◆主役・武田信玄の軍師・山本勘助を演じている内野聖陽氏の好演が評判を呼び、NHK大河ドラマ「風林火山」が、視聴率を上げているのに対して、安倍首相が、羨望の目で見ている。「軍師」不在が禍して「危機状態」に陥っているからだ。
朝日新聞の1月19日付朝刊が、3面「政治面」で、安倍首相が「残業ゼロ法案」を通常国会上程見送り決断をするまでの顛末について「鈍い」という厳しい表現を使って克明に報じている。安倍首相と塩崎恭久官房長官は、国民世論の大勢が、この法案に批判的で、与党自民党内でも強い反対論が噴出しているにもかかわらず、日本経団連の御手洗冨士夫会長らの要請を受けて、強引に法案を提出して成立を図ろうとした。安倍首相にしても、塩崎官房長官にしても、「庶民感覚」から相当ズレていることを、またしても露呈してしまったのである。
◆「天声人語」という言葉があるように、「天の声」とは、「人の声」すなわち「世論」である。世論が常に正しいとは限らないが、事が「生活」にかかわることであれば、国民は敏感である。自民党大会(1月17日)で安倍首相は「7月の参議院議員選挙で、憲法改正を争点にして戦う」と檄を飛ばしたのに対して、加藤紘一元幹事長が「基本概念が間違っている。憲法改正ではなく、いまは生活が大事だ」と記者団に語っていたように、安倍首相には、どうも、「生活感」が少しも感じられない。
これも、安倍首相の側に優れた「軍師」がいないのが、元凶である。国鉄出身の側近の井上義行秘書官はガードマン以上の役には任が重く、下村博文(衆議院議員)と鈴木政二(参議院議員)、的場順三(事務方)の3人の官房副長官が、情報収集力に欠け、おまけに5人の補佐官(小池百合子、根本匠、中山恭子、山谷えり子、世耕弘成)が、バラバラな動きをしているため、機能低下に陥っている。知恵袋の岡崎久彦元タイ大使や八木秀次高崎経済大学教授の助言は、「右より」すぎてバランスを欠いているとの批判を浴びている。
そこで、安倍首相は、せめて補佐官に官僚を指揮できる権限を与えるための法整備をしようと決断したものの、省庁からは、「指揮系統が混乱する」と激しく抵抗されて、困惑気味である。麻生太郎外相が「ポスト安倍」を睨んだ言動を繰り返しており、閣内の乱れも顕在化しており、自民党内では「このままでは七月の参議院議員選挙には、とても勝てない」と憂慮する声も出始めている。
◆安倍首相が五月のゴールデンウイークに訪米し、ブッシュ大統領と首脳会談することが決った。これに先駆けてチェイニー副大統領が二月来日し、安倍首相に会い、イラクに対する新しい戦略について説明し、理解を求めるという。安倍首相はブッシュ政権から敬遠されていた。それがチェイニー副大統領の方から先に来日するというのは、泥沼化したイラク情勢に余程困っているのであろう。
アメリカはイラク戦争に事実上敗北し、イラク国内は、すでにベトナム戦争以上に泥沼化しており、にもかかわらず、さらに2万人を増派するという。
しかし、チェイニー副大統領は、これまでブッシュ政権を支えてきたディビッド・ロックフェラー(チェィス・マンハッタン銀行会長、シティグループオーナー、エクソン・モービルオーナー、91歳)から見放されていると言われている。後釜の最有力候補者としてライス国務長官の名前さえ取りざたされている。
◆何度も言うように、この戦争は、負け戦が明々白々。安倍首相は防衛庁の省への昇格を契機に、自衛隊の海外派遣を恒久化する法律をつくろうとご執心である。その勢いで安易に「イエスマン」になるのは危険極まりない。閣内が乱れ、早くも政権が「末期症状」に陥っている安倍首相は、チェィニー副大統領の「足下」をしっかりと見定め、相手の弱味につけ込むチャンスをつかむことができるのであろうか? はなはだ疑問である。
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朝日新聞の1月19日付朝刊が、3面「政治面」で、安倍首相が「残業ゼロ法案」を通常国会上程見送り決断をするまでの顛末について「鈍い」という厳しい表現を使って克明に報じている。安倍首相と塩崎恭久官房長官は、国民世論の大勢が、この法案に批判的で、与党自民党内でも強い反対論が噴出しているにもかかわらず、日本経団連の御手洗冨士夫会長らの要請を受けて、強引に法案を提出して成立を図ろうとした。安倍首相にしても、塩崎官房長官にしても、「庶民感覚」から相当ズレていることを、またしても露呈してしまったのである。
◆「天声人語」という言葉があるように、「天の声」とは、「人の声」すなわち「世論」である。世論が常に正しいとは限らないが、事が「生活」にかかわることであれば、国民は敏感である。自民党大会(1月17日)で安倍首相は「7月の参議院議員選挙で、憲法改正を争点にして戦う」と檄を飛ばしたのに対して、加藤紘一元幹事長が「基本概念が間違っている。憲法改正ではなく、いまは生活が大事だ」と記者団に語っていたように、安倍首相には、どうも、「生活感」が少しも感じられない。
これも、安倍首相の側に優れた「軍師」がいないのが、元凶である。国鉄出身の側近の井上義行秘書官はガードマン以上の役には任が重く、下村博文(衆議院議員)と鈴木政二(参議院議員)、的場順三(事務方)の3人の官房副長官が、情報収集力に欠け、おまけに5人の補佐官(小池百合子、根本匠、中山恭子、山谷えり子、世耕弘成)が、バラバラな動きをしているため、機能低下に陥っている。知恵袋の岡崎久彦元タイ大使や八木秀次高崎経済大学教授の助言は、「右より」すぎてバランスを欠いているとの批判を浴びている。
そこで、安倍首相は、せめて補佐官に官僚を指揮できる権限を与えるための法整備をしようと決断したものの、省庁からは、「指揮系統が混乱する」と激しく抵抗されて、困惑気味である。麻生太郎外相が「ポスト安倍」を睨んだ言動を繰り返しており、閣内の乱れも顕在化しており、自民党内では「このままでは七月の参議院議員選挙には、とても勝てない」と憂慮する声も出始めている。
◆安倍首相が五月のゴールデンウイークに訪米し、ブッシュ大統領と首脳会談することが決った。これに先駆けてチェイニー副大統領が二月来日し、安倍首相に会い、イラクに対する新しい戦略について説明し、理解を求めるという。安倍首相はブッシュ政権から敬遠されていた。それがチェイニー副大統領の方から先に来日するというのは、泥沼化したイラク情勢に余程困っているのであろう。
アメリカはイラク戦争に事実上敗北し、イラク国内は、すでにベトナム戦争以上に泥沼化しており、にもかかわらず、さらに2万人を増派するという。
しかし、チェイニー副大統領は、これまでブッシュ政権を支えてきたディビッド・ロックフェラー(チェィス・マンハッタン銀行会長、シティグループオーナー、エクソン・モービルオーナー、91歳)から見放されていると言われている。後釜の最有力候補者としてライス国務長官の名前さえ取りざたされている。
◆何度も言うように、この戦争は、負け戦が明々白々。安倍首相は防衛庁の省への昇格を契機に、自衛隊の海外派遣を恒久化する法律をつくろうとご執心である。その勢いで安易に「イエスマン」になるのは危険極まりない。閣内が乱れ、早くも政権が「末期症状」に陥っている安倍首相は、チェィニー副大統領の「足下」をしっかりと見定め、相手の弱味につけ込むチャンスをつかむことができるのであろうか? はなはだ疑問である。
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