＜伸びる人＞とは

雑誌＜致知＞の2012年5月号の特集は、＜その位に素にして行う＞です。その中から、感動した記事を紹介します。

＜君子は其の位に素にして行い、その外を顧みず＞　孔子の孫、子思が著した＜中庸＞にある言葉です。立派な人物は自己に与えられた環境の中で、運命を呪ったり不平不満を言ったりせず、精一杯の努力をし、それ以外のことを考えない、ということです。

この例として、西鉄ライオンズの名投手であった稲尾和久さんの新人時代の逸話を紹介していました。新人の同期の二人は、自分より高額な契約金と月給を貰い、コーチがつきっきりで指導しています。一方、自分は打撃投手ばかりで、手動練習機と呼ばれていました。自分の評価が低く、扱いも悪いことに気がつきました。

ー普通ならここで心が折れて投げやりになったりしがちである。だが、伸びる人はあらゆる条件を生かした伸びていく。・・・打者は4球に1球ぐらいボールが交じると、ゆとりができて喜ぶ。稲尾さんは4球に1球ボールを投げることにした。

480球投げるなら120球は自分の練習のためだけに使える。高め、低め、アウトコース、インコース、ボールにする1球に精魂を込めた。こうして稲尾さんは無類のコントロールを身につけていったのだ。

まさにその位に素にして鍛え、偉大な投手への人生を切り開いたのである。ー

凡人は、調子の良いときは慢心し、不調の時は不平不満・愚痴を言いがちです。どんな環境にあっても、自分を鍛えたり、難局は打開しようとする気概が必要であることを、教えてくれます。

＜伸びる人はあらゆる条件を生かして伸びていく＞　良い言葉ですね。

　

amazon.comの創業者に学ぶ

私はアマゾンを有効に使って、欲しい品物や書籍を購入し、重宝しています。類似したサイトを、日本企業や流通グループが運営し、模倣しています。先行者であるアマゾン以上の機能や革新性があるのでしょうか？

米amazon.comの創業者にして現CEOであるジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏のインタビューを日経ビジネス誌で読みました。今更ながら、秀逸な創業者魂に触れることができて、その革新性に感銘しました。

・＜地上で最も顧客中心の会社＞がアマゾン社のビジョンで、そのために＜品揃え＞＜利便性＞＜低価格＞という３つの要素を大事にしています。

・アマゾンの顧客中心主義は３つの＜ビッグアイデア＞に基づいてきます。１つ目は顧客を出発点にしてそこからのぼるというアイデア。２つ目は発明と革新を進め、先駆者になることを目指すというもの。３つ目は長期的な視野に立つこと。・・・このアプローチがアマゾンの優位性を形作っています。

・最高の顧客経験を提供することに重点を置いてビジネスを展開するだけ。あとは顧客がアマゾンのシェアを決めます。アマゾンで買い物をするか、それとも別のところでするのか。これは常に顧客が決めることです。

これ以外にも、電子書籍のキンドル・ファイアの優位性を論理的に述べています。

アマゾンは1995年7月に創業以来、数年も赤字でした。自ら創業した販売システムに対して強烈な自信があったから、揺らぐことなく方針を継続できたのでしょう。現金収入でしたので、操業は続いていましたが、先行きを不安視されていた時期もありました。それが、今や本やCDなどの流通業者を次々と倒産に追い込む、怪物企業です。インターネットをビジネスに活用した先行者メリットを享受しています。

顧客中心主義とは、言うは易く行うは難しです。矯正歯科の分野で顧客中心主義というのは、何を患者に提供することかを問い続ける必要があります。ジェフ・ベゾス氏に触発されて、当医院は＜当地域で最も顧客中心の矯正歯科医院＞をビジョンすることを目指し、実践しなくてはなりません。