JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

山田風太郎ミステリー傑作選2-名探偵篇-  「十三角関係」

2008-06-20 | BOOK
読書ペースが上がらない時・・・
そんな時には山風のミステリー

ブログ開設以前に嵌って集中的に読んでいた山田風太郎ミステリー傑作選も、あらかた面白そうな6冊を一気に読んでからピッタリ。
久し振りの傑作選は名探偵篇。
推理小説、ましてや名探偵登場物はあまり好まない(子供の頃には読んでいたけど)のだけれど・・・



荊木歓喜は新宿のボロアパート、チンプン館に住む酔いどれ医者。売春婦の堕胎を専門とし、蓬髪肥満のチンバ、頬には大きな刀傷という怪人物。抜群の推理力の持ち主で、ヤクザや売春婦のみならず、警察から一目置かれている。でも、推理だけして犯人をこっそり見逃す事も・・・

まずは
「チンプン館の殺人」
歓喜先生登場。なんともリズム感の良い文体。講釈読むような感じで・・・

「抱擁殺人」
赤ん坊をさらってむごたらしい整形手術の末、見世物に売り飛ばす。常に哄笑顔の半太郎の純情。

「西条家の通り魔」
精薄の息子に度重なる誘拐の危機。

「女狩」
病院を舞台に連続殺人。暗闇で発狂する女性と、病院の崖下の狂人獣医。

「お女郎村」
脳梅の元女郎の婆さん。家の女郎を買う息子。遊郭不道徳論の女代議士。

「怪等七面相」
七面相の哀しき伴侶選び。

「落日殺人事件」
エノケン(足切断)、三代目沢村田之助(両手両足失う達磨の女形)同様の脱疽で歩く事のできない元警視総監。

「帰去来殺人事件」
早発性痴呆で凶暴化した石黒魚蔵を追って横笛村に入った荊木歓喜は人殺しか?

まさしく異形、妄執のオンパレード!
下衆なネタの中に歓喜先生の人情が・・・

そして長編
「十三角関係」
ヒロポンの取締りと近づく売春防止法・・・精神病院の狂人描写も凄まじく、猟奇殺人の真相は・・・?

他の作品群より比較的謎解き中心(こいつが苦手)になりがちなのは名探偵物なので仕方ないとしても、その世界は単なる探偵小説家でなく幅広く、気が多い浮気男にして天才・山田風太郎の面目躍如。

いやぁ、やっぱりオモロかったワ。

既読のミステリー全集
1.本格篇 「眼中の悪魔」
2.名探偵篇 「十三角関係」
3.サスペンス篇 「夜よりほかに聴くものもなし」
4.悽愴篇 「棺の中の悦楽」
6.ユーモア篇 「天国荘奇譚」
7.セックス&ナンセンス篇 「男性周期律」

残るは5.戦争篇「戦艦陸奥」、9.少年篇「笑う肉仮面」、10.補遺篇「達磨峠の事件」

やはり、入手困難になる前にコンプリートしておくか。

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