退職女のアメリカ便り

オーストラリアンシェパード、ジュンタのマミーのアメリカ、セントルイス生活

#970:研究者の資質と有期雇用

2018-01-22 21:26:10 | アメリカ便り
京大IPS細胞研究所で論文の不正が発覚したとのこと。
ここはノーベル賞教授山中伸弥さんが所長を勤める研究所です。
小保方さんのSTAP細胞不正事件以来実験ノートの大切さは知れ渡っていたと思いますが、実際、書いたとしてもその内容がチェックされなかったら意味がない。
今回不正問題を起こした助教のノートはメモ書き程度だったそうな。
そして山中教授自ら、“実験ノートのチェックは厳しくやっていたつもりだったが、気がついたら形骸化していた”と述べているそうです。
私も研究員を27年間大学院の2年間も入れると30年近く、この実験ノートと戦いました。
つまり、いかにノート記入を最小限にとどめるか(めんどくさいから)、濡れたペーパータオルやら、ぐちゃぐちゃになったノートの切れ端に書き込んだデータ、実験方法をかき集め、筋が通るようにするか。

これは本当に性格です。
実験ノートを見ればその人の性格、人格が見て取れます。
私の研究所でもノートブックポリスが見回りに来たり、昼食つきのノートブックサイン会なんていうのを時々やっていましたが、ポリスが来ると隠れ、サイン会はタダでお昼が食べられるけど、もしそんなもんにいって私のノートを“刺身のつま”にされお昼を食べるのもいやだし、ほとんどいったためしがない。
でも、サインがないと新しい実験ノートがもらえないので、私をよく知っているオフィスメートにサインをしてもらってました。
私の性格、人格はどんなのか、これで想像がつくでしょうね。
でも以前も書きましたが、私の研究は不正したら絶対すぐ見つかるという白黒しかない代物で、不正のしようがなかった。
おまけに小心者の私は不正できるほど肝っ玉がすわっていない。

今回の不正で、社説得意の“社会のせいにしよう”的コメント、“期限内に成果をあげなければならない有期雇用の見直しが必要”なんて書いてありました。
私いわく、“すぐ社会のせいにする”。

大学、大学院での教育、さらには教育論理に関する教育が必要とも書いていました。
これは私も賛成です。

不正を行う人は有期雇用あるなしにかかわらず、どんな環境におかれても不正はすると思います。
有期だと、期限が終わる前に成果を出さなくては後の就職に響くという焦りが出てくるでしょうが、それは無期の教授たちにしたって同じことと思います。
論文を発表しなければカッコが悪いとか、サイエンス社会で認められないとか、理由は違うでしょうが。
だから、あちらこちらの無期の大学教授、助教授が不正を犯しているのです。
まともなサイエンティストは不正は絶対しません。
すぐばれるからとは言いません、単にしてはいけないからしないのです。
不正するしないに社会環境もノートブックポリスも関係ないのです。
性格、人格なのです。

ハブグレジュンタのマミー