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昭和51年刊行の「敗れざる者たち」を今さら読んだのには
今年「魔術師 上・下」を読んで、その読書中、至福の時を過ごせたました。その再現を求めて店頭に積まれた松井浩著「打撃の神髄 -榎本喜八伝-」はいかがなものであろうかといろいろ調べて行くうちに、この本にたどり着いたわけです。
どちらかというと(いや、かなり)文庫本派の私としてはとりあえずこちらから。
沢木耕太郎も初体験。スポーツライターとしても有名だそうで。
古い本でいかがなものかと思いましたが、なんのなんの、イヤー面白かった。
やはり文章がうまいんでしょうね。引き込まれます。第一懐かしいや。
榎本喜八の事を書いた「さらば宝石」は評判通り良かった。
榎本選手、現役時代には間に合っていますが、少し峠を過ぎたあたりでした。
安打製造機として、張本より榎本というイメージは持っていました。
しかし、この作品集の圧巻は「ドランカー〈酔いどれ〉」
ボクシング、輪島功一の柳斉斗リベンジマッチを取材したものです。
熱狂的ボクシング・ファンで無くとも、当時チャンピオン輪島を知る世代ですし、当時、熱狂的な同級生からこのリベンジ・マッチの意味と素晴らしさも聞かされていましたので関根勤が真似をする輪島さんのイメージに捉われる事はありません。
それにしても輪島功一って、こんなにかっこいいボクサーだとは思っていませんでした。
プロ・ボクシングへの美学も素敵だし、沢木耕太郎の筆による脚色を割り引いても
以下のような科白を自然と吐けるかっこ良さ!
「無神経な奴はもっと嫌いだけど、気を使い過ぎるのもいいもんじゃないぜ」クゥー!関根勤の真似の声を連想せずに、あおい輝彦の声を連想してね。
言葉だけじゃ伝わらないかもしれないけど前後を読んでください。
その他にもかっこいい科白があるんですよ。
尚、輪島さんは現在東京新聞夕刊で自伝コラムを連載中だそうで、単行本になるかも知れない。1度、東京新聞を買って読んでみるとしましょう。
他にも遺書が有名(快楽亭ブラック反対車でも使用○祈快気)な円谷幸吉の話「長距離ランナーの遺書」
東京オリンピック、マラソンの記憶は無いのですが
円谷幸吉自殺のニュースは鮮烈に覚えています。
茶の間で親父が「えっー!」と絶句したのを見て
「つぶらやって、怪獣作ったあの人?」と的外れな事を言っていたのを思い出しました。
「イシノヒカル、お前は走った!」
実はシンボリルドルフからアグネスフライト位まで当たらない競馬ファンを続けていた私です。その私が小学生の時、ダービーを知って、その年のダービーの日、朝からずーっとダービーに思いを馳せたというのがイシノヒカルの・・・と言うと上手いのですが残念ながらその1年前のヒカルイマイのダービーでした。
妹にダービーの話を聞かせ、「おれの自転車はヤシマライデン号だ。お前はどれにする?この中で選べ」と言って妹の選んだのが「ハーバーロイヤル号」ダービー出走前、2人で家の近くを走ったりして。ヤシマライデン着外、ハーバーロイヤル2着でギャフン!当時から当たらなかったのね。
馬の名前に興味を持ち半年くらい競馬好きの小学生になっていました。当時ウルトラセブンという条件馬がいたのを覚えています。そんな事はどうでもいい。
どの作品も最後の文章がとても印象的です。クサイとも言えますが。
輪島功一は現在進行密着取材で敗者でなく勝者になってしまいましたが、大丈夫、ちゃんと敗者を描ききっていますので。(柳斉斗じゃないよ)
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それより、ちょっと趣がちがうかもしれないけど、関川夏央の「海峡を越えたホームラン」いいんでしょ。
今頃になって読んでみたいと思うんだけど、なかなか手に入らない。古本屋行かないとだめみたい。
すごく重い内容ですが、好きな本です。
沢木耕太郎さんの本は男らしい本が多くて、良いですよね。
TBさせていただきます
これを機に他の沢木耕太郎の本も読んでみようかと思っていますが、何時になることやら。
とくにリターンマッチでリベンジするところなんざ
前回の試合はこのための「フリ」だったの?って思うくらいでした。ボクシングは好きでタイ、フィリピン、べガス、マカオ、豪州etc...といろんな所で観てきましたよ。
元バックパッカーでしたので沢木さんの「深夜特急」には影響を受けました。
沢木耕太郎、近藤紘一は何か文章がかっこいいんですよね。
うわー世界各地でボクシング観戦。羨ましいですね。
あのころボクシングは好きなスポーツでした。最近はめっきり観なくなっちゃいまして・・・
ブログ友に詳しい方がいらっしゃるので、その方の記事のみが情報源って感じになっちゃいました。
輪島さんは日経連載の自伝が単行本化されているのでずっと読みたいと思ってるんですが・・・