被差別、路地問題を取り上げ大宅ノンフィクション賞を受賞したという著者がマイノリティーに焦点を当てた小ルポルタージュ集。
虐げられても、貧しくとも、偏見に屈せず、たくましく生きた人たちがいた。哀しい宿命のターザン姉妹、解放同盟に徹底的に弾圧された漫画家、パチプロで生活しながら唯我独尊を貫く元日本代表のアスリート、難病を患いながらもワイセツ裁判を闘った女性、媚態と過激な技で勝負する孤独なストリッパー…、ラストの書き下ろしは何故か時代を遡った初代桂春団治(路地出身でした)の評伝。
社会はなぜ彼らを排除したがるのか?マスメディアが伝えようとしない日本人の生涯を、大宅賞作家が鮮烈に描く。
ほとんど東スポネタのようなターザン姉妹から始まって、どうなる事かと読み続ける楽しき6篇。皆、取り上げる題材が読み手にとっては、もう興味本位そのまま。
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内容の方もマイナースポーツ、やり投げの第一人者・溝口和洋など(これが一番良かったです)見事なスポーツ・ノンフィクションとして確立。
溝口和洋
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血だるま剣法
被差別問題などというと、ちょっと身構えてしまいますが、声高に差別を訴える形でなく淡々と記述するスタンスを取っているようなのも好ましい。
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題材の選択は各編集部から示唆を受けたものだそうで、この人にこんなものを扱わせたらさぞ、面白いだろうという見極めも良かったのか。
残念なのはそれぞれがあまりに短い。もっともっと詳しく掘り下げたものを読みたくなる、知りたくなる事請け合い。
さて、ストリッパー・ヨーコさん。
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ストリップはもう老後の楽しみにしようという事で久しく行っておりません。
ですので、この方のステージも存在も知りませんでした。
花電車というと、どうしても色物扱いをしてしまいますが、この人のステージは一度見ておきたかったですね。ステージ上から「コラッ、『ファイヤー!』言わんかい!」と叱られてみたかった。もう引退してしまったそうです。
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時代とともに変遷していくストリップ界、十数年後はどのような形になっているのでしょう。その時、ヨーコさんのようなプロ魂の踊り子さんに出会えると嬉しいのですが、どうでしょう。ま、後を継いで火を噴く膣圧のツワモノは居ないんだろうな。
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