④ 南 美希子トークショー
数ヶ月前にイベント企画を知り、興味をもったものの先へ進めず。そのうち学校行事や日々の雑用に流され、忘れかけていた。再び意識へ入ってきたのが、トークショー前日の朝。まだ間に合うゾ!「これも何かのご縁、行ってみよう」と、申し込んだのでした。
さてトークショーは、’GRAMOROUS’というファッション誌の編集長 藤谷英志との対談形式になっており、うららかな光降り注ぐホテルの小宴会場で、1時間ほど催されました。まぁ・・・場所が場所なんで、覚悟していたのだけど、お客さんの華々しさには、ひっくり返りそうになった(笑)。これには、ちょっとしたからくりがあったのですが。
私ね、家の書棚から南 美希子のエッセイを引っ張り出して、持参したの。折に触れ、繰り返し読んでいた作品。『男の勘違い』という1980年代後半に出版された本でした。’いろんなお客さんがいるだろうが、これを所持しているのは私くらいだ~’なんて妙な自信があり、受付でサインを頼んでみた。
「昔から南さんのエッセイを読んでいます。できましたら、サインをお願いしたいのですが。」前の人は背中を向けて会場へ歩き出していたし、後ろの人はいなかったので幸いだった。数名いたホテルのスタッフは、「そうですか。ちょっとこちらではわかりかねますので、ご本人に聞いてみますね。」との返事でしたが、本とサインペンを託して会場へ向かいました。
座席に荷物を置き、トイレへ行って戻ってくると「お客さま・・・」スタッフから本を手渡された。見開きのページに、私の名前と、南さんのサインと、日付。わ~い!即行で書いてくれていました。
すべては、他のお客さんに秘密裏に行われたプロジェクト。しっしっし。
昔から、コスメ関連に興味をもたれていた南さん。現在は、そちらの仕事が増えているのねぇ。トークショーのお客さんも、美容に関心のある方々が多く、シルク姐さん(元非常階段)の今昔みたいな気がしないでもない。話題は、やはり美容と健康がメインで、誰もが聞き易い内容となっていました。食事や睡眠についてなど。(←美容も健康も、これに尽きるのだそうです)
「ところで藤谷さんとは、渡辺淳一先生を通じて、知り合いになったんですよね。」なぬっ⁈渡辺淳ちゃんとな。「渡辺先生が、僕の跡目は彼に任せたとおっしゃるほどの色男。モテモテでいらっしゃるんですヨ。」と持ち上げる南さんだが、その言葉を石田衣良にも吐いているのは、ご存じないようで。困るなぁ~淳ちゃんは。そこここで「僕の跡目は君に任せた」なんて言うてたらアカンよぉ。
ま、勝手に任されて困惑してる人が、ほとんどだろうけど。
トークが終わると食事会。南さんがワイドショーのコメンテーターの仕事を離れてから大分経つ所為もあり、絵に描いたミーハーおばちゃんはいなかった。’今のお客さん’中心だなと思いました。元テレ朝のアナウンサーで、古舘伊知郎と同期って知ってる人いるのかね。お嬢さまや有閑マダム風も、お見かけしましたが、ずっと働いてきて退職、さてこれからの時間をどう使おうと好奇心をもって参加している方もおられましたし、忙しい仕事の合間を縫って飛び込んできた方も。
驚いたのは! 藤谷さんと南さんも、一緒のテーブルに着くのです(ただし関係者席)。そうして写真撮影タイムがあるの。私は眺める側でしたが、化粧直しに席を外した際、南さんとお会いしたので、お礼かたがたお話してきました。「あんなに古い本を持っていてくださって、ありがとうございます。」「折に触れ、何度か読み返しています。」「確かもう絶版になってるんですよ・・・」「ええーっ!?そうなんですか。若い頃と、しばらく経ってからと、受け止め方も違って面白いですね。」「内容が、ちょっと時代遅れなのね。」
バブルの時代に書かれたものだから、今には当てはまらない状況もある。しかし、タイトルになっている「男の勘違い」ぶりって、そうそう変化していないんじゃないかなぁ。内心こっ恥ずかしかったと思いますが(過去を押えられてるってね)、大人の対応をしてくれた南さんでした。はんなりしたグリーンのドレスに、アップにした髪・・・55歳はの今も華があります。
ソツなくスラスラと喋る中に、時折混じる「えへへへへ」という笑いが、少女のようで可愛かったな。
⑤ リアルCafe
ひょんなことから学校へ通い始めました。自分なりの居場所を見つけたからです。じんちゃんが生息していて不思議でない所とは・・・ じゃーん図書室なのだぁ♪現在息子の中学で、諜報活動をしておりますの(←ボンドかよ)。人が寄る所には情報も集まる。学生・ママ仲間・教師が顔を出す図書室には、いろんな情報が行き交うのです。
他県から越してきて地元や学校の様子に不案内だった私も、訪れる人々と言葉を交わすうち、何となく現状が見えてきた。今の中学生は勉強と部活に忙しく、図書室に足を運ぶ余裕などないんだね。そんな状況の中、何とか本を手にしてもらいたい。本好きの子は勿論そうでない子にも、きっかけを与えられたらなぁと、おばちゃんたちは考えているのです。例えるならば、図書室向上委員会?たかじんさんにちなみ、図書室行って委員会でもいいんですが。
当初は決していい環境じゃなかった。『ハリーポッター』シリーズは、パチられて全巻そろってない。教室からはやたら遠い。おまけに暗いし、古臭い本ばっかりだ。それでもいがぐり頭の少年が、精一杯伸びをして棚の上段にあった『羅生門』を手に取った時、じんちゃんは感動したね。 好きな子は、どんな環境であろうと、それを超えてつかみにくる。この灯火を絶やさず、つなげていこうじゃないか。
まずは何ができるやろ。おばちゃんたちは、部屋の雰囲気作りから始めました。殺風景な図書室に、ほんのりと彩りを添えてみる。折り紙で、飾りを作ったり・・・ベタな活動やけどね(笑)。他校の図書室を見学する機会があったのですが、日差しがさし込む心地良いCafeのような空間だった。
慌ただしい時間のあいまに訪れる、くつろぎの場。そういったスペースとして図書室を捉えれば、本に興味がなく接点を見い出せないという人たちにも、扉を開くことができるのではないか。
部屋の空気は、ちょっとした模様替えにより柔らかくなった気がします。腰を下ろして、おばちゃんたちとお喋りしていく生徒も、少しずつでてきました。部活のこと、友だちのこと、先生のこと、親のこと。思いを吐き出して帰っていきます。調子がいい時は、ドラマや本の話。ごくたまーに恋バナ。
魅力ある図書室になるよう、本の購入にも知恵を絞りました。’図書室に置いて欲しい作品って何やろ~’ 学生・図書のおばちゃん・教師、それぞれの立場から考えてみた。需要をにらみながら、己の趣味をさりげなく忍び込ませる(←こら)。予算には限りがありますので、どうしたら希望が通るのか、作戦を練る必要も出てきます。そうやって購入本が決まっていく過程は、楽しかったな。
アンケートを取ると、圧倒的多数の生徒から「ライトノベルを入れて欲しい」という反応がある。アニメ化された作品も多く、とっつき易いのでしょう。小説だと山田悠介(『親指さがし』『リアル鬼ごっこ』の作家ね)のホラー小説 。多くのニーズがある以上、それを無視することはできません。かと言って、何でもOKという訳にもいかないのが実情。折り合いをつけられるポイントは、どこなのか・・・大人からの視点で子どもに読ませたい作品と、子ども自身が求めている作品は、違うのよ。たぶんね。
今の子には、ダークな世界がウケている?息子を通したリサーチ(友だち関係)や図書室に来る男の子たちの読書傾向を眺めていると、そんな感触があります。文豪で言うと、太宰治や芥川龍之介。湊かなえの『告白』がヒットしたのも、わかる気がするなぁ。吉本隆明さんの『真贋』というエッセイに、読書の功罪について書かれていて、実もあれば毒もあるぞと。私はね、ダークなものを決して否定しないが、どこかで違う世界も押さえておいてほしい気持ちでいます。(好きな太宰作品で『走れメロス』が挙がると、ホッとするのねぇ)
そうそう。ちょっと驚いたのが、星新一の人気。私の学生時代から活躍されていたショートショートの作家さんですが、今の小中学生にもウケています。現役であり続けることって難しい。残っているとしても、かつてのファンに支えられている作家が多い中、星新一は違うんですよ。友人曰く、「短くて読み易いからじゃない?」。けど、それだけかな?とも感じる。何が若い世代を惹きつけるのか。赤川次郎ではなく、眉村卓ではなく、筒井康隆ではなく、星新一である理由があるはずだ。
活動にあたって、お仲間さんにも相談に乗ってもらいました。「本の紹介ポスターを作るといいよ。」という案は、担当の先生の意向とも重なり早々に実現。絵の得意な生徒たちが、思い入れたっぷりの作品を可愛らしく描いてくれました。お気に入りの本なので熱が入る。このポスターがきっかけで、購入することになったライトノベルもあったな~。
http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/4-8402-1585-5/
担当の先生はじめ、おばちゃんたちにとって、ライトノベルは未知の領域。生徒に支持されてるジャンルと言えど、我々に基礎知識もなく、どんな作品を入れたらよいのかわからない。’そうだ! 餅は餅屋!!’と、これまた別のお仲間さんに助けを求めるじんちゃん。こちらのお仲間さんは、その感性が理解できる年代だけに、学生の意向を捉えたプランを掲げてくれました。それを参考にセレクトされたライトノベルが、現在図書室に並んでいます。
それから・・・ 「図書室だより」で、いろんなジャンルの本を素敵にアピールしてはどうかという彼の案はね、私がこの手で実現させました~(爆)。どれくらいの生徒が、保護者が、目を通してくれたのかわからないけれど、息子の部活仲間からは、即反応があって面白かった。何より息子がびっくりしてた。オススメ本は一部しか紹介していないので、機会があったら、また書いてみたい。
ここのお仲間さんのアイデアが、地方のある中学校で形になった。
これも一種のコラボかな。
⑦ アントキノイノチ
独身の高齢者が病魔に冒された時、周囲は・・・親族の死を通して、いろんなことが浮かび上がった1年でした。自分なりの見送りができて、悔いはないものの、疲れた~
んっとね、じんちゃん叔父宅の遺品整理を手伝ってたんです。必要なモノ・必要でないモノを分別する、必殺仕分け人。ここでも断捨離か~。仕事関連の資料や趣味のモノから、本当に少しだけれど、叔父の人生が垣間見えました。いやはや一人の人間が生きてきた足跡って、スゴいねぇ。簡単に始末できるもんちゃうわ。食料品、衣類、生活必需品、書類、本、DVD・・・ おまけに現場の汚染度は、レベル’フォー!’(←レイザーラモンかよ)。
このね、ほとんどゴミ屋敷と化した家内の処置が大変だった。各部屋に数年間の新聞、及びその切り抜きが山積み!食卓台、ソファー、ベットの上、和室。足の踏み場もないとは、こういう状態なんだと驚いた。まったくどこで生活してたのかって感じですよ。座る場もない。寝る場もない。家中モノであふれていて、重要書類や貴重品が埋もれまくり。
一つ、また一つ、いらないモノとして処分したり、引き取り手を探したり。除けていかないことには、浮かび上がってこないのもあるので、いや~時間がかかりました。数カ月間、休日返上で頑張った。遊びの予定を入れていても、ギリギリまで叔父宅で作業。疲労困憊で現地へ向かってたのよ。トホホ。
亡くなるまでは、病に臥せった叔父の処遇をめぐり、親族が対立。
デッドヒートを繰り広げる伯父(兄)と叔母(妹)の間をかいくぐり、私にできることを粛々とやっていました。ともすれば双方から連絡が入り、争いに巻き込まれる。きょうだいなのは母なのに「じんちゃんに変わって」と。嬉しないゾ。指名料をいただきたいくらいだ。母もまたマイペースな人なので、その対応をめぐり誤解やら何やら。紐解いていこうとするのだけど・・・うーん。むちゃくちゃ労力がいる。
それぞれの立ち位置が見えた数ヶ月。’かわいそう’だけでは、やっていけないのが実情だった。終末医療の理想と現実。少しでも気持ちの良い環境で人生を終えるのが理想かもしれないが、それが可能な病院(ホスピス)は限定されるし、巡り合わせのものでもあるし、動いている人が整えようとすると、その人の手間がかかる。絵に描いたようにはいかないよ。私は・・・動いてくれる人(伯父)がいるだけ、幸せじゃないかと思った。
遺品整理を手がけた者の特権として、叔父が所有していたDVDや本を譲り受けました。古い名画のDVD(西部劇や戦争もの、スパイものを中心に)がたくさん
今にして思えば、初めて『大脱走』を目にしたのも叔父の家でした。
持ち帰った遺品のDVD上映会。まずは007第一作『ドクター・ノオ』。ショーン・コネリーのあまりのかっこよさに、ぶっとびました。頭髪が薄くなってからしか知らなかったもんで。スタイルよく、ワイルドであり、そうして意外と気品があった。ボンドと言えば、ロジャー・ムーアだと思っていたけれど、ショーン・コネリーを知ると、ロジャー・ムーアはニヤケに見えてしまう・・・。なんせ私がまともに見たのは、選りに選って’お笑い’『ムーン・レイカー』だからなぁ。
意外な拾い物は『あずみ』。以前テレビで観て、冒頭でお茶を入れに行っている間に、ファンだった瑛太が死んでしまい、「そりゃないよ~!」となった作品なんですが、じっくり観ると、なかなかよくできておる。カット割りが素晴らしいです。 上戸彩、キレイに撮ってもらってたなぁ。
今年の秋、奇しくも遺品整理業を扱った映画が公開されました。『アントキノイノチ』(岡田将生くん主演) 。この中で現場リーダーの原田泰造が、こんなセリフを吐きます。「故人の名誉を守るのも、俺たちの仕事なんだ」まったくもって、その通り。叔父のベッドの上にも、パンティー(←新品)があったしな。バラすな~。現実って、そんなモンす。現場にいた者は失笑を隠せず、伯父に至っては「なんだこりゃ~」夫と息子はぷぷっ。私「せやけど、捨てるのはもったいないね。アンタはきなよ。」娘「いや~ん」
私はね、人間らしくていいじゃないと思ってるの。でも、そんなものは受け入れられないという人もいるだろう。なので、故人への思い入れいっぱいの叔母には話していません。おそらく伯父も隠してるんじゃないかな。それがいいのか、悪いのか。ますます現実を知らない叔母が、想い出に浸り乖離していくのだけど。ピンクと白で、フリフリの可愛らしいパンティーでした。私は、はきたくともはけない。 腹がはみ出る。悪かったな!!という訳で、今年はこれにて締めさせていただきます。みなさん、ありがとう。よいお年を♪
http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=C1YutKFqtvU&feature=endscreen