一、 二聲とたゝかぬさきに戸を明けて
基佐が句なり。連歌
合の句なりしに、皆人勝の札を打ちたりしに、兼載戀の本意
、無念なりとて劣の札うたれしに、滿座かんじけると云々。
たゞたのめたとへば人のいつわりをかさねてこそは又もうらみめ 戀
下もえにおもひきえなむ煙だにあとなき雲のはてぞかなしき 俊成女
これらを戀の本と被申き。
身にうきふしを猶ぞしたへる
つれなくば我もといはむ中ならで 兼載
戀の下句などに、
おもひすつれば雨の夕暮 心敬
かやうに戀の句はありたきよしありき。
一、新島守と遠島人をいへるは、後鳥羽院隠岐國にて,我こそは新島守と遊したるより始るなり。
※基佐
※たゞたのめ
第十三 戀歌三
攝政太政大臣家百首歌合に契戀のこころを
攝政太政大臣家百首歌合に契戀のこころを
前大僧正慈円
ただ頼めたとへば人のいつはりを重ねてこそは又も恨みめ
ただ頼めたとへば人のいつはりを重ねてこそは又も恨みめ
六百番歌合
※下もえに
戀歌二
五十首歌奉りしに寄雲戀
五十首歌奉りしに寄雲戀
皇太后宮大夫俊成女
下もえに思ひ消えなむけぶりだにあとなき雲のはてぞ悲しき 隠
仙洞句題五十首
下もえに思ひ消えなむけぶりだにあとなき雲のはてぞ悲しき 隠
仙洞句題五十首
※新島守