JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

ミューズの晩餐 My essay,My life -秋風-

2011年10月19日 13時21分00秒 | My essay,My life
前回は、久しぶりに心の内をうんと吐き出しまして。あ~スッキリした。「出会った頃のじんちゃんだ~!って嬉しくなっちゃった。」なんてメッセージをいただいたのですが、ようやく私らしさが戻ってきたのかな。

さて、じんちゃんの禁酒は続いているのか?話は’断捨離編’まで遡ります。齢43にして急性アルコール中毒で病院へ搬送されたじんちゃんが、翌日の帰宅に際し禁酒を決意するくだりで終わっていたのでした。あの時の心境はね・・・ ’車の運転と同じく、自分には向いてない。もう止めよう。’中途半端に折り合いなど、つけられそうになかった。このままでは、のりぴーや小向美奈子の領域へ足を踏み入れてしまう。いやホント。私、彼女たちをまったく笑えないから。

ホロ酔いかげんのうちはいいが、どうも行き過ぎる。いつとはなしにMOTTAINAIおばけが顔を出し、グラスの酒は飲み干さなきゃ気が済まない。帰り道、足をとられて、ずべーっと転ぶ華麗な姿を、友人つながりの初対面の方々に晒してしもた。一回きりの参加になってしまったけれど、楽しかったなぁ。マリアージュ勉強会♪

互いの味を引き立たせる、ワインと料理の組み合わせ。それを意識しながら食事を楽しみましょう。こういった趣旨の下、各々のシチュエーション(イタリアン、フレンチ、中華、和食etc)に見合うワインを、講師の方がセレクトしてくださるのです。私が参加したのは四川料理の回で、コース料理をいただきながらの形式。一皿ごとにワインが変わる贅沢な環境の中、手に入り辛いヴィンテージものを中心に5~6種類を味わったのでした。

初参加で、いささか緊張していた私も 、ワイン好きの有志が集うささやかな宴といった風情に、ちょっぴり安堵、すっかりリラックス。10人弱の参加者には、いろんな職種の方がおられました。群馬にある知る人ぞ知る酒蔵へ行こうなんて話が飛び出し、好きな人の探究心ってスゴいなぁと。

講師の方には素朴な事柄から丁寧に解説をいただいたのですが、ひときわ印象に残ったのは、こんなエピソード。不作の年、厳しい条件の中で、実をつけることができた。「そういったぶどうからできたワインは、これまた一興で美味しいのですよ。」

あの時には、さして特別な機会とは感じていなかった。定期的に設けられている勉強会。その気になれば、いつでもいけるサと。しかし、2ヶ月後に訪れた機会には友人の都合が悪く、そうして私を取り巻く環境にも軋みが生じ始め、とうとう酒を止める羽目に陥ってしまった。人生何が起こるかわからない。だからこそ振り返った時に、あの一瞬のつながりが、きらめきを増すのだろうな。正に一期一会。

覚悟をしていたものの、それぞれが新たな地で家庭以外の居場所を見つけるのは、容易くなかった。どうにか歯車が回り出した・・・と思えば、まさかの停滞。夫が、ようやく見つけた職場への不安を口にし始めたのは、11月も終わりの頃だった。忙し過ぎる現場、限られた人員、下請けとして割り振られた仕事を凌いでいくだけで精一杯。「あの職場には、人の面倒を見ている余裕なんてない。」

中高年で違う業種からの転職。とは言え、まったく門外漢な訳ではなかった。作業にまつわる、ちょっとした知識や技術は、持ち合わせていたのである。だのにそれが機能しない。日常生活において私に比べればうんと器用な人が、苦戦していた。趣味の一環で手掛けるのと、生業にするのとは違う。くるくると変わる現場での状況判断や的確な対応も必要なのだ。実際に業界へ身を置いて、わかる部分があった。

「実績はチャレンジして作っていくものよ。」「結果なんて早々に出せるもんじゃないでしょう?」継続していくことからすべてが始まると考える私は、就寝前の会話や携帯電話での遣り取りを通じて、幾度となくそんな言葉を繰り返した。どこの職場であろうが、大なり小なり言い分は出てくる。労働環境、人間関係、賃金・・・何の悩みもない恵まれた人は、稀であるはずだ。しかし、こちらの説く道理が通用しない領域が存在するのも、事実なのだった。

社長自ら現場で作業に取り組む状況の中、夫は短期間で成果を出すよう求められていた。それが叶わぬとなれば、言葉の暴力を浴びせられる。体育会系であるとか、地域特有の荒くれた方言であるとか、そんな言い訳では拭い去れない感情が、夫の心の奥底に、うっすらと積もっていった。

人としての尊厳を保てぬ関係において、喪失していく自信。そういった推移は、私にもいくらか想像できた。姿形は違えど似たような経験をしている。’限られた人間の価値観に己を見失わない方がいい’ と考えるに至ったのは、欠点より長所を見出してくれる人々と、つながれたからだ。

見習い期間に一定収入をいただけたのはありがたかったが、家計の為・家族の為という名目で、双方の意にそぐわない関係を続けさせるのには、限度があった。人の為の我慢は、いつか嫌な形で爆発する。

会社、夫、妻。各々の立場が、これといった決断をくださぬまま数週間が過ぎた。いやその実、徐々にある方向へ向かって、事態は動き出していた。当事者の間で、気持ちはほぼ固まっているのである。ただし最終的な決断は、双方口にしなかった。もしかして私の了承待ちスカ!?そうして大人たちの膠着状態が続く中、娘の心にも木枯らしが吹き始めていた・・・

コメント (1)
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