JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

J.L.ボルヘス・作 鼓直・訳 「伝奇集」

2009-01-20 | BOOK
多分、かなり難解であろうとこれまで敬遠していたボルヘス。

アレックス・コックスの「デス・アンド・コンパス」を観て、読んでみる気が起きた。

思ったとおり、難解。評論、講演の形を取りながら虚構の世界。宗教、哲学的な博識からくる引用はいったいどこからへんが虚実の境なのか・・・
虚構の世界で喜々として遊ぶボルヘスのニヤニヤ笑い顔が浮かんでくる(勝手な想像でしかないけど)と、まったくこの人も仕方のない御仁だと・・・

翻訳本であるが故に尚更難解になっているのか。テイストを味わうなら筒井康隆で良かろうか。
「八岐の園」「工匠集」の2つの短編集から成る。比較的ストーリー性のある「工匠集」の方が読みやすい。

「八岐の園」の中では「バベルの図書館」
難解でよく解らんなぁと読んでいく。ラストの脚注まで読んで痺れる
以下引用
レティシア・アルパレス=デ=トレードは、広大な図書館は無用の長物であるといった。厳密には、普通の版型で、9ポイントもしくわ10ポイントの活字で印刷され、無限に薄いページの無限数からなる「一巻の書物」で充分なはずである。(17世紀はじめにカヴァリエリは、すべての固体は無限数の面の累積であるといった。)この絹の感触の便覧の扱いは楽ではないだろう。表面の1枚のページが同じような別のページに分かれ、信じがたいことに、中心のページには裏がないはずである。

ほら、わけわかんないけどなんかスゴイでしょ。

「工匠集」では「記憶の人、フネス」のバカらしさが面白い。「刀の形」も楽しめる。
「死とコンパス」についてはあらためて読んでみると、アレックス・コックスがこの原作をあのような映画にした事の偉大さを思う。もう一度映画の方も観たい。相互に魅力を引き出しているような・・・

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