ときはの山なれども色に出るばかりといふ事
をうつるばかりと読めり。
○深草の里の月かげさびしさも住こしまゝの野べの
秋風
本哥
野とならばうづらとなりて鳴をらんかりにだにやは
君がこざらん
すみこしとは堪忍してありつかといふ也。
※作者欠→左衛門督通具
※出典不詳。
※本哥野とならば~
伊勢物語百廿三段
昔男有けり。ふか草に住ける女を、やう/\あきがたにや思ひけんかゝる哥を読けり。
年をへて住こし里を出ていなばいとゞ深草野とや成なん
野とならば鶉となりて鳴をらんかりにだにやは君はこざらん
と読りけるにめでゝ、ゆかんとおもふ心なくなりにけり。