妹之門
いもがゝど、せながゝど、いきすぎかねてや、わがいかば、ひぢかさの、ひぢかさの、あめもやふらなむ、しでたをさ、あまやどり、かさやどり、やどりてまからむ、しでたをさ
妹が門、夫が門、行き過ぎかねてや、我が行かば、肘笠の、肘笠の、雨も降らなむ、しで田長、雨やどり、笠やどり、やどりてまからむ、しで田長
席田 拍子十二 二段各
むしろだの、むしろだの、いつぬきかはにや、すむつるの、
すむつるの、すむつるの、ちとせをかねてぞ、あそびあへる、ちとせをかねてぞ、あそびあへる
席田の、席田の、伊津貫川にや、住む鶴の
住む鶴の、住む鶴の、千歳をかねてぞ、遊びあへる
※席田 かつて岐阜県に存在した席田郡。現在は本巣市及び北方町の一部
※伊津貫川 今の糸貫川。
鈴鹿川
すゞかゞは、やそせのたきを、みなひとの、めづるもしるく、ときにあへる、ときにあへるかも。
鈴鹿川、八十瀬の瀧を、皆人の、賞づるも著く、時にあへる、時にあへるかも。
酒飲 拍子八
わけをたうべて、たべゑうて、たふとこりそ、まうでくぞ、よろぼひそ、まうでくる、まうでくる、まうでくる。
酒をたうべて、たべ酔うて、たふとこりそ、まうで來ぞ、よろぼひそ、まうで來る、まうで來る、まうで來る。
田中 拍子十
たなかのゐどに、ひかれるたなぎ、つめ/\あこめ、こあこめ、タヽリラリ、たなかのこあこめ。
田中の井戸に、光れる田水葱、摘め摘め吾子女、小吾子女、たたりらり、田中の小吾子女。
美濃山
みのやまに、しゞにおひたる、たまがしは、とよのあかりに、あふがたのしさや、あふがたのしさや。
美濃山に、繁に生ひたる、玉柏、豊明に、会ふが楽しさや、会ふが楽しさや。
大宮
おほみやのにしのこむぢに、あやめこむだり、さやめこむんだり、タラリヤリンタナ。
大宮の、西の小路に、漢女子産だり、さ漢女子産だり、たらりやりんたな。
角総 拍子十
あげまきや、トウ/\、さかりてねたれども、まろびあひけり、トウ/\、かよりあひけり、トウ/\。
総角や、とうとう、離りて寝たれども、転びあひけり、とうとう、か寄りあひけり、とうとう。
※角総 総角が正しい。