先日、通訳案内士の研修会に参加し、町歩きをしてきました。改めて、日本の風物を、如何にして海外から来たお客様にご説明してご理解いただくか、その難しさを痛感しました。
そこで、今日は、忘れないよう、研修会の時にうまく説明できなかった言葉の説明を、整理しておきたいと思います。
もし、こう説明した方が、より理解していただける、という翻訳例がございましたら、お教えいただけるとありがたいです。また、他にこういう言葉の訳し方で苦労した、という言葉の例がございましたら、お教えください。
【かき氷(宇治金時)】
先ず、かき氷。暑い中歩いていると、喫茶店の店先に、サンプルが置いてあったり、「氷」の幟が立っていたりします。ちょうど、宇治金時のサンプルが置いてあるのを見ましたが、これをどう説明したらよいでしょうか。
には2種類の発音があり、“bao4”はカンナで薄く削ること。“pao2”はクワで土を掘ることです。氷の塊を、カンナで削るように薄く削ったものをイメージし、 という訳ができたようです。発音は、 “bao4bing1” 。中国では、かき氷をあまり見たことがありませんが、台湾では、珍珠奶茶(タピオカの大きな粒の入ったアイス・ミルクティー)などを売る店のメニューの中に“刨氷”とあるのを見ることがあります。日本の露店で売っている、スノーボールと同じものが、紙コップに、いちごやレモンのシロップがかかって出てきます。
氷の上にシロップをかける動作ですが、少ない量を振り掛けるのであれば、 “洒sa3”でしょう。庭に水を撒くイメージです。でも、ある程度の量を注ぎかけるのであれば、 “澆jiao1”がよいのではないかと思います。ここでは、 “澆jiao1”としました。
抹茶は、本来の意味では“粉茶fen3cha2”とすべきでしょうが、京都でよく見かける抹茶を使ったお菓子で、「抹茶」の字をよく見かけますので、ここはそれをそのまま使い、 “末茶mo4cha2”としました。
中国でも、小豆を使った甜品といえば、広東の“紅豆沙”、これはいわばお汁粉ですが、“豆沙餡包子”など、小豆餡はたいへんポピュラーです。
【みたらし団子】
これも、説明の難しいお菓子です。「みたらし」は正しくは「御手洗」と書き、京都は下鴨神社の糺(ただす)の森にある、御手洗池が由来とのことです。5月の葵祭りで、斎王代に選ばれた女性が、手を清めるのが御手洗池ですね。「御手洗」を中国語で発音すると、yu4shou3xi3 、舌を噛みそうです。
白玉団子、辞書には“糯米粉団nuo4mi3fen3tuan2”と出ており、これでもよいのですが、聞いて分かり易い表現と思い、 “以糯米做的団子” 、或いは“以糯米粉做的団子”としました。
醤油味系の団子のうまさは、直火で焙って、少し焦げた香ばしさがポイントだと思います。それで、という表現を入れました。
みたらし団子のあの形は、御手洗池の水のあぶくをイメージしたもの、とのことですので、その説明を加えました。
ところで、下鴨神社の「糺(ただす)の森」 、これを中国語でどう発音するかですが、 “糺”は“糾”と同義であり、 “jiu1”と発音します。よって、 “糾森jiu1sen1”となります。
他にも頭を悩ました言葉があるのですが、それは次回にご紹介します。今回はこれまで。
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