半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代 (角川新書)
今の経済システムでいいと思っている人は少ないだろう。お金持ちでまだまだ資産を増やしたくて、そして、税金は取られたくないのでパナマやケイマン諸島で節税してる恥知らずの人間や企業以外は....。しかしながら19世紀半ばから続くこのシステムに変わるシステムは生まれてきていない。アンチテーゼとして巻き起こった共産主義はもろくも崩れ去り、資本主義はより一層悪魔の循環である超資本主義となり、より一層の富の集中が行われている。自然界や人間の体も良い循環が行われずどこかに膿が溜まってしまうと調子が悪くなる。今の「超資本主義」はまさにそれだ。日本ほどこの経済システムの変化に追従し(させられ?)、大きく自身も変化してきたが、日本の持つ本来の倫理性が失われていることに憂う人たちも増えてきている。
この本の著者内山氏は超資本主義の原因をあぶり出し、新しいシステムを「半市場経済」と名付けたイノベーションを提唱している。実際「物や時間の私的所有」を「共有、共創」する若い世代を中心に新しい動きが活発しているケーススタディを取り上げ、そのロジックを解明している。大きな動きではないが、かといって小さい動きではない。やや違う文脈ではあるはポーターの提唱するCSVは修正資本主義として語られ、UnileverやP&G、GEなどのグローバル企業は経営の柱として、社会課題解決とビジネス成果の両立を経営目標(定量目標)に掲げ、実績を出し始めている。
日本でも無印良品などはその代表的な企業で、宣伝広告なしにビジネスを伸ばし、海外進出でも成功を納め出している。共有価値が顧客との間に明確だからであろう。
「志」「共有価値」「縁」などこれからのビジネスのキーワードが満載な一冊である。
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