「とし子、酒や、酒買うてこい、パソコンデータも飛んだし、部屋も真っ暗や、
わての人生もお先真っ黒や、わては酒飲んで意識無くして寝るんや」
「そ、そんな勝手なことを。基本料金の安さにつられて15アンペアとかいう
中途半端な電気の契約したのもあんたや。家賃の安さにつられて、こんな
2階にあるのに吹きっさらしで玄関が雪で埋まるような屋上ペントハウスみたいな
部屋を借りたんもあんたや、みんな、あんたの自業自得ですさかい」
「ごちゃごちゃ言うんやない、とにかく酒買うてこい、今すぐ、高い酒買うてこい」
「無茶なことを言いなさんな、家にはもうお金がおまへん、『鬼殺し』より
高い酒は買えまへんよってに、水に味の素でも入れて飲んでなはれ」
「とにかく酒買うてこい、玄関が雪で埋まる前にスーパーまで行ってこい」
とし子はひじの抜けた薄いセーターに軍手をしてマイバッグを手にしてスーパーに行った。
しかし、なんたることか、近くのスーパーは大雪のせいで早い時間に閉店していたのだ。
「ここの『鬼殺し』が一番安かったのに。しかたない、坂を越えたところの
大きいスーパーに行くしかないわね」
スキーができそうなほど観測史上最大の雪が積もった坂道を2歩進んでは3歩下がりながら
やっとの思いで酒と高菜漬けを買うことができた。
「あんた、酒買うてきましたで。『鬼殺し』買うたら、その勢いで夫殺しになったらいややさかい
別のお酒にしましたさかい、はよ飲んで寝てくださいな。
明日、雪が止んだら、ちゃんとハローワーク行ってきておくれやす。
あんたの時給が680円でも、うちは我慢しますよってに」
日本は熱帯になるのか、地球は氷河期に入るのか、そんな事を考えながら、空を見上げると、
雪が降ってくるのではなく、自分が夜空に昇っているのではないだろうかと思えた。
きっと両脇を天使が支えてくれているのかもしれないと、薄れゆく意識の中で念仏を唱えた。
わての人生もお先真っ黒や、わては酒飲んで意識無くして寝るんや」
「そ、そんな勝手なことを。基本料金の安さにつられて15アンペアとかいう
中途半端な電気の契約したのもあんたや。家賃の安さにつられて、こんな
2階にあるのに吹きっさらしで玄関が雪で埋まるような屋上ペントハウスみたいな
部屋を借りたんもあんたや、みんな、あんたの自業自得ですさかい」
「ごちゃごちゃ言うんやない、とにかく酒買うてこい、今すぐ、高い酒買うてこい」
「無茶なことを言いなさんな、家にはもうお金がおまへん、『鬼殺し』より
高い酒は買えまへんよってに、水に味の素でも入れて飲んでなはれ」
「とにかく酒買うてこい、玄関が雪で埋まる前にスーパーまで行ってこい」
とし子はひじの抜けた薄いセーターに軍手をしてマイバッグを手にしてスーパーに行った。
しかし、なんたることか、近くのスーパーは大雪のせいで早い時間に閉店していたのだ。
「ここの『鬼殺し』が一番安かったのに。しかたない、坂を越えたところの
大きいスーパーに行くしかないわね」
スキーができそうなほど観測史上最大の雪が積もった坂道を2歩進んでは3歩下がりながら
やっとの思いで酒と高菜漬けを買うことができた。
「あんた、酒買うてきましたで。『鬼殺し』買うたら、その勢いで夫殺しになったらいややさかい
別のお酒にしましたさかい、はよ飲んで寝てくださいな。
明日、雪が止んだら、ちゃんとハローワーク行ってきておくれやす。
あんたの時給が680円でも、うちは我慢しますよってに」
日本は熱帯になるのか、地球は氷河期に入るのか、そんな事を考えながら、空を見上げると、
雪が降ってくるのではなく、自分が夜空に昇っているのではないだろうかと思えた。
きっと両脇を天使が支えてくれているのかもしれないと、薄れゆく意識の中で念仏を唱えた。