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「ゆるキャラグランプリ」と「世界キャラクターさみっとin羽生」

2016年11月07日 17時56分35秒 | 市町村の話題


羽生市は、江戸末期から、藍染めされた糸で織り上げる青縞の生産で知られた。文学好きには、川を挟んで北側の群馬県館林市出身の田山花袋の書いた「田舎教師」の舞台として、生物好きには、国の天然記念物である水生食虫植物「ムジナモ」の国内唯一の自生地「宝蔵寺沼」があることで知られている。

この沼を含む県営「羽生水郷公園」で13年11月23、24の両日、10年から始まった第4回ゆるキャラさみっとが開かれた。(写真)

二日ともこれ以上は望めないほどの小春日和に恵まれ、人口5万6千のこの市に、45万人(初日20、二日目25万人)が詰めかけた。第1回は5万、第2回は14万、昨年の第3回は30万人弱だったから、大変な伸びである。経済波及効果は18億3千万円に上った。

この人出に加え、23日朝ギネスの審査員が集合場所への入り口で数え、10時過ぎ376体が確認されたので、「マスコットの最多集合」のギネス世界記録として登録された。

二日目の午後に発表された「ゆるキャラグランプリ」の投票結果の発表では、近くの栃木県佐野市から参加した、佐野ラーメンのおわんを頭にかぶった「さのまる」が選ばれた。

07年の彦根城築城400年祭のイメージキャラクターとして、その可愛らしいしぐさでゆるキャラブームの火付け役になった「ひこにゃん」や、今や「熊本県の営業部長」として、全国各地に出没、天皇皇后両陛下にもお目にかかり、知事の留学先の米ハーバード大学にも出かけた「くまもん」は、参加はしたものの投票にはエントリーしていない。

千葉県船橋市の人気の非公認キャラ「ふなっしー」も同様だった。

会場は、東北自動車道羽生ICのすぐ東側。広い公園で駐車場ももちろんあるのだが、混雑するというので、東武伊勢崎線羽生駅西口から臨時のシャトルバスで出かけた。

ゆるキャラとは「ゆるいマスコットキャラクター」の略語という。最終的に集まったのは、47都道府県のほか、イスラエルなど海外6か国の452体だった。

10年に始まった「ゆるキャラグランプリ」は、パソコン、スマホ、ケータイを使って投票IDの登録者が1日1回投票できる仕組みで、13年は9月17日から11月8日まで1580のキャラクターが参加、前回を1千万上回る1700万票余が集まった。

それぞれ駅前や各種イベントに参加、首長や職員がビラを配ったりする選挙運動が展開された。

1位の「さのまる」(120万票 昨年は4位)に続いて、2位は浜松市の「出世大名家康くん」、3位は群馬県の「ぐんまちゃん」、4位は深谷市の「ふっかちゃん」、5位は栃木県大田原市の「与一くん」だった。

93体が参加した埼玉勢の期待を担うネギが二本頭から突き出した深谷市の「ふっかちゃん」は、一昨年6位、昨年5位で今年こそはとトップを目指したが、4位だった。

13年まで連続4回、羽生市水郷公園で開かれた「ゆるキャラさみっと」は、5回目の14年は「世界キャラクターさみっとin羽生」と名を改めて、11月22~23日に開かれた。

22日には米国やロシアなど海外からの10体を含め410体が参加、うち約90体による「羽生キャラクターズコレクション」(はにゅコレ)が開かれ、23日にはキャラクターたちに囲まれた結婚式「キャラコン」が行われた。初日は18万、二日目は23万人と41万の人出だった。

一方、投票でゆるキャラ日本一を決める、14年の「ゆるキャラグランプリ」は、愛知県常滑市の中部国際空港特設会場に場所を移して開かれ、13年は4位だった深谷市の「ふっかちゃん」」が、約83万6千票で2位に入賞、初のベスト3入りを果たした。1位は100万票を獲得した群馬県の「ぐんまちゃん」だった。

このグランプリには全国から1699体が出場、「ふっかちゃん」を含め県勢6体が上位100位に入る健闘ぶりだった。

15年の「第6回世界キャラクターさみっとin羽生」は11月21、22日に開かれ、21日は369体、来場者22万人、22日は324体、来場者23万人とキャラクター数は減ったものの、来場者は計45万人と最高を記録した。

公式テーマソング「ハロー!!はにゅ☆はにゅ」に合わせてキャラクター、来場者、スタッフが一緒に踊るダンスも初めて登場、人気を集めた。

16年の「ゆるキャラグランプリ」は11月5、6日、松山市の城山公園で開かれ、本庄市の「はにぽん」が深谷市の「ふっかちゃん」と同じ2位に輝いた。「3年で1位」を目標に、14年から本格的に参戦、同年67位、15年7位。インターネット投票では433万票以上を獲得、1位で松山市に乗り込んだが、現地の投票で、地元・四国の高知県須崎市の「しんじょう君」に2倍以上の差をつけらた。現地票はインターネットの4倍で集計された。

深谷市は16年5月、「道の駅はなぞの」2階に「ふっかちゃんミュージアム」をオープンした。ふっかちゃん効果があったのか、市の16年の観光客数は約392万人。ふっかちゃんが誕生した10年6月前の09年に比べると4割以上増えている。

17年の「ゆるキャラグランプリ」は、三重桑名・ナガシマリゾートで開かれ、りそな(銀行)グループのキャラクター「りそにゃ」が「企業・その他部門」で優勝した。「りそにゃ」は15年から参戦、15年は5位、16年は3位だった。

羽生市の羽生水郷公園で開かれる「世界キャラクターさみっとin羽生」は17年で8回目を迎え、11月25,26日に開かれ、41都道府県と世界4か国から約360体のキャラクターが集まった。2日間で来場者は約31万人。市が発表している経済波及効果は約12億5000万円だった。2日間で少なくとも延べ619人のサミット目当ての観光客が市内に宿泊した。このさみっとは16年11月、外国人が「世界に誇れる日本文化」を認定する「クールジャパンアワード」を受賞した。

18年の「ゆるキャラグランプリ」は11月17~18日東大阪市の花園中央公園で開かれ、志木市のカッパをかたどった広報大使「カパル」が優勝した。
 

 

 

 

 






杉戸宿開宿400年 宿場まつり 杉戸町

2016年11月02日 17時50分34秒 | 市町村の話題


埼玉県の目ぼしい市や町は、昔、街道の宿場だった所がほとんどだ。

埼玉県で江戸時代の街道と言えば、中山道がまず思い浮かぶが、江戸と徳川家康を祀る日光東照宮を結ぶ日光街道も忘れられない。

県東北部の杉戸町も例に漏れず、日光街道の宿場町の一つで、今でも旧日光街道が町の中心部を貫いている。

1843(天保14)年には、本陣、脇本陣はもちろん、旅籠屋が40、家数が365戸、1663人が住んでいたという記録がある。

西行法師も、奥州平泉の藤原氏を訪ねる途中で、病に倒れ、この町の下高野の小庵で手厚い看護を受けたことがあり、「西行法師見返りの松」が残っている。

江戸幕府が杉戸を日光街道5番目の宿場に定めたのは、1616(元和2)年。日本橋から日光へ向かう途中21ある宿場のうち、日本橋から数えて5番目に当たる。

日光街道は、日本橋から宇都宮まで「奥州街道」との共用区間だったため、東北諸大名の参勤交代にも利用されたほか、日光社参の道でもあった。

県東部で日光街道沿いの宿場は、草加、越谷、粕壁(春日部)、杉戸、幸手の5か所。ここは、江戸時代に京都の朝廷から日光東照宮に毎年、「幣帛(へいはく。ぬさのこと。紙、麻などを垂らし、神前に供えるもの)」を奉納するために参向した勅使(例幣使)の一行が通る街道だった。

例幣使の往路は、中山道、例幣使街道、帰路は日光街道、江戸、東海道を利用した。例幣使街道は、中山道の倉賀野(群馬県高崎市)を起点として、壬生通り(日光西街道)の楡木(栃木県鹿沼市)を経て、日光に向かう街道である。

今年16年がちょうど400年に当たり、人口約4万6千人、町としては県内最高の人口を持つ町では10月30日、「杉戸町開宿400年 宿場まつり」を開いた。

見どころは時代行列で、先頭を切ったのは、例幣使の行列。杉戸町宣伝大使のお笑いタレント「虻ちゃん」こと虻川美穂子さん(杉戸町出身)が台の上で愛嬌をふるまいた。(写真)

この行列は、過去、現在、未来の三つのグループに分かれ、現在、未来グループはそれぞれのいでたちで途中から加わり、総勢約400人。行列のフィナーレでは400個の風船を上げて気勢を挙げた。

街道沿いには、昔の高札場が復元されたほか、いくつかのステージ、うまいもの市、農産物を売るアグリマルシェ、観菊会なども開かれた。杉戸町史上最大のイベントとあって、約3万5千の人出があったという。