JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「100人の子供たちが列車を待っている」

2007-10-29 | 映画(DVD)
CIEN NINOS ESPERANDO UN TREN 1988年
製作:ベアトリス・コンザーレス 監督:イグナシオ・アグエロ

「1895年パリのグラン・カフェで動き出した銀幕の上の列車。映画誕生の代名詞ともいえるリュミエール兄弟の「列車の到着」を、チリのサンチアゴ郊外に住む貧しい子供たちに届けるドキュメンタリー。子供達は週に一回の映画の授業をうける。想像し熟考し創作する喜びに溢れた、理屈抜きに素晴らしい傑作。」

子供の描く絵を見るのがとても好きだ。小学校の授業風景を見るのも好き(自分の子の授業参観はちょっとハラハラするけど)NHK教育の「ようこそ先輩」なんてとっても好きな番組。映画を見て描いた彼等の絵が楽しい。

この映画は貧しいチリの子供達が素敵な表情を見せてくれる。貧しいながらも温かそうな(清潔そうではない)セーターを着込むアンデスの少年少女には個人的に懐かしい思い出と旅先で勇気付けられた恩があるのでなおさら彼等の姿が素敵に見える。

映画制作に興味を持った少年時代を経験した人にとっては一層たまらない映画だろう。私はそれほどでもないけれど昔、父が撮ってくれた8mmに写った自分の映像を思い出したりした。

民主化以前のチリの貧しい子供達は映画を見る機会もなく、創造性を発揮する事ができない。とマリシア先生。パラパラ漫画のようなアニメーションの基本から不思議な回転の映像おもちゃに始まる映画製作講義はどんどん高等な物になって行く。実際この映画授業は受けてみたい。参考に上映される映画もバラエティに富み、チャップリン、ミッキーマウス、デモのドキュメントなどなど。
自分達で実習するテーマとして子供達が選ぶのは「冬」でも「秋」でも「夏休み」でもなく「デモ」だし、いよいよ劇場へ課外授業に出かけるバス内で「チチチ、リリリ、ピノチェト辞めろ」なんて歌っている。ピノチェト独裁末期だ。ヨーロッパ亡命中だった映画監督ミゲル・リティンが変装して祖国に潜入した3年後に作られた映画だ。
当時のチリでは上映禁止になったという噂。
現在のチリとでは全く事情が違う。そんな中Hero-Nのお友だちはどんな暮しをしているのかしら。

映画に対して免疫の無い子供達だから、あんなに目が輝くのか?いや、そんな事は無い。テレビ、DVD、映画、CG、アニメ、幼い頃から豊穣な映像体験を持つ日本の子供だって、映画の原理、始まりについて学べ時はとても楽しそうな表情になるに違いない。Hero-Nが科学館などで見せる態度からも充分に想像できる。
それほど映像の創作という事は魅力的で喜びの多い事なんだ。という事を再認識。

上映時間は60分足らずのドキュメント。
子供たちが劇場に到着して唐突に終わったようにも思うけど、この尺が丁度良い。もう少し長いとだらけそう。


自分たちで書いたコマを長い布に貼り付けフィルムの芋虫を作り行進。映画がフィルムの連続である事を実感する子供達。何やらお祭りのようで楽しそう・・・

シネマヴェーラ渋谷「子供たちの時間」より

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