しゆんし か し
春思 賈至
そうしよくせい/\としてりゅうしよくきなりとうくはれきらんとしてりくはこはし
艸色靑々柳色黃桃花歷亂李花香
しゆんふうすためにふきうれいをさらしゆんじつひとへによくひいてうらみをなかし
東風不為吹愁去春日偏能惹恨長
はるもさかりのていをいふ。くさのいろもあを/\.やなきもきばんで,めさすじふん.とうくはもさきみだれて
はるのさかりなれは、なんのかなしい事もない。このやうにはなも、はるじやとこゝろよくさき、人もはると
おもふておもしろくなくさみ。はるかぜのふかぬ事もないが、なせわがうれをはふきちらしていくれぬ
ぞ。はるの日のなかいに付て、あすからばんまで、ひとへにうれいがしみついてはなれぬと也
春思二首 其一
賈至
草色青々として柳色黄なり。
桃花歷乱として李花香(かむ)ばし。
東風為に愁えを吹き去ず。
春日偏えに能く恨みを惹(ひ)いて長し。
意訳
草の色は青々として、柳の新芽の色は黄色く輝いている。
桃花は咲き乱れ、李花は香りを振り撒いて春の盛となっている。
だが春の風は、私の愁いを吹き去ってくれないし、
春の日は、憎らしく、私に深い嘆きばかり引き起こして、長くなって行く。
※春思 楽府題
唐詩選畫本 七言絶句 巻四