JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

高見 順 「如何なる星の下に」

2006-08-25 | BOOK
本棚にひっそりとありました。持ってたんですね。すっかり忘れていました。積読だったようです。

もっともっと高見順の小説を読みたいと思うのです。

しかし、現在文庫本の入手は簡単ではないようです。(ネットがあるのでそんなに難しくないだろうけど)
図書館で全集を借りて読むのが手っ取り早いんでしょうが・・・
当時は現代を生き生きと描く作家であっても、今、この時代に文庫にしても商売成り立たないって事でしょうか。
この作品を戦前の浅草という街(東京ラプソディーでいう「ジャズの浅草」時代ですか?)やそこに生きる芸人たちの資料価値のみで語るべきものではないようです。

色川武大の視点とはまた違った視点。(「あちゃらかぱいッ」にも高見順登場してます。)

作者でもある主人公、倉橋は美佐子に猟奇の気持ちで浅草をブラついているときめつけられ、レビュウの踊り子小柳雅子へ寄せる想いを朝倉に「鯛に食い飽きて鰯を食おうとしている」と思われ、またそれを決して否定できない心情を恥かしがったりしている。
何だかとってもこの雰囲気、好ましい。

北原武夫の解説によると、「高見自身の弱点が、否応なく時代の弱点に、時代の病んだ場所に引き寄せられる。その弱点や病所に愛すら持つ。これは言うまでもなき病者の心理であって・・・」
なあるほど、面白いわけだ。

話がやたらに横道に逸れたり、浅草の町の描写を風俗資料の如く並びたてたり、途中で日記形式になってみたりフワフワした雰囲気がまた好ましい。

浅草のお好み焼き屋「染太郎」が「惚太郎」という名で舞台として多く登場。
倉橋が「あんこてん」のうどん粉で鉄板の上に小柳雅子の名をローマ字で書く。次に日本字で書こうとして胸がキューンと切ない想いに締め付けられる。
名シーンですね。映画でも使われたでしょうね。見てないのでわかりませんが。
池部良だそうで・・・

染太郎のお好み焼き食べに行ってみようかしら。文学散歩ってか!

帯に新潮文庫の復刊第5回配本とある。こういう企画はまたやって欲しい。
挿絵が省略されてしまったのが残念。

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2 コメント

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映画はかなり違います (さすらい日乗)
2006-09-18 07:18:32
1961年に豊田四郎監督で映画化されていますが、内容は完全に変えてあります。脚本八住利雄。当時のテレビ興隆の時代にし、舞台は浅草ではなく、佃島。

軽薄な歌手・植木等、中気になる太神楽の加東大介、最後にはキレテ暴れる三益愛子など、最高に面白い。

なかなか上映されませんが、私は大好き。

昨年「豊田四郎特集」を日本映画専門チャンネルで放送されたとき、友人に録画してもらいました。

池部良、山本富士子、森繁久弥の演技も素晴らしい。
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ありがとうございます (imapon)
2006-09-18 23:16:57
さすらい日乗様、いらっしゃいませ。



へぇ~、舞台は佃島なんですか。キャストも魅力的ですね。是非、機会があったら観てみたいです。でも、ちょっと機会無さそう。

日本映画専門チャンネル、優れものですね。

BSとか契約しないので、快楽亭ブラックのコラムで我慢・・・

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