二鶴工芸です。
画像は棒霞といって中太の横線を並べて霞状に見せる加工です。
横線を作る場合、手っ取り早い方法は定規を使って線を引く方法です。
しかしながら、厄介なことに生地というのはまっすぐになりにくいものです。
よっぽど加工するときに固定してやらないと定規で線をひいて加工しても着物に仕立て上がった時に結構斜めになってたりします。
私はできるだけ生地の目(織り目)をひらって加工します。
生地というのは織物ですので、必ず縦(経)と横(緯)の織り目があります。
生地は色々種類があり、地紋の入った難しいモノもありますが、横の織り目の見える生地は必ず目をひらうように心がけます。
画像は霞のボカシが入った部分に棒霞を入れる加工の作業前の状態と加工した後の画像です。
マスキングテープを生地に貼ってデザインカッターでテープを切ってめくります。
この時の太さは生地の横糸2本分の太さです。
約1,5mmあるかないかくらい!?
横糸に沿って切っていく作業です。
今回は銀系の砂子加工です。
仕上がった加工の画像ではバランス良く棒霞が入っています。
実はバックの霞のボカシも生地の目をひらって加工されているので
結果、見た目にもバランス良く見えます。
これがバックのボカシが適当に加工されていますと、私が加工する時にいくら横糸をひらっても結果的に見た目、斜めに線が走ったように仕上ってしまいます。
ぱっと見、簡単な加工に見えますし実際そう難しくはないのですが、今回の加工に関してはボカシの加工された職人の腕が良いからです。
着物は複数の職人の手を通って仕上がります。
その中で意思統一ができてないと、後の方に加工する職人がフォローしながら作業をしないといけないです。
人間がやる事なのでヒューマンエラーというのは避けられません。
ヒューマンエラーを見せないようにするのも職人の技術のひとつかもしれませんね。
でもできるならスムーズに作業を進めるのが一番ですけど。
画像の丸いシールは間隔を決めた印です。