JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「フィッツカラルド」

2008-05-30 | 映画(DVD)
シネマヴェーラ渋谷「配給:ケイブルホーグ」

「フィッツカラルド」1982年 西ドイツ 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク

19世紀末の南米ペルー。エンリコ・カールソーのオペラに感動したフィッツカラルドは、アマゾン川の上流にオペラハウスを建てようと決意する。そのための資金源として、ジャングルの奥地にゴム園を造ろうとするのだが…。

買い手のないアマゾン奥地の土地を手に入れ、ゴム園を作るため中古の蒸気船を買い取る。急流で激しい瀬のあるウカヤリ川上流の土地には船で直接行くことはできない。パテリア川(ウカヤリ川と並列にならんでい川)に船を進め、ウカヤリ川とバテリア川が最も接近した場所を船で山越えさせるというとんでもない計画。

船、山に登る」を本当にやってしまう。
特撮もCGも使わず船を山越させる場面(まるでドキュメントのよう)を見るだけでも価値のある映画という評判だったけど、そのおバカな行為の背景にはこの映画が嬉しい事に立派なラテンアメリカ映画だって事がある。監督はドイツの人だけれども実にラテンアメリカらしい痴れ者全開の映画だった。

「人生は幻想のようなもので、その奥に夢がある」・・・
と思っているのがフィツカラルドの出会うアマゾン原住民、首刈り族。

彼等の信じる迷信(船を自由に操り山を越える白い神様)を利用してのフィッツカラルドの壮大なプラン。
この首刈り族が族長を中心に統制が取れ実に良く働く。
山越えには犠牲者も出てしまう。喪に服するのか全員2日間も直立で川面を見つめ一言もしゃべらない。

対する蒸気船のフィッツカラルド陣営は船長やオーナーの言う事など聞かない痴れ者揃い(特に厨房長のウィルケケの女好き酔っ払いキャラが強烈)で臆病者の脱落者、脱走者も出る。いかにもラテン・アメリカなのです。首刈族も蒸気船員もまさにG・マルケスの世界の如し。

またこの映画は音楽映画でもある。
こちとらオペラなんて高尚な物はちっとも解らないけれど・・・
冒頭フィッツカラルドがペルーからこボートを漕いでブラジルに有名なオペラ歌手エンリコ・カルーソを聞きに行くのだけれど・・・開演に遅れまいとする姿、なんとしてでも観るのだという姿勢が明確で、いかに彼がオペラの大ファンかという場面。とてもバカバカしくて良い。

蒸気船が太鼓のリズムが鳴り響くも姿の見えない首刈り族の領域に入ると、カルーソの歌声をご自慢の蓄音機で大音声。首刈りパーカッションとオペラの奇妙なコラボレーションが誕生。
その中、蒸気船が静々とジャングルを行くのだ。もう最高っす。

せっかく急流を避けて山越えをしたのに、協力者である首刈り族の本来の目的によって結局蒸気船は急流に飲まれる事となり夢は挫折に終わる。この展開も小気味良い。
そして蒸気船を手放す前に仕込んだフィッツカラルドの案。沢山のボートでオペラスタッフがやって来ての船上オペラ。
燕尾服に葉巻で悦に入るフィッツカラルド。
なんとも映画と音楽の底知れない魅力を感じさせる素敵なエンディングだ。

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2 コメント

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 (とらねこ)
2011-06-25 11:33:20
imaponさん、こんにちは~
本当、とんでもない映画ですね。
小さくまとまった映画とか、文芸派映画が驚いて逃げ出すタイプの映画ですよね。
最後のドヤ顔には思いっきり噴きました!
私は、オペラのシーンは眠くなっちゃったんですよ
その後はパッチリ。この人の特集、結構見ました。でももうちょっと見たかったな。
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Unknown (imapon)
2011-06-27 20:28:50
とらねこさん、こんばんわ。
ホント、驚いて逃げ出しますよね。
私はこういったラテンアメリカ系の痴れた、ホラ話って大好きなんですよね。
あり得ない話をCG無しで本当に山越えしちゃうんですから。
再度観る機会があったら、最後のドヤ顔に気を付けて鑑賞することを忘れないようにせねば・・・
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