JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「エル・トポ」

2010-10-06 | 映画(DVD)
製作40周年デジタル・リマスター版
「エル・トポ」1970年 メキシコ 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

銃の名手エル・トポ=モグラは、最強のガンマンになるため、息子を置き去りにして砂漠へと旅立つ。エル・トポは、砂漠に暮らす4人の銃のマスターたちを卑劣な手で倒すが、最強であることの無意味さを思い知り・・・。

ミッドナイト・ムービー」でも取り上げられたこのメキシコ発の伝説的カルトムービーをビデオで見たのはもう10数年前か。製作者の意図する事の理解は兎も角、圧倒的な映像の魅力に惹きつけられ、お気に入りのシーンを繰り返し見たことを覚えている。ひょっとしたら通しでの鑑賞はしていないかもしれない。

そのカルトムービーが劇場で鑑賞できる事を知らせるチラシを発見した際には、思わず小さく歓声を挙げてしまったよ。

「フェリーニが撮ったウエスタン、黒沢が撮った宗教映画」とは言いえて妙。
久しぶりに見ると以外なほどにストーリーが単純明快で驚いたんだけど。

5つのパート「冒頭無題、創世記、予言者たち、詩編、黙示録」に別れるが大きく分けると2つ。
砂漠での4人のガンマンとの対決とフリークスの洞窟で蘇ってからの詩編以降。

何故か全裸の子供(ぼかし付き)を連れたエル・トポが山賊が襲撃した後の村にたどり着く。いきなり串刺しだよ。リアリティに欠ける血のりを差し引いても残虐美が冴え渡る。
山賊の首領・大佐の朝の着替え。
置き去りされた息子と修道院の男たち。
砂漠でエロ度を発揮するマラ。

最初の銃のマスター、盲目の行者。弟子は腕の無い男と脚の無い男のコンビ。
マザコンの巨漢ガンマンの作るひご細工。
大量のウサギの死体(本物だそうです)と丸い水溜りに倒れる完全なるマスター。(このシーンがとても強く印象に残っていた)
女ガンマンとマラの決闘とレズビアン・・・

映像だけでなく音の方も印象的。ミツバチの羽音。男と女の声を入れ替える演出。2番目マスターの母は鳥獣の声となる。

後半の詩編以降に入るとますますパワーアップ。
小人の女とエル・トポとの大道芸。
太った娼婦たち。三角に目玉の宗教。ロシアンルーレット・・・
息子との再会。同じく黒装束のガンマンになっている。

ついにトンネルが開通してフリークスたちが町へ降り立つが・・・
絶叫しながら山を下るエル・トポは不死身となるが・・・

宗教的なるものと残虐なるものを融合させた一大ファンタジーを堪能しました。

そしてこの映画思わず笑いたくなるシーンがニ三あるのだけれど劇場ではグッと堪えて大人しく鑑賞。

ところで、最も鍵を握る偉大なる登場人物って、あの虫採り網で銃弾を跳ね返す爺さんだったんだなぁ。

デジタルリマスター版DLP上映でシネスコでなかったのは残念だけど、DVD発売予定は無いのだろうか・・・

ところでこれってノーカットだよね。自分としては一つ鮮明に記憶しているシーンが無かったのだけれど、これは全体の流れからして思い違いだろう。他の作品と混同しているようだ。だとすると「ホーリー・マウンテン」なのか?「ホーリー・マウンテン」は観たという認識は無いのだけれど「エル・トポ」に感銘して立て続けに借りるという事はやりそうである。俄然、確かめたくなるではないか。

メキシコ映画はブニュエルも含めてもっともっと見たい。かなり宝庫なんではないのか。

ヒューマン・トラスト・シネマ渋谷

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