JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

じんちゃんの2015年

2015年12月31日 14時11分17秒 | 歳時記
暮れも押し迫りまして、今年もお世話になりました。年内の更新は無理かも・・・という状態だったのですが、何とか戻って参りましたヨ。(*^_^*)

じんちゃんの2015年。エッセイでは、トホホな愚痴を時折こぼしておりましたが、決して悪くはなかったです。いやむしろ、いい年だったのではあるまいか、などと感じております。’終わりよければすべてよし’の人なので。

勿論、思うに任せぬこともあったけれど、だからこそ人の温かさが胸に沁みたり、周囲から元気をもらったり。そうしてじんちゃんには、「本」という心の友がいるからね。

今年は、周囲を通じて、いろんな本に出逢った年でもありました。そんな中、とりわけ印象に残った作品を、ご紹介〜

① 頭木弘樹:編訳『絶望名人カフカの人生論』 
 1月のエッセイ「月と太陽」の中の『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』をきっかけに、手を伸ばしました。ゲーテとの対話集で、あれだけ後ろ向きなワードを呟き続けるカフカって、一体どんな人!?と、気になるじゃあないですか。しかして、その先に、かつての恩師との再会が待っていようとは・・・頭木さんのシリーズを見つけてくれた娘に感謝!

② 黒川博行『後妻業』
説得力のある記述に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなった。立ち寄ったカフェで、友人に勧められていた、この小説を発見。店内だけでは読み切れず、その後本屋へ直行してGETしました。それ位ハマった!!-容疑者女性の周辺で、何人もの資産家男性が、不審な死を遂げてゆく-奇しくも、世間を騒がせていた事件とリンクし、実に興味深い内容だった。出版元の文芸春秋は、『殉愛』が話題になっていた百田尚樹さんを新連載へ抱え込むのにご執心でしたが、じんちゃんはね・・・黒川さんの方が、余程’今’という時代を見据えていたと思う。もっと販売攻勢をかけるべきだったかと。(一人でも多くの人に読んでもらいたい!)来年8月、大竹しのぶ主演で、この作品が映画化されるそうで、楽しみにしております。

③ 沢木耕太郎『テロルの決算』
 「月と太陽」に登場するレストランの店員さんが、紹介してくれた作品です。社会党の委員長であった浅沼稲次郎が、演説会の壇上で17歳の右翼少年に刺殺されるという、ショッキングな事件を扱ったものでした。三島由紀夫の割腹自殺や、あさま山荘事件なら、どうにか記憶に残っている私も、1960年と言えば生まれる前だからねぇ。’浅沼委員長。お名前だけは聞いたことが…’ 一つの命が失われているのに、これはないよね 。読み進めるに従って感じたのは、当時の背景は今へ繋がっているということ。登場する政治家たちの2世3世の動向もになるし、安保法案の行方も。若者たちの目に、今の政治は、どう映っているのだろう?

④ 高殿 円『ポスドク!』 
フジTVでドラマ化希望! 『上流階級』のスタッフでお願いします。
 学歴最高、収入最低、独身でありながら、何故だか甥っ子養育中。教員の世界も大変なのねぇ。。。覗き見感覚で読んでいたら、横から中学生の娘が、「私にも貸して♪」「面白い内容だけど、専門用語が出てくるよ。大丈夫?」心配したのも束の間、高殿ワールドにすっかり魅了され、次から次へと手に取りだしたのには驚いた。『上流階級 富久丸百貨店外商部』『カーリー』『剣と紅』『トッカン 特別国税徴収官』近隣の図書館にある高殿作品を読破し、ご本人のツイッターまで追っかける始末。ストーカーかよ。 (~_~)

⑤ 天童荒太『悼む人』
 PTAの委員活動で悶々としていた頃、傍に携えていたのが、この小説でした。「柔軟であれ。でないと、続けることができなくなる。差し出されるものは感謝して受け入れ、代わりに拒まれた時にも、悲しんだり腹を立てたりしない。」 状況はまったく違うのだけど、『悼む人』の一節には、慰められたし心に沁みた。期待しない、求めない、というのが結局は心の平安につながるのだろう・・・。が、期待されない人生ってのも、寂しいものじゃないかしらん。亡くなった彼は(彼女は)、どんな人でしたか?誰を愛していましたか?誰に愛されていましたか?そうして、どういったことで感謝されていましたか?繰り返される問いかけに、己の生き方を顧みてしまうよ。

年頭のエッセイでは、こんなことを書いていました。「行きたい所へ行き、会いたい人に会う。」友を亡くして以来、じんちゃんの座右の銘です。万物流転。ご縁もまたしかり。ここ数年、毎年のように、懇意にしていた人が亡くなっていく・・・。’そういう年代なのだ’と言ってしまえば、それまでだけど、寂しいですねぇ。せめて、生きているうちは、できるだけ微笑んで過ごしたい。今、手にしている時間も、環境も、決して無尽蔵なものではないのだから。あの世へ旅立った人たちが、身をもって教えてくれた気がします。

2015年は、ここへ綴り切れない程、たくさんの想い出ができました。息子と岐阜まで足を運んだ、某企業の工場見学。友人たちと実行した、『繕い裁つ人』のロケ地巡り。コンサートへも、よく行ったなぁ。。。楽しかった!!


さぁ2016年には、どんな出逢いがあるのやら。映画は、原作も込みで、以下の3作品を応援していきます。

初夏公開予定 『二重生活』 (原作 小池真理子)
8月27日公開 『後妻業の女』 (原作 黒川博行)
9月公開   『怒り』 (原作 吉田修一)

今年も1年ありがとう。
それではみなさま、良いお年を!

じんちゃんの2014年 -後編-

2014年12月23日 13時13分19秒 | 歳時記
【4月】
沢尻エリカ主演の深夜ドラマ『ファースト・クラス』に熱中。’私以外、全員悪女!’というキャッチコピーに、北野武監督の映画『アウトレイジ』(こちらは’全員悪人’)を重ね、パクリかい!とツッコんでいました。下町の衣料材料店で明るく健気に働く主人公が、ふとしたことからファッション雑誌の編集部へ入り込む。キラキラした業界への転身に喜んでいたのも束の間、女たちのドロドロした争いに巻き込まれ…まるで東海テレビの昼メロをオシャレに焼き直したような内容だった。

鬼編集長の板谷由夏(←『ホタルノヒカリ』の人だね)、副編集長の三浦理恵子(←いけ好かない女を演じさせたら絶品)、一見サバサバその実イケズなカメラマンの遊井亮子(←『白線流し』女優)、そうして京のド根性女、田畑智子(←結構気に入ってマス)。この辺りのバチバチぶりが面白かったなぁ。脚本の渡辺千穂は、こういった設定をサバくのがホント巧み。『名前をなくした女神』のママ友たちの裏表ぶりには、いたく感心したものです。今回も、携帯をいじりつつ横から眺めていた息子が、「副音声(登場人物の心の声)に笑える」とウケておりましたから〜

「若気の至りでイメージを落とした沢尻を、とってつけたような殊勝な女に仕立て、下手に出させているのが可笑しい。週末の深夜、小生意気な女に頭を下げさせ、視聴者のストレスを解消させようという誠にケチな目論見である。」言いたい放題だわ。(^^ゞ

【5月】
地上波初放送の映画『藁の盾』を鑑賞。"この男を殺してください。10億円お支払いします。"孫娘を殺害された経済界の大物(山崎努)が、新聞に全面広告を出し、潜伏中の犯人へ懸賞金をかける。身の危険を感じた男(藤原竜也)は、福岡県警へ出頭。警視庁警備部SP(大沢たかお&松嶋菜々子)による48時間の移送が始まる…とまぁスリルに満ち満ちた作品でした。

いつ、誰が、どこから襲ってくるのか⁈果たして犯人を生かしたまま連れて帰れるのか?ハラハラドキドキの展開を目で追いながらも、設定があり得なさ過ぎて、いささか引く。10億円に転ぶ人間が、あんなに続出するものだろうか。家族に金を渡したいと言えど、人を殺せば罪ですから~。

ただ、犯人護送のすったもんだは面白かったな。想定外の裏切りがバンバン出てくるので、急遽ルートを変更して新幹線へ乗り込む訳ですよ。相生、姫路、新神戸と通過。身近な地名が出てくると、やっぱり「お~!」と盛り上がるじゃないですか。つい嬉しくなって、夫へ報告すると「それは嘘だ。日本では撮影許可か下りず、台湾で撮影していたはず。」などど白ける事実を披露する。うるさいわい。

【6月】
恒例になった某企業の株主総会へ。4年目にして、初めてアラシを見ました。業績が良くなると、自信満々で報告できるからいいよねーなんて思っていたのだけれど、おかしな人も寄って来るという裏面が。まったく双方よしとはいかないものだ…

質問コーナーでは、会場の様子がネットで流れるのを意識してか、’この日参加した想い出に’という傾向が多かった気がします。取締役に女性を!とか毎年聞いとるっちゅーねん。他の企業の総会でも未だお見かけしないので、まだまだ男社会なのでしょう。

どの企業であれ、私が興味を持って眺めているのは、社外取締役の選任。酷いと何社も兼任した挙句、その企業が不祥事を起こすと、"○○氏は社外取締役の立場から、注意を喚起していたにも係わらず"といった言葉で守られ、のうのうとまた候補(該当企業&別の企業)に名を連ねてくる。月1回程度の会議へ参加して、年間1千万円近い報酬。責務を果たせなかった時くらい、自ら退く選択はないのかと感じます。

中には、掛け持ちしていた数社で、同じ年に不祥事が勃発なんて方もおられ、そうなるとさすがに、4つも5つも引き受けている現状はどうなのよと。その立場でできることは、限られているのかもしれない。ならば、何のための社外取締役なのか。元官僚、元銀行のお偉いさん…企業側も、結局そういうパイプが欲しいだけなのかしらね。

そうそうアラシでした!序盤から中盤にかけ、系列会社の不祥事にしか斬り込めない、キレの悪いアラシが台頭。激昂するばかりで何を言いたいのかわからないおじさんや、卑猥な発言をちらつかせようとする2ちゃんねらー系の兄さんなど、なんだかなぁ。終盤に発言した女性が、控えめな体ながらもようやく「海外へ赴任していた社員が7億円横領という記事が出ていましたが」と切り出し、十分斬り込める余地があったんやん!と。アラシくんたち、勉強不足だぜ〜。

お歳の所為か、質問事項を忘れる株主さんもおられました。一つ目の要望の後、言いたい内容が出てこず、社長が微笑みながら「ゆっくり思い出してください。」会場は、クスクス笑いに包まれました。和むわ。中には、「創業者から学ぶべきことは?」なんて、どこまで遡るねん!的な質問も。それに対し社長が、経営理念として今も受け継がれる創業者精神を懇々と解説した挙句、「毎年株主総会の後は、菩提寺へお参りに行き、社の発展を…」と語り出し、武家社会かよ!いやー笑える。ここ数年は昇り調子で、さぞかし胸を張り、お参りしておられることでしょう。

食事をしに入ったレストランでは、隣のテーブルのご婦人方が、やはり総会に出席されていたらしく、「あの社長さん、オーラがあるわぁ!」それは…後光というよりも、頭そのものの輝きでは? 😏

このお店で案内していただいたのが、大阪城が真正面に見える席。「まぁキレイ!」思わず歓声を上げました。日々の疲れが、ああ癒される~。お店(ホテル)には、いろんな事情を抱えたお客さんが訪れますから。あの時の私には、ホントありがたかったですよ。🌷

【7月】
各種報道にもの思ふ1か月でした。

まずは、塩村文夏都議に纏わる報道。東京都議会で、晩婚化対策について質問していた塩村議員が、複数のセクハラ野次を受けるという出来事がありまして。当初は、女性議員が古臭いおじさん等に虐められたとばかりの、被害者的な扱いだったんですよ。ところが、男性都議の謝罪を受けている場面で、年長者に頭を下げさせているかの如き構図になったからでしょうか。今度は、塩村議員のタレント時代も含め、過去の言動を掘り起こしてのネガティブキャンペーンへと、舵を切っていきました。

週刊新潮&文春は、記事のタイトルの付け方が上手いこともあり、概ねその報道を面白く眺めていたんですが、今回うーむと感じたのは、年の差婚への彼女の素直な印象まで叩いていたこと。別れた恋人から大金をふんだくるなどのエピソードは、まだツッコミの範疇だと思うのですが。ある事象についての感じ方までとやかく言うのは、どうなんだろうと。

やっぱりおじさんは、若い娘との結婚を好意的に捉えて(夢見て)いるんだねぇ…苦笑してしまった。申し訳ないけれど、横から眺めていた、じんちゃんの所感はこうです。60過ぎた人間が、ピチピチした年代の愛情を勝ち取ろうなんて、おこがましいのよ。「キモイ」という意見があったって仕方がないと。

塩村議員は、自分も若い気でいるから、年輩男性に言い寄られる図を想像して、そんな発言をしたのじゃなかろうか。「ずっと一緒にいようね」と言われ、うすら寒さしか感じなくなるお年頃って、哀しい哉あると思う。そうして、下手に庇い立てする程、益々その対象のあはれさが浮き彫りになるということも。同類相憐れむ?いや、あえてそこへ斬り込んでこその、新潮&文春ではないのか。

それから、小保方晴子さんを叩き過ぎでは?ずさんな人だとは思うが、あそこまでよってたかってコケにする謂れはない。内容が疑わしいまま、それぞれのステップを潜り抜けさせてしまった…その裏には、お偉方のおじさまたちの存在が否めない。卒論にしろ、理研内の研究にしろ。だけども、それを通してしまった側の責任は、うやむやにされている。数々の問題は、彼女一人のものではないはずなのに、小保方さんだけが極端にフォーカスされている。おじさまへの追及が、甘過ぎないか?

裁判が進んでいた、秋田のキャバ嬢殺害事件も、興味深かったです。事件の流れを追っていて、やっぱりロクな世界じゃないよねぇと。店長の不手際への制裁が暴力ですよ。どう見てもヤクザの構図。命を奪われたキャバ嬢は気の毒だけど、今更被害者ぶる親には、そんな場所で娘を働かせておいてという気がしないでもない。店長とデキた挙句に、他の女へ乗り換えられ、それでも苦境に立った店長LOVEで殺害に加担するキャバ嬢が哀しい。「生きてきて初めて、こんなに人に裏切られた。殺してやりたいくらい。」と語る彼女は22歳。その矛先は、自分を捨てた男ではなく、上層部へ告げ口した同僚。

22年で初めてならええやないの…と、46歳のおばちゃんはつぶやく。自ら手を汚す必要なんてない。本当に相手のやり方が誤っているのであれば、やがて沈んでいく。それを許してくれる環境ばかりじゃないからね。求刑15年。その代償は、あまりにも高い。しかも、問題の発端になった店長ってのがサ、全然イケてないんだよー。 (~_~)

【8月】
図書館で予約していたエッセイ 遠藤周作『私は私、これでよし』が、ようやく手元へ届き、嬉しそうにしていました。この頃購入した松下幸之助『道をひらく』(新装丁版)と共に、本を通して’ご縁’や’きっかけ’について、考えていたようです。若い頃は、見送ってもまだまだチャンスがあった。でもこの歳になると、’次はどうなるかわからない’って想いが、頭をよぎるんですよねぇ。自分自身も、周囲の環境も、永遠じゃないから。


とまぁこんな感じの一年でした。秋以降の出来事は、長めのエッセイにしたためてるんで、そちらで。こうして振り返ると、結構動いていたんだなぁと。息子や娘とのお出かけが楽しかった!

じんちゃんの2014年 -前編-

2014年12月20日 13時51分07秒 | 歳時記
ここ数年恒例になりつつある、一年を振り返る企画です。じんちゃんにとって、今年はどんな年だったのか…

って思い出そうとしたんだけどもね、出て来ないのよ。最近はともかく、数カ月前の出来事となると。しゃあないな、あれの助けを借りるかぁ。という訳で、ネタ帳でもある友人へのメールから、紐といて参りましょう。

【1月】
元旦から『モテキ』で爆笑してますね。3年前に公開された映画を、テレビで放送していたの。劇場へも足を運んだ、愛すべき作品 やはりツボに嵌ったようで。長澤まさみ、麻生久美子、仲里衣紗、真木よう子と、主人公森山未来を取り巻く4タイプの女性を眺め、自分はどうやら麻生久美子らしいと、つぶやいていました。(^_^;)

まさみちゃんはキュートだし、真木さんの威勢の良さにも憧れる。が、体質的には麻生久美子なんだよねぇ。(せめて清楚で美人なルックスが似ていれば!)如何せん、イタい所にシンパシーを感じる。前半あははとウケながら、後半泣けて仕方なかったもん。

「それにしても、未来くんの人でなし具合には腹が立つ!モテないくんが勘違いすると、いかに迷惑かという典型だ。」プンプンしている様が可笑しい。重ね合わせるものがあったのだと思いますよ。たぶんね。

【2月】
娘の誕生日祝いを兼ね、某ホテルの総料理長がプロデュースするレストランへ。以前友人に教えてもらい、またゆっくりと訪れたかったのです♪ここのランチには、目にも鮮やかなデザートビュッフェがついていまして。さぞや食べ盛りの子どもらの胃袋も満たしてくれるハズ。そんな心づもりでいたのですが-

店へのエレベーターに乗り合わせた、20代後半から30代前半と思しき男性。既に駆け込み乗車だった我々の後から悠然と歩いてきて、扉に挟まれました。その後ろからは、可愛らしい細身の女性が…非情にも、彼女の前で閉まろうとする扉。

っとととっと!かろうじて開が押され、何とか全員乗り込めたのですが、先の男性は、彼女から軽く非難の眼差しを向けられたのか、「だって誰も開けてくれないんだもーん」

この時点で、おぼっちゃまだと感じたんだよね。誰かが何とかしてくれて当たり前。操作盤の前に突っ立っていた息子が、気の利く対応をとれなかったのもいけないのだけど、’彼女の為に扉を開けなければならなかったのは、あなただよ!’と、じんちゃんは思った。

ふと気付けば、娘が目を見開き、頬をふくらませるようにして、コーナーの観葉植物を凝視している。うっすらと笑っている風に見えたので、「何が可笑しいのん?」と尋ねると「いや別に」。やがて入店し、席へ案内される時「お母さん、ストレートな質問しないでよ~」と、返された。

「あの男の人の格好が、おもしろくて。」「外套着てた人だろ?マルフォイみたいな。」 愉しげに、話へ加わる息子。昔の学生が制服の上に羽織っていたかの如き外套を、お召しになっておられたんですよ。それをルシウス・マルフォイ(『ハリー・ポッター』のマルフォイの父です)だと。よかったね、間 貫一じゃなくて。

オールバックにサングラス…全身黒づくめで、得も言えぬオーラを発しているのは知ってた。大阪のようなメルティングポットならともかく、この界隈では少々目立ちまする~。さて、席についてメニューを手に取っておりますと、当の御本人が隣の席へ。密かに興味津々の子どもたち。

こうして、お食事が始まりました。しばらくすると、「申し訳ございません。」 責任者らしき男性が隣席にやってきて、しきりに頭を下げている。「早速取り替えさせていただきます。」なぬ?何か問題でも?どうもね、スープがぬるいと、そういうクレームだったようで。私と息子は同等のコースを頼んでおり、彼と同じスープが運ばれてきている訳ですよ。胸中複雑 (^_^;)

混ざっていた生クリームの加減で、ぬるく感じたのではなかろうか。ただね、フレンチって難しい。地元のお店で、まったく対照的なスープを飲んだことがあって、これにも困りました。適度な温かみ。お客さんが立て込んでいると、キープするのも大変ですよね。

料理が運ばれてくるたび場を覆う張り詰めた空気に、こちらも胃のあたりが。。。マルフォイ氏の意見は、正しいのかもしれない。が、彼のとった行動は、確実に隣席の人々に不快感を与えていたと思う。「あの、私は大丈夫です。」 彼の顔を立てつつ、店の人に気を遣っている彼女が、痛々しかった。

最後は「お店のブランドに恥じぬよう、まぁこれからも頑張ってください。」って、激励して行かれましたよ。一体おぬしは、何物じゃ!!「まぁね、今日はお客さんも多かった。」(←フォローのつもり)春節祭と重なり、ランチは2回転の時間制。店の場所から言っても、一見さんの入ってくる可能性が大アリなので、それ相応のおもてなしを求めるなら、最初からホテルのダイニングへ行くだわね。

一方、子どもたちは逞しい。「どこぞのオーナーと知り合いとか言ってたな。」「仕事で中国へ行った話もしてた。」勢力的にフォークを動かしつつ、二人の会話をちゃっかり耳に入れているじゃないか~

お給仕をしてくださっていた男性が、料理を食べ終えるなりデザートビュッフェにすっ飛んでった娘を見て、「余程楽しみにしておられたのですね。」 クスッと笑っておられたのが、印象的だった。「隣席が緊張感に包まれていたから、心が和んだんだよ。」 (←親バカやなぁ)

「あの最後の言葉は、もう20年…いや、30年くらいしないとね。」「ロマンスグレーの紳士な。」「でもロマンスグレーの紳士は、あんなクレームつけませんから~」 後日ママ友に、この話をしていたら「そういう時はね、彼女の前ではなく、陰でコッソリ店の人に注意するの。」それができれば達人だね。確かに。

「マルフォイ氏は、きっと車で来たんやろね。」「ロールスロイスかベンツ?運転手付きの。」「家で、どんなお料理食べてはるんやろなぁ。」絶対マザコンやで。余計なお世話だが。「しかしあの人、キャラ立っとうわー」息子のコメントに、うふふと笑ってしまった。

【3月】
ひょんなことから、あべのハルカスのオープニングセレモニーへ。所有しているカードの提携先から、観覧の案内が来たんです。グランドオープンを飾るのは、FM802主催のトークイベント。6組のアーチストをゲストに迎え、ラジオの公開収録を行うというものでした。

おっと身を乗り出したのは、そこになじみのあるバンドを見つけたから。「あら~BUMPがハルカスに来るじゃないの。」「えっ!?本当??」 (←息子)「うん。ただし旅行2日目やな。」「天橋立だろ?無理じゃん。。。」「いや何とかなる。隣の県やもん。」「んなオチか~い!」

故郷である関西と、嫁ぎ先の東海をつなぐ意味合いを込め、持ち続けていたクレジットカード。主にレジャー絡みで恩恵が受けられるのですが、そんな機会が度々訪れるはずはなく、それでも帰省の交通手段に活用していました。近鉄電車はねぇ、庶民の懐に優しい♪時間という点では新幹線に遠く及ばないが、座席を確保し、ゆったり移動できるのはありがたい。荷物を抱え、幼子に気を配り、自由席を求めホームの端までひたすら歩いていた昔に比べると、ああ快適~。近年三宮(神戸)からのアクセスも向上しまして。難波(大阪)を経て名古屋へ行くのが便利になった。

その近鉄がね、日本一高いビル(地上300m)を作ったと。あれまぁ、いつの間に!?しかし大阪に新たな名所ができたのは、喜ばしい。大抵の買い物は神戸で事足りるし、たまに大阪へ出てもキタで十分。そんな意識が、ダイレクトに難波へつながるようになった数年前から、少しずつ変化していた。ミナミへ楽に行けるとなると、やはりそちらも探求したくなる。あべのハルカス、ちょうどいい時期に誕生したわね。

「当たればラッキー、ダメでもともと。その時はゆっくり旅行ができるってコトか」と話していたのが、まさかの当選。それから、あれよあれよと話が動いていった。めぐり会いから6年。感慨深いなぁ。。。BUMP OF CHICKENは、ネットで交流していたお仲間さんに教えてもらったバンドだったんです。認知度の高いシングルでなく、アルバムでしか聴けない曲に彼なりの想いを託し、属していたコミュニティから卒業する際、私宛てに残していってくれたのでした。若干の皮肉が込められている気がしたけれど、BUMPが紡ぎ出す独特の世界観には圧倒された。以来、じんちゃんお気に入りの歌となりました。

その後息子がアニメ主題歌から辿りつき、私の知っていた歌を教えたら一気にハマった。そうして彼が借りてきたBESTアルバムに、今度は私が影響され…と、お仲間さんとの交流が途絶えてからも、BUMPの曲は私たちの日常に、なんとなーくクロスしていたのね。

もしあの時、お仲間さんから教えてもらわなかったら、今回ハルカスには行けていない。そう思うと、ホンマ不思議な縁やなぁと。一つ一つのちょっとした出来事が、つながっていく。提携カードを持っていたのも、親子でBUMPを聴くようになったのも、ハルカスができて、そこへメンバーがやってきたのも、ご縁のような気がするよ。運命論者かい。

「ヤバイわ~」「ヤバイヤバイ」会場となった百貨店屋上で、彼らの登場を待っている間、周囲の若者がやたらヤバイを連発していたのが面白かった。いい意味で使っているのはわかるのだが、つい茶々を入れたくなるおばちゃんは、「ヤバくないヤバくない」とつぶやく。「わりあいステージに近いなぁ。テンション高まるぅ~」コンサート自体行ったことがない息子は、生でミュージシャンを見るのも初めて。「藤原くんの目、見えるかなぁ。いつも前髪がかぶさってるもんね。」って、楽しみにしてるのそこかい!(^^ゞ

トークイベントは、DJマーキーさんの司会で、あらかじめ募集した質問にメンバーが答えるスタイルで進行。’BUMPの中のNo1は誰だ!?’といったテーマの割に、たわいもない内容が多く、そこでのやり取りは、概ね記憶の底へ沈んでしまった。。。それでも、質問に答える藤原くん(ヴォーカル)の声が、びっくりする程朗々と響いていたのは覚えている。意外。腹に力入らないイメージだったんですけど?メンバーからも、食事を注文する際、自分の声は通らないのに、藤原くんの声だと通るという証言が。なるほどと腑に落ちるのは、マイクいらずのような響きを、実際に耳にしたから。正に、’百聞は一見にしかず’ですな。

あと、ベースのチャマさんだったかなぁ…藤原くんと暮らしていた頃、部屋にゴキブリが出て、壁に貼っていたポスターの裏へ潜り込んだのを見届けた状態で数時間対峙。「早く戻ってきて!」とバイト先へ電話をかけ、帰宅を促したエピソードを語っていた。「で、藤原くんが始末してくれたの?」「ええ。優しかったですよ。」「ところが、ホラこれで!と差し出されたスリッパをよく見ると、僕のビーサンだったんですよ。。。」という展開に大ウケ。やはり’ゴキブリ’ネタは、心を掴むねぇ。

ウイング館屋上のイベントの様子は、タワー館のレストラン街から眺められるらしく、ふと見上げるとたくさんのお客さんが、興味深げに見降ろしていた。演奏はなかったけれど、和やかなトークに笑顔こぼれる、楽しいひとときでした。集まったファンは学生中心。しかしメンバーは経験と年齢を着実に重ね、もはや結構な域なのだった。そら腹に力も入るはずだぁ~

まだうっすらと寒さが残る春先。同じ風景を眺め、同じ空を見上げた。あの距離感、場の温もりは、私たちの記憶の中、’輝きになって残る’だろう。

https://www.google.co.jp/amp/s/www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/03/10/gazo/G20140310007747200.html%3Famp%3D1

バックに流れていた、この歌と共にネ♪
OGPイメージ

BUMP OF CHICKEN「ray」

BUMP OF CHICKEN「ray」

作詞・作曲:藤原基央
編曲:BUMP OF CHICKEN & MOR


お別れしたのはもっと...

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じんちゃんの2012年

2012年12月19日 09時46分29秒 | 歳時記
暮れも押し迫り、やっとここへ戻ってくることができました。話したいネタはあれど、ちっとも文章にできず、じりじりと気だけは焦る…困るのはね、齢の所為か、身に起こる出来事をどんどん忘れていくのよ~。つくづく折々に感じた事は、その時に書き綴っておかんとね。

まぁ今からでも遅くない⁈じんちゃんにとっての2012年、エッセイに登場しなかった項目も含めて、振り返ってみます〜。

① 八神純子コンサートツアー 2012『ツバサ』

② 親子ウォーズ

③ 株主総会&九州旅行

④ 勝谷誠彦トークショー

⑤ VIVA! 高校見学

⑥ ドラマ&シネマ

⑦ 図書室向上委員会

じんちゃんの2012年を飾る出来事は、2月21日神戸国際会館で行われた、八神純子コンサート。南佳孝と共に、学生時代から聴き続けているアーチストです。去年のセントレアLIVEへも行きたかったのだけど、叔父のお葬式と重なってしもて(泣)。

さて今回のLIVE、結婚・出産・アメリカでの生活etc…様々な事情が重なり、25年ぶりとなった全国ツアーだそうで。一方聴いているこちら側にも、人生のいろんな節目がありますから。必ずしも、タイミングが合うとは限らない。そう考えると、こうした復活の機会に立ち会うことができて、本当にラッキーだったなと。ファン歴長いクセに、初参加だったのよ。

生で聴く八神さんは、大舞台でのブランクを感じさせない程、しっかりした声量と、伸びやかな歌声をキープ、素晴らしい歌唱力でした。『水色の雨』『思い出は美しすぎて』『ポーラー・スター』『Mrブルー ~私の地球~』そして…『パープルタウン』往年のヒット曲が、ずらりと並びます。

新しいアルバムでは、中島みゆきの歌をカバー。彼女との出会いを振り返るお話もありました。「高校1年の時にコンテスト(ポプコン)で一緒になった、北海道出身の女性歌手が、ものすごく暗い人でね…」以前もお互い参加しており、その時の作品が素敵だったので、「私、あなたの曲が好きです。」にっこり笑って話しかけたものの、良好な反応をいただけなかったと。

まぁ八神さんが若くて、屈託なさ過ぎたのかなとも思いますけど。それにみゆきさんは、北の大地の人だから、恥ずかしがり屋なのよ。きっとね。以来あまりいい印象を持てないままだったものの、ここ数年ある曲を聴いて、改めてこの歌はすごい!と感激。

「とうとうカバーするまでになっちゃいました。不思議ですよねぇ。」そう紹介しながら歌った『時代』では、感極まって「ごめんなさい。もう一度最初から。しっかり歌います。」やはり、いろんな想いが交錯する歌なのでしょう。調べて見ると、八神さんが優秀曲賞を受賞した翌年、みゆきさんが『時代』でグランプリを獲得。ホント似たような時期に、切磋琢磨していたんだなぁと。ちなみにじんちゃんは、『空と君のあいだに』が好き。あの歌詞はいいよ~。

ユーモア精神たっぷりの八神さんは、結構お客さんをイジるんです。コンサート半ばで入ってきた前方席の男性に「遅れて来たんですか?もう『水色の雨』歌っちゃいましたよ。最初のうちは、馴染みの曲が並ぶので…」とニヤリ。「せっかくなので、最後にもう一度 『水色の雨』をやります。その代わり、CDの販売をしていますので、買ってくださいね。」 と売り込みも忘れない。確か休憩タイムの後、この男性が購入したCDを高く掲げ、会場から拍手が沸き起こったのだった。関西は、ノリがよろしいなぁ。(笑)

活動再開の裏側としては、長い間子育て中心でやってきたけれど、下の子どもが高校を卒業するにあたり、これからの自分を考えるようになった。「息子がバスケをやっていてね、試合の送迎をしたりで忙しかったの!」ああ、フツーにお母さんやってはったんや〜って、むちゃくちゃ親近感が湧いた。こうした事情に加え、日本で起こった思い掛けない震災、そういった「時代」の中で、八神さんなりにできることを考えられての結果なのでしょうが。

ニューシングル『さくら証書』では、大江千里と共に紡ぐ、こんな歌詞にうんうんと。
"わたしたちのこと選んで 生まれてきてくれた事にありがとう"
"小さな奇跡の連続こそが幸せと 過ぎ去った今になってわかる"
"時に母として 時にはひとりの友として 傷つける言葉を投げつけた事もある 
あなたがいつしか父親になっていく時に すべて愛だったとわかる日がやってくる"
春からの親子ウォーズを思い返しつつ、しんみりと聴き入りました。

"卒業証書を手にしたあなたに 桜の花びらが舞って私の春になった"
という箇所には息子さん、そうして自身の新たな旅立ちも込められているそうで。ヒットし辛いかもしれないが、こういう大人の女性の等身大を描いた歌は、もっとあっていいよねぇ。中高年の女性への応援歌って、あんまりない気がするので。

今年は泣いたり笑ったり、例年に増して忙しい一年でしたが、これを書いている現在、ちいさな幸せを見つけまして。とても良い心持ちで、来年へつなげられそうな予感。

『置かれた場所で咲きなさい』話題になった渡辺和子さんの本じゃないけれど、自分なりの居場所で、想いを伝えることはできる。ベースになっている部分って、一緒だったりしますね。ああ、やっぱり私は、こういう作業が好きなんや〜。それを実感できたのが嬉しかったかな。西野カナ。


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さくら証書 八神純子

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じんちゃんの2011年 -後編-

2011年12月31日 17時36分00秒 | 歳時記
④ 南 美希子トークショー

数ヶ月前にイベント企画を知り、興味をもったものの先へ進めず。そのうち学校行事や日々の雑用に流され、忘れかけていた。再び意識へ入ってきたのが、トークショー前日の朝。まだ間に合うゾ!「これも何かのご縁、行ってみよう」と、申し込んだのでした。

さてトークショーは、’GRAMOROUS’というファッション誌の編集長 藤谷英志との対談形式になっており、うららかな光降り注ぐホテルの小宴会場で、1時間ほど催されました。まぁ・・・場所が場所なんで、覚悟していたのだけど、お客さんの華々しさには、ひっくり返りそうになった(笑)。これには、ちょっとしたからくりがあったのですが。

私ね、家の書棚から南 美希子のエッセイを引っ張り出して、持参したの。折に触れ、繰り返し読んでいた作品。『男の勘違い』という1980年代後半に出版された本でした。’いろんなお客さんがいるだろうが、これを所持しているのは私くらいだ~’なんて妙な自信があり、受付でサインを頼んでみた。

「昔から南さんのエッセイを読んでいます。できましたら、サインをお願いしたいのですが。」前の人は背中を向けて会場へ歩き出していたし、後ろの人はいなかったので幸いだった。数名いたホテルのスタッフは、「そうですか。ちょっとこちらではわかりかねますので、ご本人に聞いてみますね。」との返事でしたが、本とサインペンを託して会場へ向かいました。

座席に荷物を置き、トイレへ行って戻ってくると「お客さま・・・」スタッフから本を手渡された。見開きのページに、私の名前と、南さんのサインと、日付。わ~い!即行で書いてくれていました。 すべては、他のお客さんに秘密裏に行われたプロジェクト。しっしっし。

昔から、コスメ関連に興味をもたれていた南さん。現在は、そちらの仕事が増えているのねぇ。トークショーのお客さんも、美容に関心のある方々が多く、シルク姐さん(元非常階段)の今昔みたいな気がしないでもない。話題は、やはり美容と健康がメインで、誰もが聞き易い内容となっていました。食事や睡眠についてなど。(←美容も健康も、これに尽きるのだそうです)

「ところで藤谷さんとは、渡辺淳一先生を通じて、知り合いになったんですよね。」なぬっ⁈渡辺淳ちゃんとな。「渡辺先生が、僕の跡目は彼に任せたとおっしゃるほどの色男。モテモテでいらっしゃるんですヨ。」と持ち上げる南さんだが、その言葉を石田衣良にも吐いているのは、ご存じないようで。困るなぁ~淳ちゃんは。そこここで「僕の跡目は君に任せた」なんて言うてたらアカンよぉ。 ま、勝手に任されて困惑してる人が、ほとんどだろうけど。

トークが終わると食事会。南さんがワイドショーのコメンテーターの仕事を離れてから大分経つ所為もあり、絵に描いたミーハーおばちゃんはいなかった。’今のお客さん’中心だなと思いました。元テレ朝のアナウンサーで、古舘伊知郎と同期って知ってる人いるのかね。お嬢さまや有閑マダム風も、お見かけしましたが、ずっと働いてきて退職、さてこれからの時間をどう使おうと好奇心をもって参加している方もおられましたし、忙しい仕事の合間を縫って飛び込んできた方も。

驚いたのは! 藤谷さんと南さんも、一緒のテーブルに着くのです(ただし関係者席)。そうして写真撮影タイムがあるの。私は眺める側でしたが、化粧直しに席を外した際、南さんとお会いしたので、お礼かたがたお話してきました。「あんなに古い本を持っていてくださって、ありがとうございます。」「折に触れ、何度か読み返しています。」「確かもう絶版になってるんですよ・・・」「ええーっ!?そうなんですか。若い頃と、しばらく経ってからと、受け止め方も違って面白いですね。」「内容が、ちょっと時代遅れなのね。」

バブルの時代に書かれたものだから、今には当てはまらない状況もある。しかし、タイトルになっている「男の勘違い」ぶりって、そうそう変化していないんじゃないかなぁ。内心こっ恥ずかしかったと思いますが(過去を押えられてるってね)、大人の対応をしてくれた南さんでした。はんなりしたグリーンのドレスに、アップにした髪・・・55歳はの今も華があります。 ソツなくスラスラと喋る中に、時折混じる「えへへへへ」という笑いが、少女のようで可愛かったな。


⑤ リアルCafe

ひょんなことから学校へ通い始めました。自分なりの居場所を見つけたからです。じんちゃんが生息していて不思議でない所とは・・・ じゃーん図書室なのだぁ♪現在息子の中学で、諜報活動をしておりますの(←ボンドかよ)。人が寄る所には情報も集まる。学生・ママ仲間・教師が顔を出す図書室には、いろんな情報が行き交うのです。

他県から越してきて地元や学校の様子に不案内だった私も、訪れる人々と言葉を交わすうち、何となく現状が見えてきた。今の中学生は勉強と部活に忙しく、図書室に足を運ぶ余裕などないんだね。そんな状況の中、何とか本を手にしてもらいたい。本好きの子は勿論そうでない子にも、きっかけを与えられたらなぁと、おばちゃんたちは考えているのです。例えるならば、図書室向上委員会?たかじんさんにちなみ、図書室行って委員会でもいいんですが。

当初は決していい環境じゃなかった。『ハリーポッター』シリーズは、パチられて全巻そろってない。教室からはやたら遠い。おまけに暗いし、古臭い本ばっかりだ。それでもいがぐり頭の少年が、精一杯伸びをして棚の上段にあった『羅生門』を手に取った時、じんちゃんは感動したね。 好きな子は、どんな環境であろうと、それを超えてつかみにくる。この灯火を絶やさず、つなげていこうじゃないか。

まずは何ができるやろ。おばちゃんたちは、部屋の雰囲気作りから始めました。殺風景な図書室に、ほんのりと彩りを添えてみる。折り紙で、飾りを作ったり・・・ベタな活動やけどね(笑)。他校の図書室を見学する機会があったのですが、日差しがさし込む心地良いCafeのような空間だった。 慌ただしい時間のあいまに訪れる、くつろぎの場。そういったスペースとして図書室を捉えれば、本に興味がなく接点を見い出せないという人たちにも、扉を開くことができるのではないか。

部屋の空気は、ちょっとした模様替えにより柔らかくなった気がします。腰を下ろして、おばちゃんたちとお喋りしていく生徒も、少しずつでてきました。部活のこと、友だちのこと、先生のこと、親のこと。思いを吐き出して帰っていきます。調子がいい時は、ドラマや本の話。ごくたまーに恋バナ。

魅力ある図書室になるよう、本の購入にも知恵を絞りました。’図書室に置いて欲しい作品って何やろ~’ 学生・図書のおばちゃん・教師、それぞれの立場から考えてみた。需要をにらみながら、己の趣味をさりげなく忍び込ませる(←こら)。予算には限りがありますので、どうしたら希望が通るのか、作戦を練る必要も出てきます。そうやって購入本が決まっていく過程は、楽しかったな。

アンケートを取ると、圧倒的多数の生徒から「ライトノベルを入れて欲しい」という反応がある。アニメ化された作品も多く、とっつき易いのでしょう。小説だと山田悠介(『親指さがし』『リアル鬼ごっこ』の作家ね)のホラー小説 。多くのニーズがある以上、それを無視することはできません。かと言って、何でもOKという訳にもいかないのが実情。折り合いをつけられるポイントは、どこなのか・・・大人からの視点で子どもに読ませたい作品と、子ども自身が求めている作品は、違うのよ。たぶんね。

今の子には、ダークな世界がウケている?息子を通したリサーチ(友だち関係)や図書室に来る男の子たちの読書傾向を眺めていると、そんな感触があります。文豪で言うと、太宰治や芥川龍之介。湊かなえの『告白』がヒットしたのも、わかる気がするなぁ。吉本隆明さんの『真贋』というエッセイに、読書の功罪について書かれていて、実もあれば毒もあるぞと。私はね、ダークなものを決して否定しないが、どこかで違う世界も押さえておいてほしい気持ちでいます。(好きな太宰作品で『走れメロス』が挙がると、ホッとするのねぇ)

そうそう。ちょっと驚いたのが、星新一の人気。私の学生時代から活躍されていたショートショートの作家さんですが、今の小中学生にもウケています。現役であり続けることって難しい。残っているとしても、かつてのファンに支えられている作家が多い中、星新一は違うんですよ。友人曰く、「短くて読み易いからじゃない?」。けど、それだけかな?とも感じる。何が若い世代を惹きつけるのか。赤川次郎ではなく、眉村卓ではなく、筒井康隆ではなく、星新一である理由があるはずだ。

活動にあたって、お仲間さんにも相談に乗ってもらいました。「本の紹介ポスターを作るといいよ。」という案は、担当の先生の意向とも重なり早々に実現。絵の得意な生徒たちが、思い入れたっぷりの作品を可愛らしく描いてくれました。お気に入りの本なので熱が入る。このポスターがきっかけで、購入することになったライトノベルもあったな~。
http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/4-8402-1585-5/

担当の先生はじめ、おばちゃんたちにとって、ライトノベルは未知の領域。生徒に支持されてるジャンルと言えど、我々に基礎知識もなく、どんな作品を入れたらよいのかわからない。’そうだ! 餅は餅屋!!’と、これまた別のお仲間さんに助けを求めるじんちゃん。こちらのお仲間さんは、その感性が理解できる年代だけに、学生の意向を捉えたプランを掲げてくれました。それを参考にセレクトされたライトノベルが、現在図書室に並んでいます。

それから・・・ 「図書室だより」で、いろんなジャンルの本を素敵にアピールしてはどうかという彼の案はね、私がこの手で実現させました~(爆)。どれくらいの生徒が、保護者が、目を通してくれたのかわからないけれど、息子の部活仲間からは、即反応があって面白かった。何より息子がびっくりしてた。オススメ本は一部しか紹介していないので、機会があったら、また書いてみたい。

ここのお仲間さんのアイデアが、地方のある中学校で形になった。 これも一種のコラボかな。


⑦ アントキノイノチ

独身の高齢者が病魔に冒された時、周囲は・・・親族の死を通して、いろんなことが浮かび上がった1年でした。自分なりの見送りができて、悔いはないものの、疲れた~

んっとね、じんちゃん叔父宅の遺品整理を手伝ってたんです。必要なモノ・必要でないモノを分別する、必殺仕分け人。ここでも断捨離か~。仕事関連の資料や趣味のモノから、本当に少しだけれど、叔父の人生が垣間見えました。いやはや一人の人間が生きてきた足跡って、スゴいねぇ。簡単に始末できるもんちゃうわ。食料品、衣類、生活必需品、書類、本、DVD・・・ おまけに現場の汚染度は、レベル’フォー!’(←レイザーラモンかよ)。

このね、ほとんどゴミ屋敷と化した家内の処置が大変だった。各部屋に数年間の新聞、及びその切り抜きが山積み!食卓台、ソファー、ベットの上、和室。足の踏み場もないとは、こういう状態なんだと驚いた。まったくどこで生活してたのかって感じですよ。座る場もない。寝る場もない。家中モノであふれていて、重要書類や貴重品が埋もれまくり。

一つ、また一つ、いらないモノとして処分したり、引き取り手を探したり。除けていかないことには、浮かび上がってこないのもあるので、いや~時間がかかりました。数カ月間、休日返上で頑張った。遊びの予定を入れていても、ギリギリまで叔父宅で作業。疲労困憊で現地へ向かってたのよ。トホホ。

亡くなるまでは、病に臥せった叔父の処遇をめぐり、親族が対立。デッドヒートを繰り広げる伯父(兄)と叔母(妹)の間をかいくぐり、私にできることを粛々とやっていました。ともすれば双方から連絡が入り、争いに巻き込まれる。きょうだいなのは母なのに「じんちゃんに変わって」と。嬉しないゾ。指名料をいただきたいくらいだ。母もまたマイペースな人なので、その対応をめぐり誤解やら何やら。紐解いていこうとするのだけど・・・うーん。むちゃくちゃ労力がいる。

それぞれの立ち位置が見えた数ヶ月。’かわいそう’だけでは、やっていけないのが実情だった。終末医療の理想と現実。少しでも気持ちの良い環境で人生を終えるのが理想かもしれないが、それが可能な病院(ホスピス)は限定されるし、巡り合わせのものでもあるし、動いている人が整えようとすると、その人の手間がかかる。絵に描いたようにはいかないよ。私は・・・動いてくれる人(伯父)がいるだけ、幸せじゃないかと思った。

遺品整理を手がけた者の特権として、叔父が所有していたDVDや本を譲り受けました。古い名画のDVD(西部劇や戦争もの、スパイものを中心に)がたくさん今にして思えば、初めて『大脱走』を目にしたのも叔父の家でした。

持ち帰った遺品のDVD上映会。まずは007第一作『ドクター・ノオ』。ショーン・コネリーのあまりのかっこよさに、ぶっとびました。頭髪が薄くなってからしか知らなかったもんで。スタイルよく、ワイルドであり、そうして意外と気品があった。ボンドと言えば、ロジャー・ムーアだと思っていたけれど、ショーン・コネリーを知ると、ロジャー・ムーアはニヤケに見えてしまう・・・。なんせ私がまともに見たのは、選りに選って’お笑い’『ムーン・レイカー』だからなぁ。

意外な拾い物は『あずみ』。以前テレビで観て、冒頭でお茶を入れに行っている間に、ファンだった瑛太が死んでしまい、「そりゃないよ~!」となった作品なんですが、じっくり観ると、なかなかよくできておる。カット割りが素晴らしいです。 上戸彩、キレイに撮ってもらってたなぁ。

今年の秋、奇しくも遺品整理業を扱った映画が公開されました。『アントキノイノチ』(岡田将生くん主演) 。この中で現場リーダーの原田泰造が、こんなセリフを吐きます。「故人の名誉を守るのも、俺たちの仕事なんだ」まったくもって、その通り。叔父のベッドの上にも、パンティー(←新品)があったしな。バラすな~。現実って、そんなモンす。現場にいた者は失笑を隠せず、伯父に至っては「なんだこりゃ~」夫と息子はぷぷっ。私「せやけど、捨てるのはもったいないね。アンタはきなよ。」娘「いや~ん」

私はね、人間らしくていいじゃないと思ってるの。でも、そんなものは受け入れられないという人もいるだろう。なので、故人への思い入れいっぱいの叔母には話していません。おそらく伯父も隠してるんじゃないかな。それがいいのか、悪いのか。ますます現実を知らない叔母が、想い出に浸り乖離していくのだけど。ピンクと白で、フリフリの可愛らしいパンティーでした。私は、はきたくともはけない。 腹がはみ出る。悪かったな!!という訳で、今年はこれにて締めさせていただきます。みなさん、ありがとう。よいお年を♪

http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=C1YutKFqtvU&feature=endscreen