遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

酵母にワーバーグ効果?

2017-11-26 23:22:52 | BIONEWS
今日も時雨れてました。帯状になった雲の隊列が、斜めに流れてくるから降ったり腫れたりと断続的に変化します。あーうっとおしい。
今週 師走にかけ強い寒気 気温急降下 (tenki.jp)
明日明後日は天気がよくなりそうです。気温も上がる。

今朝、大学に行ったらトランスフォーマントがとれていた。何度も試してとれなかったやつなので、何かの間違いかとも思うが、とれたのなら確かめなければいけませぬ。ということで、お仕事がでけた♪
Fructose-1,6-bisphosphate couples glycolytic flux to activation of Ras (NATURE COMMUNICATIONS)
糖質をとると、がんの原因に? 話題を呼んだ研究の「本当の中身」(産經新聞)
日本の新聞にしては珍しくちゃんとした科学記事です。元となったpaperもオープンアクセスなのでここで引用できるようにしておきます。内容はちゃんとした酵母遺伝学っすよ。幸か不幸か酵母もがん細胞の代謝もかじってた者としては、酵母細胞の糖代謝系とRas系信号伝達系の関連はそれそのものとして興味深い研究対象ですが、ワーバーグ効果に直接繋がるようなツイートを流すのはいかがなものかと思う。まあ、科研費の申請書には僕も書いたけど。(笑)
がん細胞の栄養代謝に関しては、もはやワーバーグ効果という古い概念だけで議論できるようなステージにはないです。今分かってるだけでも糖代謝、アミノ酸代謝、脂質代謝、コレステロール生産、ミトコンドリア機能が狂ってる。しかし壊れているのではなく、システマティックに変更されているのだ。しかもがん細胞とがん幹細胞で違う。
ほんで、僕が今日とれたっていうトランスフォーマントはRAS2var19のプラスミドをもったトランスフォーマント。まあ、とれなくても当然という優性変異遺伝子(顕性変異?)だから何かの間違いかもって、わたしゃ警戒しているのです。遺伝屋は細胞を生きるか死ぬかの試練を与えてその機能を調べる。だからこそ、入れた遺伝子が入ったとしても、ほんとにこちらが期待しているような機能を発揮しているかは疑わしい。自分のやってることを疑ってかかるのが遺伝屋の宿命とはいえ、難儀なもんやな。そもそもPDE2でサプレスできると思った増殖がかえって悪くなったから、RAS2var19を使ってみようと思ったんです。

まあ、こんなに実験が楽しいと遊びには行かないよな。www
[ニュース]休日の「外出離れ」顕著に=20代男性、ネット普及で-国交省調査 (NIPPON.COM)
〈以下引用〉
2015年の20代男性の1日の平均移動回数は平日で1.91回、休日で1.24回と、1987年の2.98回、2.31回と比べ大幅に減っていることが21日、国土交通省が発表した全国都市交通特性調査結果で分かった。・・・〈中略〉・・・移動回数は、自宅などから一度も外出しなければ0回、自宅と目的地などを往復すれば2回、途中に立ち寄った場所があれば3回といった方法で数えた。

20代の人は特に休日に外出する率が低かったそうです。記事にある数字をみても僕には深刻な問題にみえません。記事中、「背景には、インターネットやスマートフォンの普及、宅配便の取扱数の増加などで、外出しない若者が増えている」とのことですが、何が悪いんですかね? インターネットやスマートフォンをなくせば若者が外へ出てくると? 20世紀後半というか、昭和の時代の日本人の方がすんごく特殊だったと思うよ。それと同じにならないと変だという方が変だ。彼らに外でお金を使ってほしいならそれだけの収入を与えなければ無理でして、それはきっと重荷になってる世代が現世から去ってからになりそうです。

本日のお酒:YONAYONA ALE + 立山 特別本醸造 + 天狗舞 海の幸にあう純米
コメント
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