JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「四畳半物語 娼婦しの」

2012-12-30 | 映画(DVD)
「昭和文豪愛欲大決戦2」

「四畳半物語 娼婦しの」1966年 東映 監督:成沢昌茂

待合の四畳半には、娼婦しのと旗本くずれの客糺が一つ枕に甘い夢を貪っていた。糺はしのの親切にこたえて、美しい紙入れをあたえた。が、これはもともとしののものであった。--しのには情夫の竜吉がいた。竜吉は、しのが女中をしていた昔の知り合いで、しのを売ると、自分は車夫になって、せっせとしのの客をはこんでいた。そして、この紙入れは、竜吉がしのから巻きあげ、糺が竜吉からスリ取ったものだったのだ。しかし、しのはその事実を黙っていた。その夜の糺の親切が、うれしく心にしみたからだ。こうして、しのは竜吉にかくれ糺と逢う瀬を重ねるようになった。しのは、ひたむきに糺に尽した。そうすることによってしの自身も救われるかのように……。

観ようと思っても、なかなかスケジュールの付かなかった本作。けっこう名画座でかかる度合いが多いんですね。3度目の正直で鑑賞。

四畳半襖の下張りを下敷きにした作品とは言えピンクでも無いし、何せ1966年の作品ですから。宮下順子のと違ってこっちは文芸作品のようで、娼婦まで気品がある。それは若かりし三田佳子の美貌のせいかもしれない。

しのというのは実は本名で、娼婦の源氏名はおしげさん。まるで逆のようですね。
「四畳半物語 娼婦しげ」 より「しの」の方が艶があるもんね。

布団に入って待っている客の前室で帯を解く姿。その一挙手が美しい。
やがて本気で惚れる事になる田村高広との初回のやり取り。

気づくと、かなり長回しを多様しているけれど、先だってタル・ベーラの洗礼を受けていただけに、この長目のワン・シーンがしっかりと計算された上の物として、好ましく感じる。狂気の沙汰のタル・ベーラも悪くないがあれは別格。

またもや露口茂が下衆な役。牛太郎上がりの車引き竜吉で、女房おしげの客を連れてくる。
この日は露口祭りの2本でしたな。(併映:女のみづうみ)
コミカルな方面もなかなかイケてます。

娼婦しのの物語ですが、実は脇の野川由美子のうぶな下女からいっぱしの芸者への成長ぶりがサイドで光ってます。
進藤栄太郎に涙ながらにお初を奪われながら腹上死させ、井戸に身を投げようとするんですが、後に「あの時、死ななくて良かった」と・・・
無理やり言いよられた挙句(ここ、ちょいエロ)竜吉も寝とってしまうし、初心な学生さんを誘惑し、振られたり・・・。
果ては田舎出の後輩娘におしろいを塗る手本を見せる様子まで。ご立派。これはまさに野川由美子さんならでは。
浦辺粂子とのバトルもあったりして美味しいです。

その浦辺粂子(腹上死の進藤栄太郎の奥さん)は登場シーンからふるっていて、女将の小暮三実千代との対峙から見ごたえ充分。

このあたり、しのは直接からまないんですがエピソードが優れてるんですね。

最初に申したように淫エロな雰囲気より格調のある感じの本作ですが、ラストでの三田佳子の床入りシーンが唐突にエロさを醸して終わるんですね。

そうそう、微妙なエロさでは、露口茂が熟女女将の小暮実千代を口説く場面というのもありました。

シネマヴェーラ渋谷

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