河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

ソラリス家族 第4回

2017年08月11日 | シャーリー★ダンの悲劇
ざざざざざーーー ざざざざざーーー

海は不思議だ
太古の昔
繰り返す波が泡を生み出し
その泡の中から生物が生まれたともいわれる
泡から生まれた人魚姫は言葉を無くしたことで人間になり
しかし真実の愛が見つけられずに
泡に戻っていった
この世界を憎しみだらけの言葉にした人間もやがて
この海の泡となって消え去るのだろう

突然、子どもの声がした

「おかあちゃん、ジュースが飲みたいよー」

「がまんしなさい、ここにはお店が無いのよ」

「わ、わかった、アサリ、泣くな
父さんが今買ってきてやるから
門のところに自動販売機があるから
いつものファンタグレープでいいな」

なぜ私は娘の名前を知っているのだ
娘の好みまで知っているのだ
そもそも娘はいつ出現したんだ

「あなた、すみません、その前に
ちょっと背中のジッパーを下ろしてくださらない
何か引っかかったみたいなの」

私は髪を持ち上げたとし子の背中を見た

「おまえは本当は何者なんだ
この首のUSB3.0 TYPE-Cのコネクタは何だ
おまえはロボットなのか」

「私がとし子で無ければ、
それは別の何かなのよ
雨と公園と別の何か
ちょうどあなたにとっての
雨に消えた初恋みたいに」

とし子は昔流行った歌のタイトルを言った
私はまだ夢を見ているのだろうか
夢から覚めたはずが、まだ別の夢の中にるのだろうか

そうだ、こういう時は頬をつねってみるのがいいのだ

私の頬は少しも痛みを感じなかった

・・・続く・・・