古田史学とMe

古代史を古田氏の方法論を援用して解き明かす(かもしれない…)

紀元前八世紀という時代(補足)

2016年06月11日 | 古代史

 すでに述べたように「弥生時代」という時代の画期として「シリウス」の「新星爆発」現象があったと見たわけですが、これについては「超新星」と混乱される向きもあるかもしれません。「超新星」は一つの銀河系で一世紀に数回あるかないかと言うぐらい頻度の少ない現象であり、なおかつそのとき放たれるエネルギーが桁違いに多いことで知られます。このような「超新星」となるパターンはいくつかあるようですが、その一つに主星としての「巨星」と伴星としての「白色矮星」という組み合わせがあります。この両星が「近接」している場合主星から「ラグランジュ点」を通じて伴星である「白色矮星」に大量の質量が移動し、それが高温となったとき(衝撃波などによって)「白色矮星」そのものの破壊にまで及ぶような大爆発となるとされますが、「シリウス」星系においてはそのようなことは起きえません。(シリウス伴星の質量がこの現象の発生限界を下回っているため)
 実際にはこの「主系列」と「白色矮星」という組わせについては極端な爆発現象などが起きにくいこともあり、それほど研究が進んでいないのが現状です。天体の世界で多く観測にかかるのはもっと頻度が多く短いタイムスケールで起きる現象であり、「近接連星」が起こす変光や新星爆発あるいは超新星爆発などがそのメカニズムも含めかなり研究の俎上に載せられていますが、シリウス星系のような場合見ている限りは安定しており、ほぼ異常な事態が起きないことから多くの研究が蓄積されているとは言い難い部分があります。

 「シリウス」は連星系を形成していますが、その公転周期は50年といわれています。この周期から考えられる双方の距離は「20天文単位」と計算されており、太陽系でいえば「天王星」軌道付近となります。(ただし、「離心率」が大きいため「8.1天文単位」から「31.5天文単位」まで変化するようであり、近点では「土星」軌道よりも近くなります。)この距離では「近接連星」とは言えません。(過去はともかく) 
 シリウス星系が現状のようになるには、以下のようなストーリーが考えられます。
 元々伴星である「白色矮星」は「巨星」であったものであり、本来こちらが「主星」であったと思われます。先に「進化」した結果、重力崩壊を起こし周囲に「外層部分」を吹き飛ばしてその終末を迎えたわけですが、その際そのうちの一部の質量は現在のシリウスに流入することとなったものと思われ、「質量増加」という結果になったものと思われます。(他の例では周囲にガス流として滞留しているケースもあるようです)そのようなことは「シリウス」に金属元素が多いという観測結果からも言えるとされます。基本的に「金属元素」や「重金属」元素は「重い星の内部」で作られるものであり、その金属元素は「赤色巨星」(これは重い星)からもたらされたものであると考えると理論的に整合するといえるわけです。
 ところで「巨星」が進化して「白色矮星」となると、単独の場合はそのまま静かに死を迎えるわけですが、「シリウス」のように「主系列」との連星である場合は少々違うストーリーになります。主星との距離によっては「主星」から(以前とは逆に)質量が「伴星」である「白色矮星」側にもたらされるからであり、そのガスの量によっては、白色矮星の周囲でガスが熱的反応を起こす場合があります。
 たいていの場合「衝撃波」や「摩擦熱」などによって「電波」(X線や紫外線など)を放出するわけですが(これは今でも「シリウス」や「αケンタウリ」などで観測されています)、このような状況が続くと「時折」燃料に火が付いて核融合反応が起きることがあります。これを「再帰新星」と呼びますが、シリウスもそうなのかもしれません。そのような事象が起きて増光していた期間がちょうど「紀元前八世紀」という時期であったという可能性が考えられるわけです。この期間はかなり長期間「昼間」でも見えていたのかもしれません。昼間でも見えるためには少なくともマイナス4等級以上はなければならないと思われ、再帰新星の場合の増光割合が普通8等級から10等級程度ということを想定すると、元の明るさは4-5等級程度あったとも考えられ、元々現在より明るかったということも考えられます。ただし普通の「再帰新星」と異なるのは「降り積もる質量」つまりシリウスからもたらされる質量があまり多くないため核融合反応が起きるまでかなりな時間がかかると見られることです。
 そもそも「シリウス」も「伴星」も現在は「ロッシュ限界」内にあるわけであり、「ラグランジュ点」(双方のロッシュ限界が接する場所)が形成されておらず、質量移動は一定かつ大量なものとはなり得ないこととなります。そうであれば「再帰」の間隔は大幅に長くなるものと思われ、降り積もる水素ガスにより形成される「降着円盤」が巨大化するのに一〇〇〇年単位で時間がかかるということも充分考えられるところです。(「シリウス」からアトランダムに放出される質量の一部がたまたま伴星に獲得される場合などが想定されます)
 しかしもし紀元前八世紀にそれが起きたとすると既に2800年程度は経過しているわけですから、「大地震」などと同様、油断は禁物です。もしそのようなことが起きれば「極域振動」が起き気候パターンが大きく変化することは必至ですから、私達の生活に大きな影響があるのは当然のこととなります。

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