秋のよの月さゑたるを見るに遠山万里の更行
有さま只雪のふりつみたるがごとし。更に月
とも雪とも分ぬよしなり。思ひぞあへぬとは
てんざんずわきまへいづれのとしのゆき かつほべくまよいつきうじつのたま
天山不弁何年雪 合浦可迷旧日珠といふこゝろを
よめる哥なり。月をば雪にも玉にもたとへ
侍るなり。
俊成女
○ことわりの秋にはあへぬ涙かな月のかつらもかはる
ひかりに
本哥
久方の月のひかりも秋は猶もみぢすればやてりま
さるらん
上界の月宮殿さく秋はかはり侍ればまして下界の
秋はかはるもことはりなりとよめる哥なり。
※出典 不明
※本哥 久方の月のひかりも~
古今集 秋歌上
これさたのみこの家の歌合によめる
壬生忠峯
久方の月の桂も秋は猶もみぢすればやてりまさるらむ