JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

『グッド・バイ』 後編

2007年11月30日 10時37分00秒 | 恋バナ
 ごめんなさい。書けません。そう悟りました。生き恥をさらしただけで、終わっちゃいましたね。本当はね、好きだった彼へ最後のラブレターを、書くつもりだったんです。大まかな内容も結末も決めていましたが、ここへ来て、ふっと、もういいやって思いました。おそらく彼も、望んでいないでしょう。今思えば、それまでのエッセイやブログね、いろんな想いを残しておきたかったから書けたんだなぁって。今はもう、あの内容は書けません。気持ちは、刻々と変化していきますものね。でも、愛情がなくなった訳ではないんですよ。ただ、ただ、疲れた。

 タイトルの『グッド・バイ』というのは、太宰治の作品から拝借したのですが、恋の話なんです。恋多き男が、それまでの関係を清算すべく、それぞれの女に別れを告げに行く。勿論、相手も簡単には引き下がらないだろうとふんで、あのテこのテを使って切ろうとする。しかし、その根底にあるのは、いたわるような、あやまるような、優しい、哀調に似たグッド・バイ。難しいですねぇ。別れさせ屋の役割を務める女が「いやになったら、ふっとそれっきり逢わなければいいじゃないの。」と言えば、「そんな乱暴な事はできない。相手の人たちだって、これから結婚するかも知れないし、また、新しい愛人をつくるかもしれない。気持ちをちゃんときめさせるようにするのが、男の責任さ。」と返す。「ぷ!とんだ責任だ。別れ話だの何だのと言って、またイチャつきたいのでしょう?」なんて挙句にツッコまれる訳ですが・・・半世紀以上前に書かれた作品とは、思えないでしょ。でも、恋愛における場面場面の心理状態なんて、案外昔っから変わっていないのかも。

 この作品は、ユーモア小説なんです。太宰らしくないクスクス笑えるような描写が、そこここにあります。けれど、遺作ということで有名で、タイトルを拝借した私のエッセイの内容が『人間失格』ばりに暗かったものですから、心配した友人たちが「遺書のつもりか」と。勝手に殺さんといてくださいな。残念ながら、まだ死にませんよ。折角助かった命、自分で幕を引く訳がないじゃないの。

 中編でも書きましたが、コソ泥と格闘、首を絞められまして死ぬかと思ったことがあるんです。もうちょっと長く絞められていたら、本当に危なかった。気絶したふりをして助かりました。その時からね、人生観が変わったんですよ。死というものが、すごくリアルに自分へ迫ってきた。遠い先の話と高を括られへんなぁと。明日死ぬことだってあり得ると。だから、悔いのない人生を生きたい。それとね、物事を長いスパンで見るのが、どうも苦手になりました。だから恋愛も、ちょっと刹那的で、生き急ぐ傾向があるんです。今、この想いを伝えたい、っていう気持ちが強い。1ヶ月先には、自分の気持ちがどうなっているかわからないから。彼との恋愛も、そんな状態で進めようとしていた気がします。早く次のステージに進んで、行き着く所まで行って、また友達へ戻りたかった。期間限定の恋だと思っていましたから。結局、恋も友達も失いましたけど。

 ちょっと悔しいのはね、一度お別れして、その後まだ気持ちが残っていて、お互いに歩み寄ろうとしていたのに、あと一歩が踏み出せなかった。それでも関係修復へ向けて不器用に進んでいましたが、そんな状態の時に、とってもアホな事を言ってしまったんです。「私の中には、天使と悪魔がいる」と。だって、あまりに私という人間を、信頼していたんだもの。そもそもの恋の始まりから。それで、私がどういう人間か本当にわかって近づこうとしてる?と、警告を入れました。ちょっと危なっかしく見えたものだから・・・。でも、彼は気づいていたかな。自分の中にも、悪魔がいたこと。

 最近、男ってやつぁ!と考えることしきり。お仲間さんに「ズルくもある一方で、何であんなに純情なん?何であんなに寂しがりやなん?」と、ぶつけてみました。「それは、じんちゃんが気になる男がそういうタイプなんで、そういう風にみえない女子もいる訳さ。ご自分でもわかってる通り、寂しがりやで純情な(そうな?)男に心ときめくのでしょう。」と、返ってきました。むむ・・・普遍的に捉えていたんだけどなぁ。このページに出入りされてる方もね、そういう方が多い気がしてたんですよ。匂いを嗅ぎつけて来るのかしら。しかし、’そうな’が気になるわ。純情の皮をかぶった何なんでしょう。聞いてもいいですか?変態と答えられる方がいそうなので、これは先に言っておきましょう♪別のお友達からはね、「男って、そんなにカッコいいものじゃないよ。子供っぽかったり、意外と気が小さかったり」 と。深く付き合う程、そういう本質的なものが見えてくるのならば、いい潮時に引いていたのかもしれません。まだまだ最強の彼が、胸の奥の聖域に君臨し続けていましたから。

 彼との別れを思い出すと、未だに胸がキリキリと痛みます。こんなに後々まで、辛い思いをすることになろうとは、夢にも思わなかった。人との別れというのが、どういうものかわかっていなかった。かわいそうなことをしたなぁって、思っていることがあります。友達関係でも、よしよしできたんですよ。ホントは。意地悪だったかな。でも、私も意地悪されたから。 おあいこよ。少し心が黄昏ていた時、今までキャッチしなかったものが、さぁ~っと入ってくる様になりました。そんな中、新しい出会いがありました。つかんだ言葉がありました。辛い思いをしたからこそ、わかったことがありました。彼が最後に投げていった渾身のボール、大切に大切にしてきたけれど、もういいよね。道ならぬ恋だったからこそ、選ばれし少数派でいたい。手垢にまみれる前に、ドロ沼に陥る前に、引き下がれてよかったと。そう思って、グランドに置いていきます・・・

 誤解するなよ。恋の舞台まで、グッド・バイしませんから〜! ’魅惑の人妻’恋人枠永久欠番 撤廃!!(←コワくて誰も近づかんと思うわ。てへっ)


『グッド・バイ』 前編

2007年11月06日 16時13分00秒 | 恋バナ
 恥の多い生涯を送ってきました。とは太宰治『人間失格』の冒頭だが、この言葉を思い出す度、うつむいて赤面せずにはおれない。今現在も、このCafeにおいて恥の上塗り街道ばく進中だが、OL時代の私に比べれば、かわいいものだろう。’昔の事なんて、とてもここでは書けませ~ん。’ そんなお仲間さんが周りにちらほら、決して少なくない人数いる。それは、ちょいとイケない事だったり、みっともない事だったり、はたまた辛い事だったり・・・誰しもそうやって大人になっていくんだね♪

 さて、魅惑の人妻の原点は、同じ部署(総勢100名ちょい)の約5分の1の男性社員とこっそり(という訳ではないが、言う必要がなかったので言わなかっただけ)食事へ行っていたことだろうか。やましい事はないで!いや、若干1名あったかな・・・。この先輩には、真面目に恋して初めてのキスを許したのに、どうしても思い切れない女性がいるという訳でフラれた。 バカヤロウ!もっと早くに言いやがれ!おまけに永遠の妹分としての、いらぬ勲章までいただいてさ~。常連さんは、もうご存知ですね?そう、あの言葉でございます。さぁ、皆さん一緒にご唱和を♪「君のことは好きだけど~愛していない!」。泣いてる私を新宿駅のホームへ続く階段に残し、去って行きましたよ。男性諸君。 置き去りにされる女の子の気持ちが、わかりますか?寄り添って欲しかった人に見放された時の、果てしない絶望感が。どんなに想う気持ちがあっても、どうにもならない事があるって、嫌という程思い知った。こんな洗礼を受けているから、尚の事 、私は恋にこだわるのだろう。相手を想い、気持ちが返ってくる喜び。’求めない’なんて最初から言いたくはない。

 先輩が愛していたのは、人妻だった。客先の社員さんで、キレイで性格もよくって、女の私から見ても非の打ち所のない人だった。そんな彼女を、独身の頃から想い続けていたらしい。バッカじゃないのぉ!彼女の目に映る先輩は、あくまで’one of them’。周囲にいる人間の一人でしかない。それでいて、何故そうもこだわり続けるのか。一体いつまで、決して報われる事のない、その想いを抱えて生きていくのか。すぐそばに、これ程あなたを想ってる私がいるのに。こんなヤツもう現れないかもしれないよ・・・。先輩にフラれた日から数ヶ月、虚しい感情を抱え続けた。そうして心持が少し明るくなり始めた頃に、宴会の席で、とんだ大失態をやらかした。

 その宴会の記憶は、途中までしかない。気がつくと、病院へ搬送されるタクシーの中。「うっ気分が悪いです・・・」「運転手さん、ちょっと止めて。もう吐くものはないと思うけどな。」リーダーの声だった。次に気づいたのは、病院のベッドの上。トイレへ行きたくなって、点滴の器具をがらがら引きながら移動した。フラつく私を、先輩社員の奥さん(社内の花形だった)が、抱えるようにして連れて行ってくれた。お察しの通り、急性アルコール中毒だったのである。学生でもない、新人でもない、そんな身の上で周囲に迷惑をかけまくった。

 4人の人間が、この騒動に明け方まで付き合う羽目になった。しかし、その中に私が想いを寄せていた先輩は、いなかった。そりゃそうだよねぇ。あの時、私を置き去りにした人だもの。同僚としても、お付き合いいただけなかったか・・・軽い落胆を感じた。一体私は、彼の中で、どこまでその存在が堕ちていくのだろう。所詮そこまでの気持ちだった。本当はわかってる。けれど、それを認めるのはとても辛かった。

 「お前を三途の川の一歩手前から引きずり戻したからな。」 と言ったリーダーは、私の大失態について緘口令を敷き、おかげで当時の宴席の状況は、本人だけが知らないのである。謝罪ついでに、「失礼はありませんでしたか?」とチームのみんなに聞いたのだが、「さぁ、自分は隣じゃなかったから」と、口をそろえて言う。そんなバカな。こりゃあ、酔ってのびていただけではあるまい。何かとてつもないことをやらかしたなと感じたが、それ以上探るのは止めにした。せっかくのご好意、甘えようじゃないか。実はこの後、好奇心の強い同期が、チーム内の人に聞きだした結果は、「やっぱりあなた知らない方がいいわよ」。それって、感じ悪くないスカ~?

 私だから、あなたを好きになったんです。 ちょっとかたくなで、人として不器用だったあなたを。あの時フッたこと後悔してるでしょ?してるよね。していてね・・・。そう思わせてください。それだけが私の自負ですから。そんな風に思い続けていた愚かな私に、グッド・バイ。