遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

困ったDNA

2006-09-07 20:20:25 | 大学生活
困った遺伝子を扱ってます。どうもどこかで曲がってるらしくて、PCRがまともにかからないし、上手く増幅できてても泳動結果はとんでもない分子量のところにシグナルが出てきます。面白い遺伝子なのに、扱ってる研究者が少ないわけです・・・。
最初、自力でクローン化しようとしてうまくいかず、これを初めてクローン化したアメリカの研究者に「ちょうだい♪」っていう、メールを出して無視されました。ほとんど諦めていたんですが、最近その遺伝子を使って論文を書いたほかのアメリカの研究者にメールを書いたらすぐにもらえました。その論文ではDNA操作を試験管内でなく細胞内の相同組み替えを使って行ってたので、「変だな?」と思ってたんですが、もらって操作してみて分かりました。ややこしいやつです。

DNAの良いところはその均質性と安定性にあります。均質性というのは、どの遺伝子のDNAでも大きさが同じなら化学的には同じに扱えるということです。そして、安定性というのは、きれいに調製すれば溶液の中で室温でも数年もってしまうということです。「何年ももたねえよ」という人は自身の調製したDNAが汚いと考えて間違いないですよ。ま、通常の仕事にはそこまできれいにするこたぁないんですがね。今回はDNAのくせに物理化学的性質が他と違うので苦労しています。上手くいきゃあ、興味深い仕事になるんだけどな。

さらなる問題はこの難しさを上司や共同研究者に分かってもらえるかです。こっちの方が厄介だったりします。DNA操作なんて簡単だと思ってるでしょうから。

今日のお酒:CHATEAU BUIMBERTEAU LALANDE-DE-POMEROL 2000
コメント
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