JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「肉弾」

2007-04-11 | 映画(DVD)
新文芸座にて『佐藤勝 銀幕の交響楽(シンフォニー) 』出版記念「映画音楽家・佐藤勝と七人の名匠」と題された企画で気になる岡本喜八の2作品を観る。

「音楽の良い映画に駄作無し」なんて言っているけど実は
まったくド素人なもんで知りませんでした。この企画の作品群を見ると佐藤勝という方はかなり凄いんですね。

「肉弾」 1968年 ATG

敗色濃い太平洋戦争末期、魚雷を付けたドラム缶に乗って海を漂い敵船特攻のため待機する「あいつ」(寺田農)の青春。

大谷直子の若い肢体が有名な問題作だけれど、大谷直子だけじゃないですね、この映画。

寺田農がやせこけたインテリ特攻青年を好演。上官から牛の中の豚と呼ばわれ素っ裸に瓶底眼鏡だけで軍事訓練を行う姿もカワユイ。

脇を固める俳優も豪華。
古本屋のじいさん(笠智衆)とばあさん(北林谷栄)
両腕を失った笠智衆の小便の世話をしていると
「兵隊さん、死ぬんじゃないぞ」
女郎屋で初体験すると言うとアドバイスをくれる
「ばあさんが観音様だからワシは今でも生きておる。」
飄々とした科白の中に重みがあり感動があります。

「あいつ」の親父は天本英世。何時如何なる役でも強烈なインパクトは流石ですね。

第2あけぼの楼の女学生うさぎ(大谷直子)と結ばれる有名なシーン以降
砂浜で繰り広げられる哲学的エピソードの連続。(ちょっと長い気もしたが)
中でも「あいつ」を強チンしようとした3人の看護兵。
彼女等は歌いだす。
「出て来い、ミニッツ・マッカーサー!出て来りゃぁ、地獄へ逆落とし!」
この歌,川柳師匠以外の人で聴くのは初めてだ。感動!

それにしても、もう因数分解なんてサッパリ解らないだろうな。まったく解けない。子供にも教えてやれないや。イヤダイヤダ・・・

生きていれば小便することさえ幸せに感じられる。のだ!

昭和43年、若者たちが歓声をあげる海水浴場の沖に未だ漂流していた「あいつ」の変わり果てた姿。
ラストは何ともいえない。戦争で散った無数の人々を思う・・・

そうそう、佐藤勝の音楽はあの頃らしいリリカルなメロディー。「ウルトラQ」や「泣いてたまるか」のあの時代。仲代達也のユーモラスなナレーションとあいまってとても心地よい。

4月10日
池袋 新文芸座

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