現在、中国では、ネットを通じてのデマ、流言の取り締まりに力を入れていて、今日取り上げる“網絡大V”も、関連したニュースから知りました。
○北京の警察当局が捜査の結果、ネット上の有名人、“薛蛮子”は買春行為を行い、且つ乱交パーティーをしていた容疑もあることが明らかになった。
○江蘇省の警察当局は捜査の結果、一連のネット上での恐喝事件を解決。
ネットの有名人達は社会で広範囲に恐喝犯罪の共犯となり得る言動をまき散らしている。
法律及び、公共の秩序や善良な習慣で、ネットでの情報発信の限界の線を引くべきだ。
法律と道徳の最低ラインを守り、ネットの有名人を「煽動者」にするな。
“網絡大V”というのは、今や中国で欠くことのできないソーシャル・メディアとなった微博wei1bo2(マイクロ・ブログ。日本のTwitterに相当)の上で使われる新語で、“粉絲”fen3si1(英語の“Fan”の意味で、音の近い“粉絲”(食品の春雨)を当てる)が、一説に10万人、或いは50万人のファンが付いているブロガーは、微博上でVIPアカウントの待遇になると言われていて、“VIP”のVを採って“大V”と呼ばれているそうです。同様の意味で、“網絡名人”wang3luo4 ming2ren2という言い方もあります。
次に、こうしたネット上でデマが飛び交う現状に対し、当局は取り締まりを強化する方針であり、それについて、次のような論評が放送されました。
○デマを飛ばすことは火遊びである
悪意に他人を誹謗することを、有名になるための近道とし、不法に情報を改竄し、ネット上でしたい放題することは、火遊びである。
人民の名誉を傷つけ、人民の財産の安全を脅かしている。
道徳の最低ラインを踏み超え、更に法律のレッドラインに足を踏み入れている。
火遊びは止めよ、デマを飛ばし、それを広めている者は用心せよ。
当局が、本気でネットの秩序維持に力を入れ、デマ、流言に対し、強い口調で取り締まりを行おうとしていることが分かります。
ところで、冒頭で取り上げた“薛蛮子”は、アメリカ国籍を持っていて、警察当局から自国民逮捕の連絡を受けた領事は職員を派遣し、拘置所に接見に行きますが、これを“探視”tan4shi4と言います。
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注目された薄煕来被告(元・重慶市党書記)への公開審理による裁判が結審し、9月の上旬にも判決が言い渡されるそうです。今回は、央視網絡電視台での裁判を伝えるニュースから、司法用語を抜粋してみたいと思います。
山東省済南市中級人民法院では、最も広い法廷を用意したのですが、112ある傍聴席は、全て空席無く埋まったそうです。
被告人、薄煕来は、収賄罪、横領罪、職権濫用罪の三つの罪状の容疑で告発された。
薄谷開来:故意による殺人罪で、死刑、執行猶予二年を言い渡された。
王立軍:懲役15年の判決が言い渡された。
[注]“緩”は、「時間を遅らせる」の他、「速度が遅くなる、鈍化する」の意味もあります。
例)財政収入増速放緩。 (財政収入の増加が鈍化した)
緩慢増長。 (成長が鈍化する)
被告人は起訴状で告発された犯罪について、陳述を行った。検察、弁護側はそれぞれ被告人に訊問を行った。
検察側は更に総合的な証拠を提示し、当事件の発生から解決に至る経緯、及び被告人、薄煕来は自首、自白をしておらず、検挙し摘発されたいきさつを説明した。
全ての事件の証拠を総合すると、被告人は犯罪を構成したと認定するに十分である。検察は公訴意見書を読み上げた。被告人、薄煕来は、自ら90分間の抗弁を行った。
検察、弁護側双方は、有罪を決定し、刑罰を決める事実、証拠、適用法律等の問題について、意見を述べた。
この記事を書いた記者は、どちらかというと検察の立場に立ち、薄煕来被告の態度について、次のように述べています。マスコミを通じ、心証を悪くし、量刑を重くしたい意図もあるのかもしれません。
大量の確実な証拠が証明する犯罪の事実を、あくまでも認めようとしない。裁判開廷前に自ら書いた供述書まで覆した。このことから、拒んで罪を認めようとしない態度が見てとれた。
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二十四節気er4shisi4 jie2qiの「処暑」chu3shu3も過ぎ、暦の上ではこれから涼しくなってくるはずですが、まだまだ猛暑の続く日々です。体調はだいじょうぶですか?
今回は、「清水の舞台」を中国語でどう説明したらよいか、考えてみたいと思います。
[和訳]
現在の清水寺の本殿と舞台は、江戸時代の1633年に再建されました。本殿と舞台一体で山の斜面に建てられた独特の建築様式で、国宝に指定されています。
清水寺の本殿の前半分は山の斜面から前へ突き出しています。崖の高さは13メートル。直径60-80センチのケヤキの柱、計139本で構成された足場で支えられています。この足場には釘が一本も使われておらず、完全な木造構造です。
足場の上には広さ190平方メートルの舞台があり、舞台の床には410枚のヒノキの板が使われています。舞台の高さは四階建てのビルの高さに相当し、京都市内を一望にできます。
この舞台は本来、清水寺本尊の観音菩薩に芸能を奉納するためのものでした。嘗ては雅楽、能楽、狂言、歌舞伎、相撲などが奉納されてきました。
ところで、清水の舞台は、関西で暮らす私たちにとって、「清水の舞台から飛び降りる」という譬えにも使われ、身近な存在に感じられます。
[和訳]
大きな決心をして物事を行うことを、京都を中心とした日本の関西地区の、とりわけ商売をする人々は、清水寺の舞台に譬え、「清水の舞台から飛び降りる」という言い方をします。これは、この地方の人々の心の中で、清水寺の舞台がたいへん有名であるからで、次第に人口に膾炙するようになりました。
清水の舞台の床はヒノキの板が敷かれています。「ひのき舞台」という言葉も、私たち日本人には、特別な意味を持ちます。
[和訳]
正式な能楽や歌舞伎の舞台は、ヒノキの板の床が敷かれていました。そのため、「ひのき舞台」の本来の意味は、「正式な舞台」ということでした。後に「腕を振るう場所」の喩えとして、自分の能力を発揮できる場所の意味になりました。
こういうように説明してあげると、中国語圏から来られたお客様も、観光された後、より印象に残るのではないでしょうか。
今回はこれで終わります。
尚、全文中国語のプログも公開していますので、そちらもご覧ください。
http://inghosono.blogspot.jp/
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中国網絡電視台をご覧にんったことがありますか?インターネットを通じ、中国の国営TV放送のほとんどの番組がいつでも見れるので、大変便利です。
私はもっぱら、情報収集と語学勉強を兼ね、《新聞聯播》をほぼ毎日見ています。夜7時から30分間の全国ニュースが、
そのまま30分通しても見れますし、ニュースの項目ごとに個別に見ることもできます。個別ニュースの方は、動画画面の下に、アナウンサーが言った内容がそのまま文字で出るので、聞き取れなかった言葉を捜して確認することもできます。是非一度お試しあれ。
今日は、その《新聞聯播》から仕入れた言葉をいくつかご紹介します。
北京で、ファーストフード店の飲料水に入れる氷を作る製氷機の中の氷の検査をしたところ、大手チェーンのものから細菌が検出された、ということで問題になりましたが、一昨日のニュースでは、かなり改善されたようです。
ところで、このニュースの中で、病原菌の用語がいくつか出ていました。
致病菌 zhi4bing4jun1 病原菌
沙門氏菌 sha1men2shi4 jun1 サルモネラ菌
「沙門氏」となっているのは、この病原菌の発見者、ダニエル・サルモンの名前に基づきます。
志賀氏菌 zhi4he4shi4 jun1 赤痢菌
これは、すぐピンときた方もおられるでしょうが、赤痢菌の発見者、志賀潔により、この病原菌の学名が〝Shigella”と付けられていて、中国語もそのものずばり、「志賀氏」となっています。
金黄色葡萄球菌 jin1huang2se4 putaoqiu2 jun1 黄色ブドウ球菌
さて、話題を変えて、昨日のニュースから。
中国は海藻類を食べる習慣が少ないので、風土的にヨード欠乏に陥りやすく、一般的に甲状腺疾患の患者が多いと言われています。現在は、一般に市販されている食塩にヨードが添加されて販売されており、ヨード欠乏の対策にされているようです。
ところが最近、微博などで、ヨードを摂り過ぎると、甲状腺機能障害になる、との投稿がされ、議論の種になっているそうです。
dian3 がヨードです。 dian3 que1fa2 bing4 で、ヨード欠乏症。
次のjia3kang4というのが、今回のニュースで取り上げた、微博の投稿で使われた言葉で、
正確には、〝甲状腺功能kang4進症″ の略。
日本語でも、ほぼそのまま、「甲状腺機能高進症」という言葉があります。
kang4 は、「高い」、「非常に」という意味です。
次の、巴塞杜氏病、すなわちバセドー病も、この「甲状腺機能高進症」の一種です。
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京都の伝統的な町並みや文化を、中国から来られたお客様におのようにご説明したらよいのか、実際に中国語で案内文を作ってみたいと思います。
先ずは、全体的なご紹介。
通りからの外観の説明です。木造の二階建て。入口が通りに面している。屋根の棟の向きが通りと並行(「平入り」という)。そして何よりの特徴が、間口が狭くて奥行きが長いこと。このような構造になったのは、一説に、商家に対し、幕府が間口の幅により租税を徴収したことから、商家の方でもそれに対抗してわざと奥行きのある家を作ったとか(真偽の程は不明)。一般に、通りに面して店を構え、住居はその奥に置き、これらが通り庭でつながっている。
ざっと、このように説明すればよいのではないでしょうか。
次に、外観を特徴づける物の紹介に入りましょう。
1.犬矢来
この軒下に置かれた竹や木の柵は目立ちます。これは軒下が通りを走る車が撥ねる泥や犬のおしっこで汚れるのを防ぐ柵で、通りに直接面して建てられた京町屋ならではの用具。昔は舗装されていない道路が多かったし、もっと埃っぽかったのでしょう。しかも、これは古くなったらこれごと捨てて新しいものに交換できるすぐれもの。
2.虫籠窓
写真の家屋の2階の窓が虫籠窓ですが、防犯の為に格子を嵌めた窓の装飾として、京町屋に一種独特の風格を持たせています。
3.鐘馗(しょうき)さん
鐘馗さんの置物が屋根に乗っている、というのも京都独特。上記の説明でも書きましたが、元々、鐘馗さんは中国の厄除けの神様であったものが、日本に伝わり、定着したもの。
5.バッタリ床几
バッタリ床几に商品を並べたり、夏の夕方は床几を倒して夕涼みをしたりと、古き良き時代の風情が感じられる調度です。