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「春よ!映画よ!女たちの饗宴」
「秘録おんな蔵」1968年 大映 監督:森一生
亡父の借財を返すため吉原に入り、遊女となったヒロイン・安田道代の復讐の物語。廓特有の私刑の数々、辛さに耐えかねて自殺する娘、花魁同士の凄まじい決闘──。江戸吉原の風俗、しきたりも興味深い「秘録」シリーズの一本。
これは見ごたえのある佳品。
まず、吉原のさまざまなしきたり風俗。落語からの知識しかない者として、勉強になります。
花魁は何故帯をしっかり締めないのかというと、それは色っぽい理由というわけではないのですね。
ふみあいというのは初めて聞きました。馴染み客を取られた太夫が店と花魁の威信をかけての決闘。
花魁キャットファイトが見られます。
花魁キャットファイトというと幕末太陽伝の思い出しますが、こちらの方が何やら威信がかかっているだけに風格がある。
ふみあいをググってみましたが流石に出てこない。
本当なんでしょうか?琴三味線鉄琴木琴借金の催促にとどまらずタイマンの仕方まで仕込まれるのでしょうか、大変ですね。
おんな蔵で責め立てられ衰弱したまま店に復帰した花魁・琴糸への小夏の優しい気使い。悲号な死を遂げた琴糸に形見となった鈴の音を聴かせる小夏。
この姿をじっと見ていたのが女衒の直。世間のつまはじき物であっても義理に熱い正義漢。命がけで小夏の復讐を助ける事になる。そこに特に恋情という物は無いでありましょう。
復讐成就の源が小夏の優しさという筋書きはかなり好感度大な人情噺。
商品、物、としてしか扱われない籠の鳥の遊女。そこに一石を投じるのも新米の小夏の持っている人としての優しさ。
彼女の言葉から同僚が次々に明日は我が身と琴糸に同情を寄せる。遊女だって人間だ。
一方、悪玉の巳之吉(江守徹)、ふられた復讐に花魁に身を落とした小夏を慰みものにしようと、小夏の仇であるの両国屋隠居を引き合わせる。そりゃあ、あんまりにも浅墓なバカヤロウでしょう。
両国屋隠居も大激怒。
花魁を演じる女優さんたちの魅力ももちろん見所で・・・
個性的な眼で紙一重的な美貌の安田道代は相変わらず素晴らしいし、森一生監督が気の強さと優しさを上手く引き出している感じ。
他に誰太夫の長谷川待子の風格。
琴糸の三木本賀代。幽霊のような衰弱美と縄しばり宙吊りの美しさ、媚びた客引きの姿。客に相手にされない悲しげな表情も魅力的で今回一押し。
男優では若き田村正和の魅力もさることながら、袖の下貰いまくりの岡っ引き、小松方正が意外なほどカッコ良いですよ。
神保町シアター
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「秘録おんな蔵」1968年 大映 監督:森一生
亡父の借財を返すため吉原に入り、遊女となったヒロイン・安田道代の復讐の物語。廓特有の私刑の数々、辛さに耐えかねて自殺する娘、花魁同士の凄まじい決闘──。江戸吉原の風俗、しきたりも興味深い「秘録」シリーズの一本。
これは見ごたえのある佳品。
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まず、吉原のさまざまなしきたり風俗。落語からの知識しかない者として、勉強になります。
花魁は何故帯をしっかり締めないのかというと、それは色っぽい理由というわけではないのですね。
ふみあいというのは初めて聞きました。馴染み客を取られた太夫が店と花魁の威信をかけての決闘。
花魁キャットファイトが見られます。
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花魁キャットファイトというと幕末太陽伝の思い出しますが、こちらの方が何やら威信がかかっているだけに風格がある。
ふみあいをググってみましたが流石に出てこない。
本当なんでしょうか?琴三味線鉄琴木琴借金の催促にとどまらずタイマンの仕方まで仕込まれるのでしょうか、大変ですね。
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おんな蔵で責め立てられ衰弱したまま店に復帰した花魁・琴糸への小夏の優しい気使い。悲号な死を遂げた琴糸に形見となった鈴の音を聴かせる小夏。
この姿をじっと見ていたのが女衒の直。世間のつまはじき物であっても義理に熱い正義漢。命がけで小夏の復讐を助ける事になる。そこに特に恋情という物は無いでありましょう。
復讐成就の源が小夏の優しさという筋書きはかなり好感度大な人情噺。
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商品、物、としてしか扱われない籠の鳥の遊女。そこに一石を投じるのも新米の小夏の持っている人としての優しさ。
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彼女の言葉から同僚が次々に明日は我が身と琴糸に同情を寄せる。遊女だって人間だ。
一方、悪玉の巳之吉(江守徹)、ふられた復讐に花魁に身を落とした小夏を慰みものにしようと、小夏の仇であるの両国屋隠居を引き合わせる。そりゃあ、あんまりにも浅墓なバカヤロウでしょう。
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両国屋隠居も大激怒。
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花魁を演じる女優さんたちの魅力ももちろん見所で・・・
個性的な眼で紙一重的な美貌の安田道代は相変わらず素晴らしいし、森一生監督が気の強さと優しさを上手く引き出している感じ。
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他に誰太夫の長谷川待子の風格。
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琴糸の三木本賀代。幽霊のような衰弱美と縄しばり宙吊りの美しさ、媚びた客引きの姿。客に相手にされない悲しげな表情も魅力的で今回一押し。
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男優では若き田村正和の魅力もさることながら、袖の下貰いまくりの岡っ引き、小松方正が意外なほどカッコ良いですよ。
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神保町シアター
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