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「生誕100年記念映画祭 市川崑 光と影の仕草」
「日本橋」1956年 大映 監督:市川崑
1人の男をめぐる2人の美しい芸者・・・
激しくも哀しい情念!
明治の文豪・泉鏡花の代表作のひとつである同名小説を映画化。淡島千景、山本富士子、若尾文子ら当代随一の美人女優が艶やかな芸者姿で競演。女のプライドをかけた激しくも哀しい情念を描いた監督初のカラー作品。
淡島千景の出ている作品は観て損はない。特に本作のように芸者をやらせたら超一級だ。一挙手一投足、しなの作り方、江戸前の切符。これを絶品と言わずして何としよう・・・
淡島千景を観るだけでも価値ありだ。
今の若い女優で誰かこの仕草を完璧コピーしてやろうという根性娘はいないもんかね。そのようなニーズもどんどん減っていくのか?
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芸者お孝は、清葉への対抗意識から清葉が振った男と必ずくっついて見せたり元来、性格はあまり良くないのだろうが、そんな事はどうでも良い。性格に難があるだけに理屈野郎の医学士葛木晋三(品川隆二)に本気で惚れていくあたりがせつない。
怪談風な端唄(?)の調子が見事。あまりの恐さで妹芸者のお千世(若尾文子)が逃げ出した。
若尾文子の芸者はまだ初々しい。みすぼらしい身内の爺さんを恥ずかしがらぬ良い娘で、川口浩ら悪ガキどもに苛められる場面が特に良い。
顔はあどけないが、声質や落ち着いた物言いからは色気が覗く。
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お孝は葛木を失い、失意でまた怪談風の唄をうつろに唄い、暗転。気がふれてしまいます。
市川崑、初の総天然色作品とあって視覚効果が凝ってます。
背景の書割でさえ芸術的。
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清葉は誠実で優しい芸者だが、山本富士子はどうも苦手なもんで・・・
でも今回は良いシーンがあったので見直した。
後半、葛木を失い気がふれてしまうお孝。性悪な叔母が入り込んで悲惨な生活を送っているが・・・
ここで清葉さんが素人の性悪叔母を一喝するシーンがあり、この時の山本富士子がカッコ良かった。
後半の先行きの読めない展開がまた面白い。泉鏡花の原作が良いのか、和田夏十の脚色が良いのか。
ストーカー的な田舎者、赤熊伝吉(柳永二郎)の火事場での活躍からお千世惨殺未遂(お孝と誤認)・・・、そしてまだまだ。
後ろ姿のみのお千世は絶命と思ったがなぁ。殺すには忍びなかったか。
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橋の上で伝吉が葛木にウジ虫食いながら「お孝と切れてくれ」と土下座する件。ここでは、お孝・清葉の女の戦いのみならず、男同士の葛藤もまた見せ場ですね。
とにかく、淡島千景。今まで観た作品ももう一度見直したいと思うほど、それだけ素晴らしかった。
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角川シネマ新宿
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「日本橋」1956年 大映 監督:市川崑
1人の男をめぐる2人の美しい芸者・・・
激しくも哀しい情念!
明治の文豪・泉鏡花の代表作のひとつである同名小説を映画化。淡島千景、山本富士子、若尾文子ら当代随一の美人女優が艶やかな芸者姿で競演。女のプライドをかけた激しくも哀しい情念を描いた監督初のカラー作品。
淡島千景の出ている作品は観て損はない。特に本作のように芸者をやらせたら超一級だ。一挙手一投足、しなの作り方、江戸前の切符。これを絶品と言わずして何としよう・・・
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淡島千景を観るだけでも価値ありだ。
今の若い女優で誰かこの仕草を完璧コピーしてやろうという根性娘はいないもんかね。そのようなニーズもどんどん減っていくのか?
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芸者お孝は、清葉への対抗意識から清葉が振った男と必ずくっついて見せたり元来、性格はあまり良くないのだろうが、そんな事はどうでも良い。性格に難があるだけに理屈野郎の医学士葛木晋三(品川隆二)に本気で惚れていくあたりがせつない。
怪談風な端唄(?)の調子が見事。あまりの恐さで妹芸者のお千世(若尾文子)が逃げ出した。
若尾文子の芸者はまだ初々しい。みすぼらしい身内の爺さんを恥ずかしがらぬ良い娘で、川口浩ら悪ガキどもに苛められる場面が特に良い。
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お孝は葛木を失い、失意でまた怪談風の唄をうつろに唄い、暗転。気がふれてしまいます。
市川崑、初の総天然色作品とあって視覚効果が凝ってます。
背景の書割でさえ芸術的。
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清葉は誠実で優しい芸者だが、山本富士子はどうも苦手なもんで・・・
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でも今回は良いシーンがあったので見直した。
後半、葛木を失い気がふれてしまうお孝。性悪な叔母が入り込んで悲惨な生活を送っているが・・・
ここで清葉さんが素人の性悪叔母を一喝するシーンがあり、この時の山本富士子がカッコ良かった。
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後半の先行きの読めない展開がまた面白い。泉鏡花の原作が良いのか、和田夏十の脚色が良いのか。
ストーカー的な田舎者、赤熊伝吉(柳永二郎)の火事場での活躍からお千世惨殺未遂(お孝と誤認)・・・、そしてまだまだ。
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橋の上で伝吉が葛木にウジ虫食いながら「お孝と切れてくれ」と土下座する件。ここでは、お孝・清葉の女の戦いのみならず、男同士の葛藤もまた見せ場ですね。
とにかく、淡島千景。今まで観た作品ももう一度見直したいと思うほど、それだけ素晴らしかった。
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角川シネマ新宿
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