ブッシュ政権の大誤算により中東は「イラン・イラク戦争前夜」に逆戻り、罪のない多くの人々が殺される

2007年01月04日 13時15分16秒 | 政治
◆中東情勢は、新年になって、ますます混迷の度を深めている。イラクのマリキ政権が、フセイン元大統領を急いで絞首刑に処したことにより、シーア派とスンニ派の対立が激化し始めている。読売新聞の1月4日付け朝刊は、「7面」(国際面)の「米、執行前夜まで延期要請」という囲み記事(カイロ=岡本道郎)が「米ブッシュ政権が執行前日の12月29日深夜まで、執行を延期するようマリキ首相に要請したにもかかわらず、・・・」と報じている。マリキ首相が、「武装勢力が元大統領奪還を試みる懸念があるとして拒否」したと言い、マリキ首相の「恐怖感」がうかがわれる。武装勢力が、マリキ首相にテロを仕掛ける可能性は高い。
それ以上に、フセイン元大統領の処刑によりイラクとイランが、「イラン・イラク戦争前夜」の構図に逆戻りしたことにより、「戦火再燃」の危険も高まっている緊迫化した情勢に注意する必要がある。
◆イラクは、国民の65%がシーア派のアラブ人、20%スンニ派クルド人、15%のスンニ派のアラブ人であり、フセインは少数勢力であるスンニ派アラブ人である。この少数派が、政権を掌握できたのは、イランを敵にしていたアメリカの支援があったからである。
アメリカはシーア派が国民の95%を占めるイランで、フランスに亡命していたホメイニ師が1979年に帰国して起こした「イラン・イスラム革命」が、周辺諸国に伝染するのを恐れて、バース党の活動家だったフセイン元大統領を利用した。
◆ここに、アメリカの大きな誤算があった。一つは、ホメイニ師一派は、侵略王朝を築いていた「パーレビ国王」(ロシアから攻めてきたクルド人)を追放し、アメリカとの友好関係を築こうとしていたにもかかわらず、パーレビ国王支援にこだわり続けたことにあった。二つ目は、シーア派が多数のイラン攻撃に、スンニ派のフセイン元大統領を使い、最新鋭の武器を多数与えて、力をつけさせてしまった。三つ目は、イラクの多数派が、イランと同じシーア派であり、イランがイラクシーア派と手を組み、「イラク併合」を志向するかも知れないということを軽視していたことである。
◆中東地域は、砂漠地帯であり、元々、国境があったわけではない。遊牧民が、オアシスを求めて移動する地域である。国境線を引いたのは、欧米列強であった。石油利権を勝手に分割したのである。
イランは、核開発を進めており、ブッシュ政権はイランに対し「悪の枢軸」という避難の言葉を撤回していない。それどころか、本音では攻撃したい。そのイランが、イラクと統一国家をつくり出す動きを始めたらどういうことになるのか。ブッシュ政権は、もう一つ、大誤算を積み重ねることになる危険が濃厚となりつつある。テロから戦乱へ。中東地域での殺戮により、罪もない多くの人々が、殺されることになる。
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