中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

数字を含む成語の特徴

2010年01月17日 | 中国語成語
 中国語の成語には、数字を使ったものが数多くある。前回、成語の対句構造について紹介した際、数量詞の形で成語になっている例は少ないが、数詞は非常に多いと書いた。今回は、その数詞を使った成語の特徴について、紹介してみたい。
内容は、意味からの分類。文法構造。修辞方式の三つである。
尚、下記内容は、中国語WEBサイトの百度知道の数字成語から採らせていただいた。
(http://zhidao.baidu.com/question/82742228.html)

(一)意味からの分類
1. 大多数の成語の中で使われている数字は、本来の数の意味を表さなくなっているが、成語の中では、その数自体が重要な意味を持つものがある。このケースでは、故事に出典があるものが多い。
例:一字之師、二竪為虐、三綱五常、三足鼎立、三元及第、三従四徳、三皇五帝、
三姑六婆、四時八節、四大皆空、四体不勤、五谷不分、五体投地、六神無主、七竅生煙、七擒七縦、八仙過海、九鼎大呂、十悪不赦

● 一字之師 yi1zi4zhi1shi1 詩作で用いる。添削して一文字を直してくれた先生の意味。良い詩はそれを聞いてくれた人の意見で一文字直すことで、もっとすばらしくなることから、そうしてくれた人を“一字師”或いは“一字之師”という。
[出典]《唐詩紀事》:唐代の僧、斉己は詩作が好きで、自分の作った詩を鄭谷に見てもらった。《早梅》という題で、「前村深雪里,昨夜数枝開」と詠んだが、鄭谷は「昨夜数枝開」では時期が早いと言えないとし、‘数’を‘一’に換えた方がよいとした。斉己はこれを聞きたいへん喜んだ。文人たちがそのことを知り、鄭谷は斉己の“一字之師”だと言ったという。
● 二竪為虐 er4shu4wei2nve4 病が身にまとわりつくこと。竪:童、子供のこと。二竪で病魔を指す。虐:侵す
[出典]左丘明《左伝・成公十年》:春秋時代、晋の景公が重病となり、秦国に緩という名の医術のたいへん優れた医者がいると聞き、人をやって来てもらうことにした。緩がまだ到着しない時に、景公はふと夢を見た。夢で二人の童子が彼の傍でこっそりと話をしていた。ひとりが言った。「あの医者がもうすぐやって来る。医術がたいへんすぐれているそうで、私たちは今回は逃げられないのではないかと思う。どこに行って隠れようか。」もうひとりが言った。「心配することはない。私たちは盲の上、膏の下に隠れれば、彼の医術がどんなにすぐれていても、私たちをどうすることもできない。」しばらくして緩が到着し、すぐに宮中に入り、景公の診察をした。緩は景公に言った。「この病はもう治療することができません。病は盲の上、膏の下にあり、灸でも、針でも、薬でも治すことができません。この病は私ではどうしようもありません。」晋の景公はそれを聞いてたいへん驚いた。自分が夢で見たふたりの童子の話を果たして緩は検証したのだ。「あなたの医術は本当に優れている。」そういうと、緩に厚く礼を与え、秦に送り帰した。それからしばらくして景公は亡くなった。ここから、二竪為虐、ということばが生まれたという。
● 三綱五常 san1gang1wu3chang2 三綱:君臣、父子、夫婦の道。五常:人の常に守るべき五つの道徳。通常、仁、義、礼、智、信を指す
● 三足鼎立 san1zu2ding3li4 鼎は三本脚で立っていることから、三つの勢力が並び立つこと。
● 三元及第 san1yuan2ji2di4 科挙の郷試、殿試、会試の全てで首席で合格すること。三元とは、三回の試験のそれぞれの首席合格者の呼び名で、郷試の“解元”、会試の“会元”、殿試の“状元”のこと。
● 三従四徳 san1cong2si4de2 女性が従うべき三つの道と四つの徳目。昔、女性の徳目とされた。三従:家にあっては父に従い、嫁(か)しては夫に従い、夫の死後は子に従う。四徳:婦徳(品徳)、婦言(言葉)、婦容(容姿)、婦功(家事)を指す
● 三皇五帝 san1huang2wu3di4 古代中国の伝説上の三天子、五聖君のこと。三皇:伏羲、燧人、神農。五帝:黄帝、顓頊(せんぎょく)、帝嚳(こく)、唐堯、虞舜。
● 三姑六婆 san1gu1liu4po2 正業以外の職についている女性。これらの女性が出入りすれば、その家にはろくなことがないと言われた。三姑:尼姑(尼)、道姑(道教の尼)、卦姑(八卦見)。六婆:牙婆(周旋屋)、媒婆(仲人)、師婆(巫女)、虔婆(やりてばば)、薬婆(薬売り)、穏婆(産婆)
● 四時八節 si4shi2ba1jie2 四時:春夏秋冬。八節:立春、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至。広く一年の各節季一般のことを指す。
● 四大皆空 si4da4jie1kong1 「四大皆空(くう)なり」。或いは「四大空に帰す」と言い、世界のすべてのものは空虚である、ということ。仏教で、地、水、火、風を宇宙を構成する4元素とし、これを“四大”という。
● 四体不勤 五谷不分 si4ti3bu4qin2 wu3gu3bu4fen1 手足を働かせず、五穀の見分けもつかない。古い読書人をけなしていう。四体:四肢。両手と両足。五谷:五穀。穀類。五穀については、米、麦、豆などいろいろな穀物を当てる
● 五体投地 wu3ti3tou2di4 チベット仏教などの宗教儀礼で、額、両膝、両肘を地につけて、尊者、仏像などを拝する、最高の礼法。また、それから転じて、心から感服すること。
● 六神無主 liu4shen2wu2zhu3 六神:道教でいう心臓、肺臓、肝臓、脾臓、腎臓、胆嚢を支配する六体の神。この六神がいなくなることから、驚きあわてて気が動転すること。
● 七竅生煙 qi1qiao4sheng1yan1 目、耳、鼻、口から煙が出る。憤慨、立腹するさま。
竅:穴のこと。七竅:人の顔にある七つの穴。目、耳、鼻、口の穴の数を合計すると七になることから。そこから、目、耳、鼻、口の総称。
● 七擒七縦qi1qin2qi1zong4 七度捕えて七度逃がす。策略を用いて相手を心から心服させるたとえ。諸葛孔明が南夷の酋長孟獲を七度捕えて七度逃がし、遂に心服させたという故事から。“七縦七擒”ともいう。
● 八仙過海 ba1xian1guo4hai3 普通は、“八仙過海 各顕神通”或いは“八仙過海 各顕其能”と続く。各々独自のやり方がある。各自がそれぞれ腕を振るって競う。
[語源]西王母の誕生祝いの帰りに、酒に酔った八仙が海の中の仙女をからかったところ、仙女は怒って海を荒らし、八仙に戦いを挑んだ。八仙は各自の持ち物で戦い、やっと海を渡ることができたという伝説から。八仙:漢鐘離、張果老、呂洞賓、李鉄拐、韓湘子、藍采和、曹国舅、何仙姑(何仙姑のみ女仙)を指す。めでたいものとしてよく絵画の題材や美術装飾の絵柄となる。
● 九鼎大呂 jiu3dingda4lv3 九鼎:夏の禹は九つの鼎を鋳造し、夏が九州、つまり全中国を治めていることを象徴した。九鼎は夏、商(殷)、周三代の伝国の宝となった。大呂:周代、周の祖先を祭る廟にあった大鐘。話に重みがあり、説得力があることをたとえて言う。
● 十悪不赦 shi2e4bu4she4 極悪非道で許すことができない、重大な犯罪行為をいう。十悪:謀反mou2fan3、謀大逆mou2da4ni4、謀叛mou2pan4、悪逆e4ni4、不道bu4dao4、大不敬da4bu4jing4、不孝bu4xiao4、不睦bu4mu4、不義bu4yi4、内乱nei4luan4を指す

2. 数の多いことを表す。特に“三、五、百、千、万”を含む成語に多い。
例:接二連三、三番五次、三令五申、九死一生、百錬成鋼、百孔千瘡、千方百計、
千夫所指、千頭万緒、万変不離其宗、億万斯年

● 接二連三 jie1er4lian2san1 次から次へと
● 三番五次 san1fan1wu3ci4 何度も何度も。“三番両次”“両次三番”“三番四復”ともいう。
● 三令五申 san1ling4wu3shen1 令:命令する。申:説明する。再三訓戒を与えること。
[出典]《史記・孫子呉起列伝》:“出宮中美女得百八十人,孫子分為二隊……約束即布,乃設鉄鉞,即三令五申之。”春秋時代、孫武が呉王闔閭に召された際、呉王が孫武に、「あなたの書いた兵書を読んだが、その内容を宮中の女性を軍隊に見立てて試してほしい」と言われ、呉王の依頼で宮女百八十人を集め、孫武はそれを二隊に分けた。軍令は既に発布され、当時の刑具の鉄の鉞(まさかり)を運んで来ると、何度も訓戒を与えた(“三令五申”)。そこで、太鼓を打ってまわれ右の号令をかけたが、宮女たちは命令通り行動しないだけでなく、面白がってケラケラと笑った。孫武は、「軍令の説明が不十分で、引き継ぎがうまくできないのは将軍の責任である」と言って、もう一度詳細に説明をした。そうやってまた太鼓を打って今度は左を向けの号令をかけたが、やはり宮女たちは命令を聞かず笑うので、孫武は、「既に引き継ぎはなされたのに命令に従わないのは隊長と兵士の責任である」と言い、隊長の首を刎ねるよう命じた。呉王は、孫武が自分の愛姫を殺そうとしているので、慌てて孫武にやめるように言ったが、孫武は「私は既に将軍となるよう命を受けた。今は軍中にある、軍中では君の命とて受けることはできない」と言い、二人の愛姫の首を刎ねて殺してしまった。その後は、宮女たちは、整然と、より複雑な動きも行い、ふざける者はいなくなった。
● 九死一生 jiu3si3yi1sheng1 九死に一生を得る。危ないところをかろうじて死なずにすむ。
● 百錬成鋼 bai3lian4cheng2gang1 百度鍛えて鋼になる。鍛錬に鍛練を重ねてりっぱな人になるたとえ。
● 百孔千瘡 bai3kong3qian1cang1 穴だらけ傷だらけ。破壊が著しく被害が大きいこと。または、欠陥が多いこと。“千瘡百孔”ともいう
● 千夫所指 qian1fu1suo3zhi3 多くの人に後ろ指を指される(人)
● 千頭万緒 qian1tou2wan4xu4 考えや物事が雑然としている様。事柄が入り乱れている様。
● 万変不離其宗 wan4bian4bu4li2qi2zong1 形式上いろいろに変っても本質は変わらない
● 億万斯年 yi4wan4si1nian2 斯:語気助詞、特に意味は無い。億万年:長い年月を形容。昔は国運が長く続くことを祈るのに用いた。

3. 数の少ないことを表す。特に“一”を含む成語に多い。
例:一絲一毫、一毛不抜、一点一滴、一朝一夕、一針一線、一知半解、一鱗半爪、
三三両両、三言両語、九牛一毛

● 一絲一毫 yi1si1yi1hao2 一分一厘。ごくわずか
● 一毛不抜 yi1mao2bu4ba2 髪の毛一本抜くのさえ惜しむ。ひどくけちであるたとえ。
[語源]孟子・尽心上:抜一毛而利天下、不為也(毛一本抜けば天下の利益になるのにそれをしない)
● 一点一滴 yi1dian3yi1di1 少しずつ
● 一朝一夕 yi1zhao1yi1xi1 一朝一夕。短い日時。わずかな期間。
● 一針一線 yi1zhen1yi1xian4 非常にちっぽけなもの
● 一知半解 yi1zhi1ban4jie3 生半可。生かじり
● 一鱗半爪 yi1lin2ban4zhao3 物事の断片。片鱗。ごくわずかな部分
● 三三両両 san1san1liang3liang3 三々五々
● 三言両語 san1yan2liang3yu3 二言三言。わずかな言葉。
● 九牛一毛 jiu3niu3yi1mao2 九牛の一毛。大多数の中のごく少数。

4. 煩雑、雑然、乱れていることを表す。特に“七、八”を含む成語に多い。
例:七零八落、横七竪八、七上八下、乱七八糟、七手八脚、七嘴八舌、七拼八凑、
雑七雑八、七折八扣、五花八門、五光十色、千頭万緒

● 七零八落 qi1ling2ba1luo4 散り散りばらばらである
● 横七竪八 heng2qi1shu4ba1 ごちゃごちゃに入り乱れている
● 七上八下 qi1shang4ba1xia4 心が乱れる。心を決めかねる
● 乱七八糟 luan4qi1ba1zao1 めちゃくちゃ。ひどく混乱している
● 七手八脚 qi1shou3ba1jiao3 誰もかれもが一度に手を出す。寄ってたかって何かをする
● 七嘴八舌 qi1zui3ba1she2 多くの人が方々から口を出す。口々に言う。
● 七拼八凑 qi1pin1ba1cou4 方々から寄せ集める。やりくり算段して金や物を集める。
● 雑七雑八 za2qi1za2ba1 ごちゃまぜである。ごちゃごちゃしている
● 七折八扣 qi1zhe2ba1kou4 値引きが大きいこと
● 五花八門 wu3hua1ba1men2 (物事が)多種多様で変化に富む
● 五光十色 wu3guang1shi2se4 色とりどりであでやか。

5. 強調する。突出していることを表す。
例:一模一様、一絲一毫、独一無二、一清二楚、一干二浄、一刀両断、一落千丈、
五大三粗、九九帰一、十拿九穏、十全十美、百戦百勝、千真万確、万無一失

● 一模一様 yi1mu2yi1yang4 瓜二つ。よく似ている
● 独一無二 du2yi1wu2er4 唯一無二
● 一清二楚 “清楚”の意味を強めた言い方
● 一干二浄 “干浄”の意味を強めた言い方
● 一刀両断 yi1dao1liang3duan4 一刀両断。断固として古い関係を断ち切る
● 一落千丈 yi1luo4qian1zhang4 急激に落ち込む。がた落ちになる
● 五大三粗 wu3da4san1cu1 体が大きく頑丈。筋骨たくましい
● 九九帰一 jiu3jiu3gui1yi1 とどのつまり。結局のところ。“九九帰原”ともいう。
● 十拿九穏 shi2na2jiu3wen3 十分に自信がある。十分に見込みがある。“十拿九准”ともいう
● 十全十美 shi2quan2shi2mei3 完全無欠である。非の打ち所がない
● 百戦百勝 bai3zhan4bai3sheng4 戦えば必ず勝つ。百戦百勝
● 千真万確 qian1zhen1wan4que4 状況が確かである。確実である

6. さげすみ、けなす意味あいを持つ。特に“三、四”を含む成語の多くがそうである。
例:説三道四、不三不四、低三下四、丢三落四、朝三暮四、推三阻四、顛三倒四、
欺三瞞四、調三窩四
● 説三道四 shuo1san1dao4si4 無責任にむちゃくちゃ言うこと
● 不三不四 bu3san1bu4si4 ろくでもない
● 低三下四 di1san1xia4si4 やたらにぺこぺこする。こびへつらう。卑屈なさま
● 丢三落四 diu1san1la4si4 よく物忘れをする
● 朝三暮四 zhao1san1mu4si4 移り気である。考え方や方針が定まらず、当てにならない
● 推三阻四 tui1san1zu3si4 あれこれ口実を設けて断る。“推三委四” “推三推四”ともいう
● 顛三倒四 dian1san1dao3si4 (することや話すことの)つじつまが合わない。でたらめである
● 欺三瞞四 qi1san1man3si4 何度も隠しごまかす
● 調三窩四 tiao2san1wo1si4 あることないことを告げ口して争いを起こさせる。“調三斡wo4四”ともいう

これらの成語の数字には、多少「良かれ悪しかれ」とか「あれや、これや」という意味を含む。

(二)文法構造
これらの成語を文法構造から見ると、その中の数字は成語の中で次のような文法成分になっている。
1. 主語になっている
例:一了百了、一之謂甚、万無一失;
● 一了百了 yi1liao3bai3liao3 主な事さえ解決すれば、他はそれにつれて解決できる。“一了”はひとつの事が解決する、“百了”は多くのことが解決する、と、それぞれの句が主述構造になっている。
● 一之謂甚 yi1zhi1wei4shen4 一回やったら、たくさんだ。過ちを二度犯してはいけないことのたとえ。“一之”は一回行う、という意味で主述構造。
● 万無一失 wan4wu2yi1shi1 万に一つの失敗もない。絶対に間違いがない。
“万”を主語と考えるか副詞と考えるか悩むところだが、ここでは「多くのケース」という意味の主語と考え、この分類に加えた。

2. 述語になっている
例:言行不一、気象万千、人一己百
● 言行不一 yan2xing2bu4yi1 言うことと行うことが裏腹である。“不一”で一致しない、という意味で述語になっている。
● 気象万千 qi4xiang4wan4qian1 景色や事物が変化に富み、壮観を極める。“万千”:種々様々である。多種多様であるという意味の述語。
● 人一己百 ren2yi1ji3bai3 他人は一回でできるが、自分は百回やらないといけない。他人の百倍の努力でやっと他人に追いつくことができること。“人一” “己百”は何れも主述構造で、“一”“百”はそれぞれ述語。

3. 賓語(目的語)になっている
例:挙一反三、殺一儆百、略知一二
● 挙一反三 ju3yi1fan3san1 一つの事から類推して多くの事を知る。四角な物の一隅を取り上げて教えることで、他の三隅を類推して理解するよう、積極的に自分で考え求めること。
[語源]《論語》:“挙一隅yu2不以三隅反,則不復也”
“挙一” “反三”はそれぞれ動賓構造で、“一”“三”は賓詞
● 殺一儆百(殺一警百)sha1yi1jing3bai3 一人を殺して大勢の見せしめにする。
● 略知一二 lve4zhi1yi1er4 多少は知っている。一二:少しばかり。“一二”は“知”の賓語

4. 定語(限定語。連体修飾語)になっている
例:八面玲瓏、百家争鳴、万象更新
● 八面玲瓏 ba1mian4ling2long2 (人とのつきあいに)如才がない。八方美人。(悪い意味で使われることが多い)
● 百家争鳴 bai3jia1zheng1ming2 百家争鳴。春秋戦国時代、諸子百家が学術論争を重ねたために学術の繁栄をもたらしたこと。
● 万象更新 wan4xiang4geng1xin1 万象が新たになる。万象:あらゆるもの。“春回大地 万象更新”(春が大地を訪れ、万象が新たになる)という使い方をする。

5. 状況語(連用修飾語)になっている
例:耳目一新、勢不両立、三思而行
● 耳目一新 er3mu4yi1xin1 目に触れ耳にするものすべてが新しく変わる、新鮮に感じられる。
● 勢不両立 shi4bu4liang3li4 (敵対するものが)両立できない(情勢にある)。
● 三思而行 san1si1er2xing2 三思ののちに行う。熟考の上実行する

6. 補語になっている
例:低三下四、推三阻四、行百里者半九十
● 行百里者半九十 xing2bai3li3zhe3ban4jiu3shi2 百里を行く者は九十を以て半ばとする

(三)修辞方式
成語の中の数字は一定の修辞作用があり、各種の修辞格(修辞方式)を構成している。
1. 形を真似る
例:十字街頭、八字打開
● 十字街頭 shi2zi4jie1tou2 十字路。四つ辻
● 八字打開 ba1zi4da3kai1 八の字のように両側に広がること。方法はいくらでもあることの形容

2. 誇張する
例:入木三分,垂涎三尺
● 入木三分 ru4mu4san1fen1 字の筆力が力強いことの形容。現在は、議論の深さや観察の鋭さをたとえるのに使われることが多い。[語源]晋の王羲之が板に書いた字の墨が木に深くしみ込んだという故事から。
● 垂涎三尺 chui2xian2san1chi3 喉から手が出る

3. 緊縮句
“緊縮句”というのは、複合句を、接続詞等を省略して結びつけ、それがすきなく結びついているものをいう。
例:三姑六婆、三綱五常
“姑”と“婆”はそれぞれ独立した句であるが、三、六という数詞が入ることで、意味が特定され、“三姑六婆”という複合句の成語が形成されている。

4. 際立たせる。引き立てる
例:千鈞一発,一本万利
● 千鈞一発 qian1jun1yi1fa4 一触即発。危機一髪。鈞:昔の重量単位。1鈞は30斤に相当、重いことのたとえ。“千”と“一”の対比
● 一本万利 yi1ben3wan4li4 わずかな資本で巨利を占める。ぼろ儲けをすること。“一”と“万”の対比。

5. はめ込み
例:四平八穏,一干二浄;
“平穏”、“干浄”ということばの間に数字をはめ込んでいる

6. 重ねて言う(繰り返し)
例:三三両両,千千万万;
● 三三両両 san1san1liang3liang3 三々五々。日本語と同じ、“三三五五”もある。
● 千千万万 qian1qian1wan4wan4 幾千幾万の。無数の

7. 前の句の最後の語を、次の句の最初の語に用いる
こういう修辞を“頂真”といい、語句の調子を整え、前後の結びつきを強め、意味がよくわかるようにする働きがある。
例:一而再 再而三
● 一而再 再而三 yi1er2zai4 zai4er2san1 再三再四。何度も何度も

8. 同じことばを二回使う
例:一物降一物,一是一 二是二
● 一物降一物 yi1wu4jiang4yi1wu4 どんな物でもそれに打ち負かされる一物がある。上には上がある
● 一是一 二是二 yi1shi4yi1 er4shi4er4 非常に几帳面である。“丁ding1是丁 卯mao3是卯”(“釘是釘 鉚是鉚”とも書く)ともいう


[参考]百度知道 “数字成語”(http://zhidao.baidu.com/question/82742228.html)

数字を使った成語で、例えば“乱七八糟”のように“七、八”を使うと、雑然としている、乱れている、といった意味合いを持ち、“不三不四”のように“三、四”を用いると、さげすみの意味合いを持つということは、上で記したが、なぜこれらの数字の組み合わせでそういう意味が出てくるかということは、よくわからない。本来の意味から派生して、習慣的に使われるようになったということは、歴史的に何らかの出典があるのではないかと思うのだが。このことについて、お考えをお持ちの方、ヒントになりそうな事例をご存じの方はお教えいただきたい。