遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ストレスと寿命とリスクの話し

2012-04-12 21:05:31 | BIONEWS
うつ病やストレスが「老化の加速」につながる=研究(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) - goo ニュース
ウォールストリートジャーナルの記事です。一般誌ですが、科学に関する記事がひじょうに充実しています。
ヒトをはじめとする大型ほ乳類の寿命の長さは大脳機能と密接に関係しています。最近は精神疾患の研究分野でも細胞レベルや分子レベルで解析が進んでいます。加齢とともに染色体に起こる変化と同じものが大きなストレスやうつ病を経験した人にも起こることがテロメア長を調べることで見いだされているそうです。僕の読まないジャンルの科学誌ばかりなんで、こういう一般誌での紹介記事は助かるなぁ。とりあえず、この記事の大事な部分をピックアップしておきませう。

短くなったテロメアはうつ病や子どもの頃のトラウマ、またほかの心理状態に関係があること

短くなったテロメアがうつ病や、長い間に受けたストレスと関係がある

テロメアの長さは、人がストレスを感じたり、うつになったりした際に大量に分泌される特定のストレスホルモンや炎症性の分子に影響されていると考えられている

性格的特徴である悲観主義がテロメアの短縮化と相互に関係し、ストレスに結びつく免疫システムによる化学物質の分泌を増やした


まあ、テロメアの短縮を防ぐには、おおらかで明るい性格がええようですな。それで長生きっ♪

50年に1億1540万人=認知症患者、ケア不足深刻に―WHO(時事通信) - goo ニュース
上の長寿と脳機能の話しとは逆説的ですが、これもまた事実。ジュネーブの世界保健機関(WHO)によると世界的に長寿化が進んで認知症の患者が激増しているとのこと。10年に推計3560万人だった世界の認知症患者は30年に6570万人、50年には1億1540万人と、20年でほぼ倍増すると予想しています。

日本など先進国は長寿化コスト試算が甘い=IMF

お次ぎはIMFのレポート。先進国には年金制度に一段のリスクヘッジを勧めるべき政府が多く、「遅れれば金融・財政安定に対するリスクが高まり、将来的にずっと大型かつ破壊的な手段が必要になりかねない」という。IMFによると、長寿化のリスクを適切に認識している政府や年金提供者は、公的制度や社会保障制度を含めほとんどなく、計画策定者が寿命を平均3年短く見積もっているのが普通だと指摘。そのため先進国では、1年の国内総生産(GDP)の半分に相当するコストが増える恐れがあるそうな。日本はどうかと言うと・・・一方的に都合のいい甘い推計による恣意的な計算って、我が国政府のお家芸だよね。だめだ・・・orz
いずれ世界的に『長寿リスク』が財政問題の主役に躍り出てくるんでしょう。そして、この問題でも日本は先進国なのだな。
コメント
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