ラピュタ阿佐ヶ谷 「愛と官能のプログラム・ピクチュア 日活ロマンポルノ名作選」より、これがラスト。結局12本。
傑作と誉れの高いこの作品。やっと観る事ができました。結構良くかかっている作品なんですけどね。
凡その内容やポイントは充分に情報として知っていましたが百聞は一見にしかず。
劇場で観れて本当に良かった。
今回の特集でほとんどその存在にまいってしまった芹明香。
ここでは芹明香と宮下順子という2人の女優の対比について・・・
この作品は芹明香のためというか彼女抜きには成り立たないような所があります。それだけドヤ街で根無し草、ゴム人形のような生活を否定するでも肯定するでもなく、幼い頃からしたたかに春を売って生きていく生き様がピッタリと嵌っている。
物語のサイドストーリーとして登場するのが宮下順子。男の横領のため他所から流れ着いたまだまだ初心なOL娼婦。
エロ度という点で比較的評価の低い作品ですが、どうしてどうして、宮下順子と高橋明のカラミは絶品。
対するトメのほうは、仕事と割り切り、冒頭の絵沢萌子の科白にもある通りまさしく「股を広げる」行為でしかない。ところが、客とのこの無味な行為にも不思議な温かみを感じてしまう。それは精薄の弟サネオとの慈愛に満ちた母性を見ちゃうからかもしれない。
この映画が名作である理由の一つにエロなシーンも実に丁寧に作られている事を忘れてはならないと思うのでした。
この2人の女優の対比がとても面白く・・・
いつも気だるい関西弁役のしたたかな役の芹明香の天才ぶりと、いつでもキッチリポルノ女優として演技をしてみせる宮下順子。今回特集の「赤線最後の日」でもその対比は際立っていましたね。
私はふと、「ポルノ界の志ん生と文楽」なんて言葉が浮かんでしまいました。(その例えはいくらなんでもという気もしますが)
この映画は2人だけではありません。
花柳幻舟のメガネ年増のおかん(といっても30半ば)の怪演振りも忘れてはならない。
監督を初めとするスタッフの情熱と才能溢れる俳優たちの力が結集して珠玉の名作が生まれた。奇跡といっても良い作品。また、観たいと思う日活ロマンポルノの傑作。
今回、ラピュタ特集中にかかっていた音楽。これがまたけっこう良いです。
オムニバス,樋口康雄(2006-10-21)
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