「さいたま市報」13年4月号に、清水勇人市長のコラム「絆をつなぐ」に「日本一の桜回廊づくり」と題する原稿が掲載された。
「桜はさいたま市の花木で、見沼代用水西縁・東縁(べり)の桜並木は見事。平成25年度から両用水を桜並木で結び、5年程度で延長20kmを超す『日本一の桜回廊』をつくる運動を実施しよう」というのである。
「見沼田んぼを歩く『さいたマーチ』とも連動させ、政令指定都市移行10周年を機に始める運動に参加してほしい」とある。
市見沼田圃政策推進室によれば、桜並木はすでに西縁に11.1km(993本)、東縁に6.3km(693本)、通船堀に0.8km(127本)植わっており、総延長は18.2km(1813本)。(用水は、利根川から水を引き、綾瀬川と交差する上尾市瓦葺で東西に分かれる)
東武アーバンパークライン七里駅からほど近い代用水沿いの締切橋から丼橋にかけての桜並木約1kmは「平成桜」と呼ばれる。平成元年の1989年から有志の呼びかけで植樹された。
青森県弘前市の岩木山南麓に約20kmオオヤマザクラが植わっていて、「世界一の桜並木」と誇っているというから、距離で追い越すならあと2km(200本)植えればよい。
市長の提唱を受けて、さいたま市、市民団体、事業者など33団体からなる実行委員会が立ち上がり、「目指せ日本一! サクラサク見沼田んぼプロジェクト」というキャッチフレーズも決まった。
見沼代用水土地改良区、さいたま市造園業協会、大宮アルディージャ、武蔵野銀行なども参加している。
桜で日本一なら世界一と同じだから、弘前同様「世界一」を名乗ったらどうか。安直な発想ながら、ギネス登録を狙う手もある。
そのプロジェクの植樹祭が14年3月29日朝、見沼区の七里公園の西北端、遊具広場であった。さいたま記念病院の前と言った方が分かりやすいだろう。この日は、「第2回さいたマーチ~見沼ツーデーウォーク~」の初日で、式場の隣には中継所が設けられていた。
広場に隣接する病院寄りの県所有の空き地に、雅(みやび)、江戸彼岸、寒緋桜、山桜、大島桜の7,8年ものが40本植えられていて、式は土をかけるだけ。ここから西縁に移植されるのではなく、「サクラの杜」として残されるという。
新しいサクラの名所になるだろう。
市長がさいたま大使と一緒に土をかけた皇太子妃・雅子さまゆかりの雅には、小さいながら花がいくつかついていたから、桜林になるのもそれほど遠いことではあるまい。(写真)
今回のプロジェクトでは、浦和区の大原中学校付近から大宮区の大宮第3公園付近まで、桜並木が途切れている見沼代用水西縁を重点整備区間として、植樹が予定されている。
一般の寄付も大歓迎で、個人なら5百円以上、企業なら5千円以上、自分のネームプレートをつけるなら5万円。さいたま市公園緑地協会で受け付けている。
日本一を目指す桜回廊には、開花時期を長く楽しめるよう、エドヒガンザクラ、ミヤビザクラ、ヤマザクラなど8種の桜165本を植え、17年3月には、既存の桜から2km長い20.2kmと青森県弘前市の岩木山の桜並木を超した。
ところが、岐阜県各務原市に総延長31kmの桜回廊があり、日本一を称していることが分かり、「実際に桜並木の下を歩ける桜回廊では日本一」とPRすることにしたという。(日経新聞)