同
銀魚腰底辞春浪綾鶴衣間舞曉風
同
花月一窓交昔眤雲泥万里眼今窮
同
省躬還恥相知久君是當初竹馬童
うれしさをむかしはそでにつゝみけり
こよひは身にもあまりぬるかな
祝
謝偃
嘉辰令月歡無極万歳千秋楽未央
保胤
長生殿裏春秋冨不老門前日月遅
賛在衡 腰句 橘正通
銀魚は腰底に春の浪を辞す。綾鶴は衣の間に曉の風に舞ふ。
賛在衡 腰句 橘正通
花の月、一窓の交り昔眤(むつまじく)ありき。
雲泥、万の里の眼(まなこ)今窮す。
賛在衡 腰句 橘正通
躬を省れば還て恥つ相ひ知るふの久ことを。
君は是当初に竹馬の童なり。
新勅撰集
題知らず よみ人知らず
うれしさを昔は袖に包みけり今宵は身にも余りぬるかな
雑言詩 謝偃
嘉辰令月歓び無極、万歳千秋楽未だ央ならず
天子万年 慶滋保胤
長生殿の裏には春秋を富めり。不老門の前には日月遅し。
わがきみは千世にやちよにさゞれいしの
いはほとなりてこけのむすまで
よろづ世とみかさのやまぞよばふなる
あめがしたこそたのしかるらし 仲算
恋
白
爲君薫衣裳君聞蘭麝不馨香
為君事容餝君見金翠無顔色
長文成
更闌夜静長門閴而不開月冷
風秌團扇杳而共絶
古今和歌集巻第七 賀歌
題知らず よみ人知らず
わが君は千世に八千代にさざれ石のいはほとなりて苔のむすまで
拾遺集賀歌
天暦の御門四十にならせ給ひけるとし、山階寺に
金泥寿命経四十巻を書き供養し奉らせたりけるに
洲浜を作りて鶴を立てて御巻数をくはせたりけり。
その洲浜の台の敷物にあまたの歌あしでに書ける
中に 仲算法師
万づ世と三笠の山ぞ呼ばふなる天が下こそ楽しかるらし
大行路借夫婦以諷君臣之不終 白居易
君為に衣裳に薫すれども、君蘭麝(らんしや)を聞(かぎ)ながら馨香せずとをもへり。
君が為に容餝(ようしよく)を事すれども、君金翠を見ながら顔色無しとおもへり。
張文成
更闌(た)け、夜静にして、長門閴(げき)として開かず。
月冷く風秋なり団扇杳(えう)として共に絶たり。