新古今和歌集の部屋

和漢朗詠集 風 含冬歌源信明 元禄五年版



 
 風
                 輔倡
春風暗剪庭前樹夜雨偸穿石上苔
               紀大納言
入松易乱欲悩明君之魂流水不
 
歸應送列子之乗
                 保胤
漢主手中吹不駐徐君塚上扇猶懸
                 慶保胤
斑姫裁扇応誇尚列子懸車不往〔還〕
 
 
 
 春日山居     輔倡
春の風は暗(そら)に庭前の樹を剪る。
夜の雨は偸(ひそか)に石上の苔を穿つ。
 
 風中琴賦     紀大納言
入松乱れ易し。明君が魂を悩。
流水帰らず。列子が乗を送るべし。
 
 北風利如剣詩  慶滋保胤(行葛)
漢主手の中に吹て駐(どとま)らず。
徐君が塚の上に扇猶懸たり。
 
 清風何処隠   慶滋保胤
斑姫扇を裁(さいし)て誇尚すべし。
列子車を懸て往還(おうかん)せず。



あきかぜのふくにつけてもとはぬ〔か〕な
 おぎの葉ならばをとはしてまし   中務
ほの/"\とありあけの月の月かげに
 もみぢふきおろす山おろしのかぜ  信明
 
 雲
                 張讀
竹斑湘浦雲凝鼓瑟之蹤鳳
 
去秦臺月老吹簫之地
                 紀齊名
山遠雲埋行客跡松寒風破旅人夢
                 元槇
盡日望雲心不繋有時見月夜正閑
 
 
 
後撰集恋歌四
 平のかねきがやう/\かれがたになりければ
 つかはしける         中務
秋風の吹くにつけても訪はぬかな荻の葉ならば音はしてまし
 
新古今和歌集巻第六 冬歌
 題知らず    源信明朝臣
ほのぼのと有明の月の月影に紅葉吹きおろす山おろしの風
 
よみ:ほのぼのとありあけのつきのつきかげにもみぢふきおろすやまおろしのかぜ 隠 有隆
 
意味:ほのぼのと明けて行く月の月影の中、山から紅葉に吹き下ろして来る山颪の風よ。
 
備考:信明集では、「こと御屏風の絵に、紅葉散りたるを見る人々」と屏風歌とあり、二句は、「あくるありけの」となっている。
 
 
 愁賦    張讀
竹湘浦に斑なり。雲鼓瑟の蹤に凝る。
鳳秦台を去て、月吹簫(すいしょう)の地に老たり。
 
 愁賦    紀齊名
山遠しては雲行客の跡を埋。
松寒しては風旅人夢を破。
 
 幽棲    元槇
尽日雲を望めば心繋れず。
時有て月を見れば夜正に閑なり。
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