JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「地獄」(1960)

2009-09-20 | 映画(DVD)
「没後25周年 中川信夫レトロスペクティブ」

「地獄」1960年 新東宝 監督:中川信夫

学生の清水(天知茂)は悪魔的な雰囲気をもった学友田村(沼田曜一)のため、悩まされていた。彼には、恩師矢島教授の娘である幸子という婚約者がいた。ある日、幸子の許を訪れ楽しい時を過ごしていたが、田村が来、不快な気持ちにさせられた。田村と自宅に帰る途中、酔漢を轢殺してしまった。清水は良心の呵責と、つきまとう田村の存在に苦悩した・・・

後にリメイクされたのが神代辰巳版の「地獄」(1979年)

こちらはその本家本元。
この作品でもこの世の地獄とあの世の地獄が描かれている。この世の地獄のとんでもなさは甲乙付けがたいところだけど、ユーモア度では中川版かな。

天知茂にとって沼田曜一は厄病神のような存在だが、実はこれは1人の人間の良心と悪の象徴として表現されてんのね。だから、つり橋から落下して死んだかに思った沼田曜一が真っ白い顔でまた現われる。死ぬときは天知茂も死ぬ時って事。

天知茂も周囲でどんどん人が死にます。
轢殺した男の情婦が復讐に現われますが勝手に吊橋から落下。殺意なき殺人の数々はほとんどコント
天知の父親が経営する養老施設天上園では老人たちが腐った魚を食わされ中毒死。
沼田曜一の首を絞め今度こそ殺そうとする天知茂のそのまた首をしめる轢殺男の母親、絞殺3P。

映画半ばで登場人物が全員死に、お待たせしました地獄ツアー。

色彩、美術に工夫を凝らした地獄描写アミューズメントパーク。
身体切り刻まれたり針の山の針が足の甲を突き抜けたり残酷描写が続きますが、なんだか楽しそう。
死んでいるからもう死ぬに死ねない苦痛の連続だけど、やはりこの世の地獄の方が何倍も恐ろしいと感じるのは個人的な死生観にもよるんでしょう。
この映画では何故かラストに極楽を想起させるシーン(永田さんの要望は地獄と極楽を描く事だったらしい)で解脱感のあるラストになっているもんだから、余計地獄の恐ろしさが相殺されている。

さあ、あとは石井輝男版ですね。

シネマート六本木

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ B級映画へ

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「華魁」 | トップ | ウルトラマンナイスVSモモザゴン »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (くり)
2009-09-20 12:35:46
天地茂も沼田曜一も、白い顔で気持ち悪かったですね。これは文芸座地下で観た記憶があります(古い映画館ばかり思い出します)。今おもえばあんな硬い椅子で、よく長時間耐えられたもの。閻魔大王がアラカンではありませんか?リメイク版は原田美枝子が、菩薩のようになるシーンが印象的でした。同じ中川作品の『四谷怪談』に似ています。石井輝男も新東宝ですから、中川組の出身でしょうかね。
返信する
Unknown (imapon)
2009-09-21 00:17:49
そう、閻魔大王はアラカンでした。閻魔メイクでの登場シーンの構図はなかなか味なものがありました。石井輝男版では前田通子が閻魔大王だとか・・・怖い物、見たいですね。
返信する

コメントを投稿

映画(DVD)」カテゴリの最新記事