「もしもし、マタギさん?今年の年越し蕎麦どうします?」
「ああ~、良かった。今年もいつも通りお願いします。」
Y氏からの電話である。
もともとは、同じ職場の同僚だったのだが、諸般の事情により職を辞して、今は蕎麦屋さんになっている。
数年前に暖簾分けをして店主になっているのだが、御存じの通り、コロナ禍の打撃を受けて、かなり苦労したと思う。
しかし、それを乗り越えてここまで来ているんだから偉い。
それは間違いないんだよ。
ただ、気になっていたのが年越しそばの注文。
ここ10年以上は、彼が注文を取るのではなく、こちらから注文して届けてもらう形になっていた。
なんか違うような気がする。
すごく意地悪な話なんだけど、今年は、こちらから連絡を入れるのをやめてみたのだ。
それで注文の依頼が無かったら、自分で作ればいいだけの話でもあるのだ。
そうしたら、こうしてY氏の方から連絡が入ったので、すごくホッとした。
それで、冒頭の「ああ~、良かった!」となった。
で、大晦日の夕方にY氏が届けてくれた蕎麦は、
とっても美味しい冷たい肉蕎麦
年越しに美味しく戴くことができた。
ただ、ちょっと引っかかったのがこの蕎麦を届けに来てくれた時のY氏の言葉。
「CさんもSTさんも、さっき店に買いに来てくれたんですよ。」
C氏もST氏も苦楽を共にしてきた仲間たちだ。
「できれば、この時期、すごく忙しいので、マタギさんもお店に来てくれるとありがたいですね。」
「そうだよね。まあ、ありがとう様な。来年もよろしく。」
そう言ってY氏を送り出した。
はて?
ちょっとモヤモヤしてきた。
来年の年越し、どうする?
言われるままに店に出掛けて蕎麦を買って来れば親切ではあるよな。
でも、これって本当に親切なのか?
やっぱり意地悪な思考なんだけど、Y氏にあぐらをかかせるだけじゃないかという思いが湧いてきたのだ。
こうして今年のように連絡を入れずにいれば、向こうの方から連絡をくれて実際に時間を作って動いてくれたじゃないの。
こっちの方が、公務員を辞めて商売を始めたY氏に対しては、ずっと親切なんじゃないかい?
仕事に向かう姿勢が全然違ってくるはずだよね。
さて、来年の注文をどうするか。
ただ出かけていくだけでは面白くないね。
Y氏にも考えてもらうような声掛けを、1年かけてマタギも考えたいと思いました。
年越し蕎麦は、さすがに、すごく美味しかったです!!
絶対に来年も注文しますよ!!!