JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

繕い裁つ人

2015年03月11日 18時41分06秒 | 映画
2015年に入りまして、にわかにKOBEがアツい!1月に竹内結子主演のスペシャルドラマ『上流階級』がテレビ放映されたのを皮切りに、シーズレインの白羽監督がメガホンを取った『神戸在住』、そうして中谷美紀主演の話題作『繕い裁つ人』の劇場公開と、神戸を舞台にした作品が続々と、日の当たる場所へ。

とりわけ『上流階級〜富久丸百貨店外商部〜』の華々しいキャストには、目を見張りました。単に人気役者を集めただけでなく、各々が、それぞれの持ち場で、本当にいい仕事をしていた。浅野ゆう子、高畑淳子、松雪泰子…おお~忘れてはならない、倍賞さん(美津子)もだわ。ドラマ界で主役級の面々が、竹内に絡むのです。

限られた出番において、存在感を放ちながら、相手をも引き立たせる。大変だったと思いますよぉ。本人は勿論、周囲もネ。ああ、男性陣の気遣いが目に浮かぶ。演出の澤田鎌作さん、猛獣使いかと。

ケーキ売り場のバイト嬢から、叩き上げでのしあがってきた主人公。そんな彼女が、新たに配属されたのは、男ばかりの部署だった!ノルマをこなしゆくツワモノ社員、一筋縄ではいかぬお得意様、小生意気な後輩、ややこしいクレーム男など個性派キャラに揉まれつつ、持ち前のバイタリティーで奮闘するデパガを、竹内結子が好演。久々に、フジのドラマの真骨頂を見た。

小生意気な後輩を演じた斎藤 工。『昼顔』の冴えない高校教師より、俄然こちらを推す。また外商軍団の中、時に意地悪オーラを発しつつ、燦然と輝いていた堀部圭亮も良かった。「あの北村一輝みたく濃い顔の人、誰なのよ。」昨年の今頃、ドラマ『緊急取調室』をチェックしていた友人がつぶやいて以来、私たちの間では、ちょっとした注目株なのだ。

「『花咲舞が黙ってない』では、セクハラ上司だったよ。」「『必殺仕事人2014』にも出演してました。もち悪役♪」「『信長協奏曲』にもいたわ。足利義昭さんでした。」なんだか見つけると嬉しくなるのね。「出ていたと聞いた頃には、もう出ていないんだよね。登場短すぎ。」口火を切った友人は、不満を漏らしたものだが、役所も出演時間も、着実にステップアップ。という訳で、『上流階級』連続ドラマ化希望!(←堀部さん目当てかーい)

実はじんちゃん、仕事人が好きなんです。本人が理想とする環境なんて、そうそう回ってこないと思うのよ。それでも割り振られた役割の中、きっちりと成果を出す。そんな心意気が響き合い、調和のとれた作品に仕上がっていると、素敵だなぁと感じる。今回それが、よく活かされていた。

「大丸の元町外商が舞台になってたね。すっごく面白かった。」「草刈正雄(伝説の外商マン)、竹中直人(温かく見守る上司)、浅野ゆう子などのメンツが美味しかったわぁ~。あと高畑淳子さんの鶴様は、是非レギュラーで!」「浅野ゆう子が演じた六麓荘の奥様、黙って微笑むのは気分を害した時ってのが怖かったわ。彼女たちの中で、お金持ちとは成り金を意味するというのも、勉強になった。」「父の幼馴染で外商の方がいらしたので、あのおじさんも大変だったんだなぁと。草刈正雄でも、伝説でもない、一外商マンでしたが。」

実は、このドラマには原作がありまして。作者の高殿円さんは、神戸生まれの小説家。関西の女子大出身(あの湊かなえさんも!)だそうで、そういった方の活躍を目にするのは、頼もしいですねぇ。当世、女子校ってのは分が悪く、昔ながらの学校も、随分共学化へ傾いてしまいましたから。でもね、女子校ならではの良さ(そこで育まれる感性・視点・文化)ってのも、やっぱりあるんですよ。

ちなみに『繕い裁つ人』の監督三島有紀子さんも、関西の女子大出身。映画の中に、ひっそりと母校が登場しているのですが、じんちゃんは、その空間の美しさに、ため息がこぼれました。ああ、私もあんな場所で、お気に入りの本のページをめくりたい。

さて映画 『繕い裁つ人』。祖母の仕立て屋を引き継ぐ頑固職人のヒロイン(中谷美紀)と、彼女が手掛ける服をこよなく愛する青年(三浦貴大)の、淡い恋の行方も気になるところ。なのですが、あの内容は中高年の方々にこそ、観ていただきたい。鑑賞する側の身に置き換え、味わうことのできる作品。いろいろ考えさせられるモノがありました。

昔ながらのスタイルを守り、受け継いだ仕事を、淡々とこなしていく中谷。先代が仕立てた服を、顧客の変化(或いはニーズ)に合わせ、その人生と寄り添うように作業する。彼女独自の作品を見たい、より多くの人へその服を届けたい三浦くん(デパートに勤めているのだ)は、ブランド化の話を持ちかけるが、「着る人の顔が見えない洋服など作れない」と、けんもほろろの反応。それでも彼は、彼女の洋裁店へ足を運び、その行く先へ付き従い、自身の想いを伝え続けてゆく。果たして、そのアツい心情は、彼女へ届くのか!?

主人公の不器用さ、わかる気がするなぁ。どうも人ごととは思えなくて。 ’好きなものとだけ、シンプルに生きる’ 凛とした迷いのなさが、羨ましくもあるけれど、’シンプルに生きざるを得ない’部分もあるのでしょうね。

「夢見る為の洋服を作ってるんです。生活感出してたまるもんですか。」「そんなにあったら、本当に好きなモノが、わからなくなってしまうんじゃないかしら。」「何だか悔しいわ。自分の居場所を簡単に変えてしまえるんですもの。」中谷演じる市江語録に頷きつつ、耳を傾けていたじんちゃんですが、とりわけこの言葉には、心を揺さぶられました。

「引導を渡されるまでは、どうぞ自分から投げ出さないでください!」この前のね…時代の流れに背中を押されるように、店をたたむ決意をした同業者(伊武雅刀)の台詞「その人と共に終わりゆくモノがあっていい。」と対になっていて、どちらも泣かせるんですよね。

三浦くん&中谷さんの恋の行方については、ああ、やはりここでも’押して!押して!引く’のセオリーが通用してしまうのだなと。彼がそれを駆け引きとして使った訳じゃないのが、救いかな。「今度ばかりは、はっきり言いますけど」(←中谷さん)「いつもはっきり言ってるじゃないですか」(←三浦くん)に始まる二人のまっすぐさ加減が、微笑ましかった。

そうして、こちらのセオリーも裏切らない展開となるのですが、その結果は是非、ご自分の目でお確かめください。「恋愛は、人間が変化する一番大きなモチベーションになる」


OGPイメージ

平井 堅 『切手のないおくりもの MUSIC VIDEO』

http://www.kenhirai.net
平井堅が5月28日にリリースするコンセプト・カヴァーアルバムの第3弾「Ken's BarⅢ」...

youtube#video

 



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マディソン郡の橋

2013年12月27日 14時46分12秒 | 映画
今年も残りわずか…。いろんなことがありました。12月上旬から、気分的にいっぱいいっぱいになってしまいまして。結局犠牲になるのが、ここでの活動だったりします。リア充も大概にしとかんとね。

先日、深夜映画で『マディソン郡の橋』を見ました。ツッコミ所満載の映画だったのだけど、うーむと考えさせられる部分もありで。ああ、アメリカの片田舎の主婦だって、似たような想いを抱えて生きていたんやなぁ…なんてサ。

思春期の子どもにツンツンされながら、気丈に一家を守っていたヒロイン(メリル・ストリープ)が、行きずりのカメラマンに、ふらっとよろめいてしまう訳ですよ。このカメラマンがね、クリント・イーストウッド。撮影当時、御年60ウン歳ですか。いくら’中高年の恋’をテーマにした作品つったって、年行き過ぎだ! (爺ちゃんにしか、見えませんでしたからーっ)

クリント・イーストウッドと言えば、老体に鞭打ち暗殺犯を追跡する『ザ・シークレット・サービス』の芝居が印象に残っておりまして。あの作品でさえ『マディソン郡…』より前ですもん。もう無理っしょ感しか出てこない。ヒロインは女ざかりMAXのお年頃だからいいけどさ~。あんまりドキドキさせると、彼の心臓に悪いわよぉなどと、いらぬ心配をしつつ、二人の恋の行方を見守ってしまうのでした。

メリル・ストリープ、きれいだったな。 初めてそう思えた(←こら)。子どもたちからすると、困ったオカンなのだけどね。

母が亡くなり、貸金庫があるというので、いそいそと出かけて行くのよ。もしやお宝!?なんて期待するのが、人情やないですか。ところが中から出てきたのは、かつての恋の証。自分たちの窺い知れなかった母の顔が、ひょっこり飛び出しまして。’ばぁ~’ びっくり箱 びっくり箱 驚いた…明石家さんまの歌じゃあるまいし、いたずらにも程がある。

予想だにしなかった真実を眼前に突きつけられ、逃げようとする長男、受けとめようとする長女。’男って、やっぱ弱い生き物なんやなぁ’ じんちゃん、いたく納得。ここですなぁ~!それでも健気な彼らは、家族が留守をしていた4日間に、母の身に起こった出来事を辿りつつ、わが身を振り返って、行き詰りかけていたパートナーとの関係を、紡ぎ直しちゃったりするのです。ポジティブだよねぇ。涙が出る程に。

あなたについて行きたいの♪でも、イケナイわ。行けないわっ。身もだえしながら、家族を守った甲斐があったって訳だ。しかし、メリル・ストリープの感情移入っぷりもスゴい。道を尋ねる為にぶらり、立ち寄ったおっさんにゾッコンとなり、それからの4日間に、女としてのすべてを、一気にぶち込む。うりゃあああああ。正直たまりませんね。何が、彼女をそうさせたのか?なんて想いを馳せ出すと、エピソード1とか2とか、サイドストーリー(←どっちかっつーと、こっちが気になるのだ)がぽこぽこ生まれそうよ。

家庭の中心で、ドッカリ存在しているはずのヒロインが、置いてけぼりを食らったように、自信なさげにしている。向こうの女性ってサ、もっと意識が高くて逞しいイメージだったから、この設定は、ちょっと意外だったな。舞台となった土地柄の所為なのかもしれないし、そういう時代だったのかもしれないけれど。約20年前、この映画が世界的にヒットした背景には、そういったヒロインの心情を理解できる土壌が、まだまだ残っていたんじゃないかと。行きずりの男になびく人妻の心持ちとして、興味深かった。

さて、じんちゃんの2013年は悲喜こもごもでしたが、どうやら笑顔で年を越せそうな感じ。不本意な結果に終わったこともあった。が、己の努力だけではどうしようもなかったと解釈している。しんどくても、辛くても、頑張れば頑張っただけ、やったーと充足感の得られる、そんな場面が、自分に残されていただけ幸せ。

来年も、本読んで、映画を観て、エッセイ書いて、マイペースでやっていけたら、御の字かな。西野カナ。


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舟を編む

2013年05月02日 02時57分18秒 | 映画
ちょっとした出来事が

ある時は大きな喜びになり、ある時は深い悲しみになり

この数ヶ月間というもの、情緒的にしんどい状態が続いている。

私のペースは、ことごとく破壊され、振り回され

それはどこか恋にも似て

こんなに狂おしい渦へ、身を委ねなければならぬのなら…

キケンな思考が、頭をもたげそうになり、あわてて打ち消す。

そんな寄せては返す感情の中、

少しずつ覚悟が固まってゆくのかもしれない。

あきらめることは、非なのか

希望を抱き続けることは、是なのか

うつろいゆく状況を受け止めつつ

それでも守っていきたい部分は何なのか?

落ち着いて考えられるだけの、心の余裕を保ちたい。

折れずにやり過ごす、しなやかな強さが欲しい。



<近況報告>
映画『舟を編む』を観ました。ここで言葉を綴るのにも、どういう表現がいいかなぁって、結構考えるんです。膨大な言葉の海から、少しでも自分の心にぴったりのモノを探していく…。不器用なので、すんなり見つからないこともしばしば。だけどそうやって探し続けた言葉で、人とつながることができたら、やっぱり嬉しい。改めて、そんな気持ちを思い出させてくれた作品でした。

主人公の松田龍平くんと、宮崎あおいちゃんの恋物語は、今の私には眩しくて。ああ、こんな風に、自分の勇気一つで、想いを伝えられる環境っていいよなぁと。この歳になれば、言葉に正直であろうとするあまり、素直な感情を吐露できない場面だってあるし、必ずしも、人と人とをつなぐ為だけに、言葉というモノが存在しているのではないことを思い知らされていたりするのだけど、それでも、その役割を信じていたい。 良い場面でも、悪い場面でも、経験を重ねてきた人間なりの言葉の使い方があるはず…と、辞書作りにかける編集者たちのドラマを通して、我が身をつらつらと振り返ってしまいました。

松田龍平くん、パッとしない青年役がしっくりハマってた。弟(松田翔太)に比べて華がないなぁなんて-いや、だからこそ逆に良かったのか!?-勝手な印象撤回します。’変人’という言葉で容易く括りたくはない、愛すべき・味のあるキャラクターに仕上げていたヨ。オダギリジョー。見た目フツーにしてる方が断然いいやん♪と思っていたら、そのまんまで終わらなかったのが、彼の彼たる所以。しかし、脇に回っても上手い。決して’これでもか’系ではなく、ごく自然に上手い。加藤 剛・小林 薫・伊佐山ひろ子+黒木 華。編集部の面々は、ホント素晴らしいキャスティングです。

ただ後半にかけて、静かに存在感の広がりを魅せる、八千草 薫はどうかなぁ…。老いてなお、たおやかさをキープし続ける女性として、好感を抱いてきたのだけど、最近いささか出過ぎのような気が。それに加藤 剛(←老け役ではあるが)のヨメさんにしては、ちょっと上では?などとツッコミつつも、楽しく拝見しました。

ゴールデン・ウィークの平日。場内は、ほぼ満席。2012年度の本屋大賞を獲った、三浦しをんの小説が原作だけあって、注目度高しといった所かな。(特に、中高年のおじさま・おばさま方の堅い支持に支えられている感じ)そう言えば、昨年の『天地明察』に続き、今回も本屋大賞受賞作に出演の宮崎あおいですが、『神様のカルテ』といい、『陰日向に咲く』といい、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』といい、つくづく同大賞に纏わる作品に、縁のある女優さんですネ。’本屋大賞女優’と命名致しましょう♪

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ヘルタースケルター

2012年08月30日 10時14分00秒 | 映画
暑い日が続いていますね~。みなさま、お元気でしょうか。こちらは、怒涛の日々にようやく区切りがつきまして、ホッと一息といった所です。家計のこと、息子のこと(受験まっ只中)、ある程度の方向性が決まると、あとは歩みを進めるだけ。マイペースなじんちゃんの家族は、やっぱりマイペース。その気にさせるのも、一筋縄ではいかない訳で。書庫の片隅に眠る『人を動かす』を手にとり、デール・カーネギーさんへ、助けを求めたくなったくらいよ。

最新の話題として、『るろうに剣心』を観てきました♪なんてのもあるのだけど、今回は『ヘルタースケルター』について語りたいと思います。沢尻エリカ5年ぶりの主演作品というコトで、マスコミには鵜の目鷹の目好奇の目で見られていたフシもありますが、いや~何とか夏を乗り切ったねぇ。

公開当初、神戸の某映画館では1時間毎のスケジュールとなっておりまして。’はて、こんな短い映画だっけ?’といぶかっていたら、ナントまぁ!2つのスクリーンを使って、ドシドシ上映されていたのでした。これは…大麻疑惑報道が出ている沢尻に迫り来るXデーを睨み、すみやかに利益回収を図ろうとする興行側の目論見か!?つい勘ぐってしもた。m(__)m

その甲斐あって?公開1ヶ月で、約130万人を動員(興行収入は20億円に迫る)。体調不良を理由に、事前のPR活動をほとんどしなかった沢尻だが、それでも一つの結果は出せたと。実に興味深い。ややこしい役者を使こうてる時は、そういう戦法もアリなのね。そもそも舞台挨拶での「別に…」発言で、沢尻叩きの発端となった『クローズド・ノート』、チェックしてみたものの、それ程必死こいて宣伝する作品でもなし。あの時の沢尻の気持ち(PR疲れから爆発)、分からんでもなかったよ。

しかし振り返ってみるに、『嫌われ松子の一生』の中谷美紀は優等生だったんだなぁ。こちらも『ヘルタースケルター』同様ヘビーな内容だが、きちんと取材に応じ、バシっと受け答えしていたからね。(私はそのインタビューを見て、劇場へ足を運んだのだ。なんて気品があり、頭のいい女優さんだろうと思った。)さてこの度、岡崎京子の人気コミックを原作に、絢爛たる映像美を展開した『ヘルタースケルター』、じんちゃんの目には、どう映ったのか!?

まずは、沢尻演じるトップスターりりこの恋人役に萌え~。これ、窪塚洋介くんが好演してるんですが、幕開けからりりこ以上に!?キラキラ輝いています。マンション9階より謎めいたダイブをやらかして以来、何だかさ〜パッとしなかったじゃない?『池袋ウェストゲートパーク』の’キング’を面白く見ていた身としては、彼の復活が一番嬉しかった。やっぱ窪塚くんはいいよ~~~ もっともっと活躍の場を広げていってほしい。

劇中のガクトばりの扮装(こんな言い方しかできず、スンマセン)も楽しかったのだけど、コミックならではのキャラを現実で成り立たせてしまうフシギな逸材。『カムイ外伝』の伊藤英明とか、『あずみ』のオダギリジョーみたいな、イカレた悪役も似合うだろうなぁ。。。

次に、じんちゃんをうならせたのは寺島しのぶ。「私がいないと、彼女は何もできないのぉー」といった思い入れをよすがに、奔放の限りを尽くすりりこをバックアップするジャーマネ。しかし、こんな役よく引き受けたよね。。。と見るのは、沢尻よりむしろ寺島しのぶではなかろうか。

どんなにえげつないシーンでも、美しく撮ってもらっている沢尻と違い、寺島の扱いはヒドい。沢尻のヌードばかり話題になっているが、彼女も脱いでいるんだよ。ちゃんと取り上げてあげようよー。キモいけど(←ペチっ)。りりこを際立たせる為、とことんブサイクに徹する。そこにまさしく寺島の女優魂を見たね。黒木瞳には、できそうもない芸やな。(関係ないけど『GTO』、もっさい購買部のおばちゃんに徹しておればよいのに、実はアタクシ美貌の理事長なのよ!と言わずにおれないのが、黒木さん的やなぁと思う。)そうして桃井かおり(芸能事務所社長)は、やっぱりいい味出してる。

一方りりこを脅かす、後輩モデルの水原希子。生まれながらの美貌の持ち主って、私は彼女の魅力よくわかんないわ。『思い出にかわるまで』の松下由樹の魅力くらいわからない(←古い話やな~)。いや、父の遺品ビデオから出て来ましてん。当時も今井美樹から松下へなびく石田純一に憤りながら見ていたのだが、小悪魔ってだけじゃあねぇ。そうは言ってもあの頃の今井には勢いがあったから。イマイチ説得力に欠ける配役だ。今回だって、堕ちようが汚れようが、りりこには魅力があるのよ。独特のオーラが・・・

圧倒的美貌を体現できるとして、そこへ沢尻を嵌め込んだ蜷川監督だが、あんなキテレツなメイクを施し違和感をかんじさせないのは、沢尻エリカか浜崎あゆみくらいのもんだろうよ。美貌で売っている女優ならそこそこいる。それだけの人じゃないから、りりこも沢尻も面白いんであってね。

ただ、一つの作品として完成されているかと言えばムズカシイ。数々のハードシーンをこなした沢尻を評価する向きもあるが、イコール女優開眼に至ったとは言えないと思う。それは彼女の所為というより、監督や脚本家の力不足じゃないかなぁ。ここまでさせておきながらって気がしないでもない。

『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督もビジュアルに拘る人だが、徹底したエンターティメント。それを通して伝わってくるモノ、感動する部分が、確実に存在している。蜷川監督の表現は、まだまだビジュアル止まりって感じがしました。脚本(金子ありさ)も弱い。沢尻にとっても、蜷川監督にとっても、一つの通過点となる作品(あえて代表作とは言わないよ)。次に繋げるモノは持っているので、この後どうなっていくか(EVOLUTION)に期待します。

美しかったのは、沢尻-窪塚のセックスシーン。これ絶品!りりこの髪に巻いた色とりどりのパステルカーラーが、すっごく可愛い!! 『ノルウェイの森』の直子のマフラー&毛糸帽子のように。蜷川さんは、小物の使い方が上手です。

クスリと笑ったのは、仕事をもらうためプロデューサー(哀川翔)に抱かれるりりこの図。派手なあえぎ声をあげつつ、がばっと相手の背後へ腕を回して時間を確認する。女ってこういう時、意外と冷めてるからなぁ…。あれは、女性ならではの演出かもしれませんね。男は、額面通りにとらえているでしょ?おそらく。

心和んだのは、田舎から出てきたデブでブスの妹と、草原でお話しているりりこ。’キレイで居続けなければ’あくなき美への追求、それに伴う極度の緊張に包まれた、芸能界での様子と対照的。自然な表情がとっても愛しい、じんちゃんの好きなショットです。あの妹役の子いいわ~。

美容整形を施す医者のくだりが曖昧かな。患者に自殺者が出ていて、それを追う検事も居て、なのに、りりこが崩壊していく過程(これも一本調子かなぁ)へ寄り過ぎ、そちらのストーリーが中途半端。一体どう描きたいのか、よくわからなかった。

場内は、ほぼ満席。映画終了時に聞こえてきたのが「窪塚くん、かっこよかったよねー」私と同じ感想でした。って、ヒットしてるのそこかよ!

「沢尻さんは、年をとってもいい演技ができるかしら。『パッチギ』ぐらいしか観たことないから若さがなくなったらどうなるか不明。」

「岡崎京子の絵は当時スタイリッシュと言われたけど、桜沢エリカとか安野モヨコの方がセンスいいと思ってた。それでも人間で再現となると、かなり役者を選ぶよね…その点沢尻&窪塚ならピッタリ。彼らを出演させたお手柄はあるよね。」

「私も観てきました。蜷川実花のビジュアルへのこだわりは相当で、りりこの部屋の質感とか、バスルームで倒れているときの髪の広がり方とか、すごくおもしろいと思いました。寺島しのぶ、やってくれますねぇ。美しい美しくないの別はすっかりふっきれて、恥を捨て去ってるよね。でも、あのダサダサがあるから、りりこの奔放さが浮き上がって見える。りりこがジャストサイズの服や下着で現れるのに対して、マネージャーさんは、濡れ場シーンでもカップの合わない白いブラつけていたりして、絶対りりこよりきれいに撮らないようにしているみたい。芸が細かいのだわ。」

友人たちの反応も、付け加えておきます。

とにかく、沢尻が自分の居場所へ戻ってこれてよかったよ。ここ数年の状態を見ているのは辛かった。何か、違う方面で騒がれちゃってサ。彼女は、男性の監督に鍛えてもらった方がいいんじゃないかしらん。現場で馴れ合いたくない。本当は仲良くしたかったけどって辺り、『陽暉楼』の浅野温子みたいやなぁと。’はーい、あっちゃん♪’余裕の池上季実子と違い、バチバチのケンカシーンを撮る為に、「アイツとは口をきくな」という監督の教えを頑なに守った浅野。ああ、五社監督が生きていたらな~。「沢尻は予想以上に繊細で、不器用な人間だった」蜷川さんも、わかってるようでわかってない。

「役(ヤク)は抜けましたか?」って記者に、座布団一枚!初日舞台挨拶でのヒトコマに、’あはは’と笑ろた視聴者は、一人やないでしょう。記者も一生懸命考えてきたんやろね。しかしながら、眺めている分には面白くとも、即興で答えるには頭痛いゾ。さて、あなたが沢尻エリカなら、どう返します~?

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恋愛戯曲

2010年10月08日 10時05分43秒 | 映画
鴻上尚史さん監督・脚本の『恋愛戯曲』を観た。B級映画なのに(←スンマセンっ)、涙が止まらなかった。ヒロインであるガケっぷち脚本家の感情一つ一つが、どこか覚えのあるもので(なんて言うと、ちょっとおこがましいかな)、つい引き込まれてしまったのだ。

表現の世界に生息している人間。とりわけ、身を削るように創作活動を行っている人間にとって、笑えないシチュエーションや、切実な問題が描かれていて、面白く拝見した。-ただし、『ザ・マジックアワー』における三谷幸喜ほど通俗的な娯楽に昇華させるのが巧みではなく、そういう環境にない人が観てどこまで楽しめるか、感情移入できるか疑問なのだが-

徹底したエンターティメントという観点で捉えるなら、出来のいい作品とは言えない。全編に’ベタやな~’’アホくさー’感がつきまとい、設定の甘さも否めない。しかし映画の魅力は、内容の良し悪しだけでは量れないのだ。多くの人間に満足感を与えなくとも、誰かの心に訴えかける要素があれば、その人にとって印象に残る映画となる。私は、今の自分がこの作品に出会えたことに、感謝したい。

シナリオ〆切まで、あと5日。仕事の進行を促しに来た初対面のプロデューサー(椎名桔平)へ、ヒロイン(深田恭子)は突如爆弾を投下する。「じゃあ、私と恋に落ちて。」「はっ?」そりゃ びっくりするよね。けどこうした言葉を放つのは、彼女自身そういった状況から生み出されるモノが、大きな力となり得ることがわかっているからだ。

power of love。化学反応の如く、AとBが触発されスパークする瞬間ってあると思う。やがて舞い落ちるカケラをかき集め、そこから自分なりのメッセージを掬い取り、文字にしていく・・・その舞台が必ずしも恋愛である必要はないが、身近で分かり易いきっかけなのは、確かだろう。

自らの経験を刻むスタイルだけでは、限界が訪れる。作家の小川洋子さん(『博士の愛した数式』原作者)も、指摘していた。「に比べて、想像の世界は無限大なのです。」だけどもね、そこで羽ばたける翼(資質)を持っていなければ、無理なんだ。「結局自分を書き続けているの。想像力のない脚本家なのよ。」こうした心持ちは、痛いほどわかる。自信満々に映っていた彼女の、それが裏の顔なのだった。

外から見た世界と実情は違う。その姿は、かつての仕事上のパートナーである男性(鈴木一真)の言葉からも、浮き彫りになる。「彼女は、孤独な女王さまだったんです。」己の才能を信じ切れず、輝きを失った時、周囲にいる人たちも離れていってしまうのではないか・・・そんな怯えの中で、心から甘えられる人を求めていたのだろうと、彼は後に気付くのだ。

自分を生かす道を見つけられるのは、幸福なことだと思う。しかし道を進むうち、時に霧の中へ迷い込んでしまったりする。そこから抜け出すのは本人次第だが、この人の声なら聴けるかなという相手が傍にいると・・・いいよね。

その場限りの優しさで、彼女が望む言葉を口にするイケメンくん(塚本高史)より、 時に反目しあっても、心からのメッセージを伝え続けたプロデューサーを、やがて彼女は受け入れていく。インスピレーションを得る糸口にと仕掛けた’虚’の恋愛から、さてどんな’実’がこぼれるのか。

「書く為に恋に落ちるんじゃない。書くことが、恋した証なんです。」このセリフは、私の心を救ってくれた。好きな道を歩んでいく上で、だからこその拘り、苛立ち、悲しみetc・・・といった感情を抱えてしまう時がある。それが引き金になって関係がこじれたり、苦い経験だって幾度かした。それでも、書き続けるのか?

美しい面ばかりをなぞれる訳じゃない。物事の本質を描こうとすれば、醜い面をさらす結果にもなるだろう。自分だけでなく、周囲もね。そんな戸惑いが- 少し吹っ切れた。 黙っていても想いは伝わらない。傷つくこと、傷つけることを恐れていては、関係を深めることもできない。人と人とをつなぐ文字という手段を、信じてみよう。

瀬戸際に立ってる女ってのは、無意識に男の気を惹くもんだ。それを愛情と勘違いしてしまう場面もあってな。よく考えることだな。(BY 北方謙三『黒いドレスの女』より)北方語録は興味深い。映画の中の椎名桔平さんに、教えてあげなくちゃ♪


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