JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「道中の点検」

2008-08-13 | 映画(DVD)
下高井戸シネマ「特集 百夜映画祭Ⅱ モーニングショー

「道中の点検」1987年 ソ連 監督:アレクセイ・ゲルマン
ПРОВЕРКА НА ДОРОГАХ

1942年、ドイツ占領下のロシア北西部。ドイツ軍に降伏していた男が脱走、厳しい闘いを続けるパルチザンに参加してきた。軍事委員は銃殺を主張し、その男には常に疑いの目が向けられていたが……。謎の男に対し部隊に渦巻く疑惑と不安をサスペンス・タッチで描きあげたヒューマン・ドラマ。

戦争映画で1942年を舞台にモノクロで撮られているため、勝手に古い映画と思い込んでいましたが1987年というソ連にとって微妙な頃の作品でした。
なんでもソ連では15年間も上映禁止であったとか。

ドイツ軍に捕らえれ一度は敵側に寝返ってドイツ軍に協力したが後悔して自らの罪を償おうとする元ソビエト軍伍長ラザレフ。彼の真意を見抜き信じ汚名を雪がせようとするパルチザン隊長のロコトコフ。裏切り者はあくまで抹殺するという立場の上官ペトシュコフ少佐の3人を中心に物語は進む。
血も涙もない少佐の存在が当局からの上映禁止の理由になっているなだろうけど、見ている者の心を揺り動かす(当時のソ連人でなくノウテンキな日本人でも揺り動かされる)物語自体が問題視されたのでしょう。

「道中の点検」で試される寡黙なラザレフ。彼が汚名を雪ぐために与えられた使命はとてもハード。食料を積んだ列車を奪取する作戦のドンパチ・シーンは戦争映画としての要素も充分に満足させられるハードボイルドシーンだ。

心温かいロコトコフ隊長が自殺を図ったラザレフに対し「国を守るのだ!汚名を雪ぐのだ!」と叱咤するシーンも良い。

でもペトシュコフ少佐が不人情な事を言ったという鉄橋破壊の回顧シーン。鉄橋の下をくぐる船に満載されたソビエト軍の捕虜(多数のエキストラ)の表情を捉えたシーンは圧倒的。
ひょっとするとこのシーンを使いたかったからこの映画を撮ったのではないかと思えるほど。また、このシーンのみでも名作としての価値が不動のものになっていると言える。

貨物駅の監視台上の顔見知りドイツ兵が猥歌で旧友ラザレフを迎える場面も好き。

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