないうちに行ってみることにした。

 坂道をのぼり、細い農道(らしき道)を行き、国道に出て、また農道に入り、踏み切り越えて、橋を渡って、隣のに入り、さらにそこを通り越して、農道をえんえんと走る。
 車とはいえ、けっこう遠いぞ。

 やがて見えてきた農園らしきところ。ああ、これだこれだ。

 そのとき、何かが窓ガラスにゴツンとぶつかってきた。
 お、なんの虫だ?
 速すぎてよくわからない。
 ゴツン。
 また来た。なにかが周囲を飛び回っている。アブにしてはデカくない?

 子供たちにドアを開けないように指示。もしかしてこれは・・・。

 サイドミラーになにかがとまった。
 その瞬間、不安が現実であることに気が付いた。
 「キイロスズメバチだ!」

 おおよそ20~30匹のキイロスズメバチ。それがいっせいに車のまわりをブンブン飛び回り、メチャクチャになってこっちにぶつかってくる。
 なんでーっ、なんでこんなことになっちゃうのー!

 みんなよっぽど虫の居所が悪いらしい。それともこっちの居た所が悪かったのか・・・。

 ・・・やむなく引き返すことにした。

 農道なのでスピードを出すわけにはいかないが、それでもコイツラ振り切らないと2キロくらいは平気で追いかけてくる。ガタガタ道を40~50キロくらいで退却した。

 にもどり、橋を渡って、線路も渡って、国道に出た。そこで公衆浴場を発見。
 スズメバチには凹んだけど、温泉入って気持ちよくなろう!

 というわけで、旅の始まりは温泉からスタートした。

 すこしふにゃふにゃになってお宿に戻る。
 
 ロビーで、やけに視線を感じる。
 見渡すと、ソファーに座っている人々がいっせいにこちらを見ている。
 
 ああ、そうか。
 
 中山平のお宿には東日本大震災の被災者が多く止宿している。
 みんな家を流され、家族を流されたひとたち。そんな人たちを、避難所ではなく、もっと環境の良いところで受け入れようと、中山平温泉が手を挙げたという。
 いま僕たちを眺めている人々がきっとそうなのだろう。
 ようするに、先客さんが僕たちを「被災者でもボラさんでもなさそうだけど、何者だべ?」と訝(いぶか)っているのだ。ここは温の里であるが、同時に疎開地でもあるのだ。

 以前、ここのお宿にコーヒーの提供を申し出たことがある。
 ここはロビーでみんなにコーヒーを振舞っており、そのカウンターには励ましのメッセージがいっぱい書かれたタペストリーが飾られている。そのことが地元の新聞「河北新報」に掲載された。
 記事を読んで、せめておいしいコーヒーでリラックスしてほしい、と思った。

 しかし申し出はやんわりと断られた。
 いささかブシツケだったか・・・。苦笑しつつも僕の関心はそこで途切れた。
 しかしBELAちゃんは、一度ここに来てコーヒーを飲みたい、という願いをもっていた。
 そしてそれを温泉三昧プランの軸にした。
 だから、いまここで僕たちが浴びている多くの視線も、当然の結果といってよい。
 
 その夜も、家族風呂で一浴して、子供たちはさらに奥の露天風呂へと繰り出した。
 熱いのによくやるねぇ・・・。


  
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東日本大震災~The Life Eate... | トップ | 鳴子~鬼首の旅2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

あんなこと、こんなこと、やっちゃいました」カテゴリの最新記事