「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

NHK-BSドキュメンタリー「宿命のライバル・マドリッドVSバルセロナ」に想う

2013年10月10日 18時30分04秒 | サッカー文化

昨日、10月9日、NHK-BSで「宿命のライバル・マドリッドVSバルセロナ」という放送があった。

アレッ、再放送じゃないのかなぁ、と思いつつ観たら2002年フランスのテレビ局制作となっていた。ということは、ずいぶん前の放送だなぁ、と思ってネットで検索してみたら、今年1月2日にも放送されたようだ。この時も朝5時からの放送なので再放送に違いない。

2002年あたりから、時々放送しているということだろうか?

あらためて観て、2つの想いが湧いた。

一つは、番組の最後のほうで、当時まだ選手だったグアルディオラが「バルセロナにもレアル・マドリッドにも世界のトップクラスのスペイン人選手がいるが、スペイン代表としては、あまり結果を出せていない。これは、スペイン代表としては、あまり気持ちが入らないためではないか」とコメントしている。

確かに、長らくスペイン代表は「無敵艦隊」と言われながら、ワールドカップでも欧州選手権でも期待を裏切り続けてきた。

しかし2008年欧州選手権を制覇して以降5年間、いまだにスペインは世界の頂点に君臨している。これについて、何が変わったのか、どう変わったのかレポートしているものを観たい。

なにぶん、2002年制作の番組だから、まだスペイン代表は期待を裏切り続けていた時期だ。

そして、もう一つは、日本サッカーにおける宿命のライバルはあるのか、ないのか?

マドリッドとバルセロナのような、世界中の人たちから見ても「そうだなぁ、宿命のライバルというのはこういう関係を指すんだよな」と思えるが、これほどのハイレベルな関係、あるいは、これほどの歴史的な相克を背景にした関係は、他の各国を見渡しても、なかなかない。

イタリア・ミラノの2チーム、同じくトリノの2チーム、ローマの2チームなども、ダービーとして盛り上がるライバル関係ではあるが、背負っているものの重さから言ったら、スペインの2チームの比ではない。

日本には、イタリアの各ダービーに匹敵するほどのライバル関係すら見当たらないから、むしろ、これからの長い歴史の中で、そういうチーム同士が生まれてくるかどうかというところだろう。

Jリーグ20年の歴史をリードしてきたのは鹿島である。鹿島にはジーコという伝説となったシンボルがある。この先Jリーグで、ナショナルダービーと呼ばれるような関係が生まれる場合、今後20年ぐらいの中で、鹿島と同程度の実績をあげるチームが出ることが一つの条件になる。しかも、そのチームを強くしたカリスマが出ることも必要だろう。

その場合、20年間、鹿島は、そのチームの後塵を拝することになるが、その後、覇権を奪回する時期が到来したら、その時一つの関係が生まれるに違いない。20年後、鹿島ともう一つのチームが激しく覇権を争う時代が来たら、それは立派なライバル関係と言えるだろう。

10年前、鹿島と磐田が交互にJリーグ王者に就いた時期があったが7年で終焉した。磐田が、誰かの力によって復活して、ふたたび鹿島を凌駕する時代が来たら、というのも一つの楽しみだ。

Jリーグでもう1チームあげるとしたら名古屋であろう。名古屋は、この20年でストイコビッチ(ピクシー)というカリスマを得た。そのストイコビッチはチームを離れることとなった。これまでのところ、チームにピクシーイズムといったものが植え付けられたようには見えない。また、ストイコビッチによって「名古屋のサッカー」といったものが確立したようにも思われない。

もし、ストイコビッチが去ったのち、名古屋にピクシーイズム、名古屋のサッカーなるものが現れ出て鹿島を凌駕する時代を築いたら、という楽しみがないではない。なにしろ、名古屋は1993年5月16日の両チームにとっての歴史的なJリーグ第1戦、ジーコのハットトリックを含め5-0という屈辱的大敗を喫した試合からリーグの歴史がスタートしている。永遠のライバル足りうるドラマ性をはらんだチームなのだ。

国・地域の代表チーム同士の関係はどうだろう。世界レベルだと、ブラジルVSアルゼンチンなどはライバル関係にあると言えるが、ブラジルはW杯5回優勝の我々と2回のアルゼンチンでは、まだまだ比べ物にならないと言うたろうし、アルゼンチンにも、やや控えめな態度が感じられる。

コパ・アメリカではアルゼンチンの14回優勝に対してブラジル8回だから遜色ないようにも思えるが、コパ・アメリカでは最多優勝がウルグアイの15回というから、欧州選手権と同様には考えられない面があるかも知れない。

欧州では、よくドイツとオランダが西ドイツ時代から因縁の試合を続けてきているが、ドイツでプレーするオランダ人選手も多くなっていることから、因縁は薄れてきているかも知れない。

さて日本代表と言えば日韓戦が一つの関係にはなっている。しかし、これが「宿命のライバル関係」と言えるのかどうか、さっぱりわからない面を持っていることも確かだ。

だいたい韓国のほうは、いまも「サッカーに関しては我々のほうが歴史も実績もはるかに上を言っておりライバルなどとは思っていない」というに違いない。その時点ですでにおかしくなってしまう。そう言われてまでライバルなどとは思いたくもないし、この先、日韓戦で圧倒的に日本が勝ち続けたり世界大会で好成績を収めても、相手は「ライバルにふさわしい実力をつけた日本」と思いたくないだのだろう。

ただ、いざ試合となると、スタジアムにおける韓国の応援などは、明らかにライバル心むき出しの、さまざまな困った状況があとを絶たない。だから、さっぱりわからなくなるのだ。

マドリッドとバルセロナの関係と、日韓の関係とは、どこが同じで、どこが違うのか、どなたか、正鵠を射た論評をしておられる方がいたら、ぜひ知りたいと思う。

それにしても、このテレビ番組の中で、取材を受けていた何人かの人が言っていたのは、メディアの肥大化によって、ライバル関係が増幅されて喧伝されている面がある、という点だ。

我々が、このように番組を通じてマドリッドとバルセロの関係をつぶさに知ることができるのもメディアのおかげなのだが、いたずらに増幅された姿で伝播している可能性も大いにあるに違いない。

けれども、カタルーニャ地方の立場と首都マドリッドの関係、マドリッドの伝説ディ・ステファーノと、バルセロナの伝説ヨハン・クライフという、それぞれのクラブに存在するシンボル、さらに10年以上の単位で交互にスペインの覇者、さらには欧州の覇者の時代を築き続けてきた両クラブの歴史、そして現在も、世界の5本の指に数えられるビッグクラブとしてリードしている事実。

これほどの関係というのは、まさに「壮大なフットボールの世界」だからこそ生み出される関係と言っていい。だからフットボールを愛する者にとってはたまらない。100年を経て築きあげられた関係だと思えば、日本はまだ80年早いということか・・・・。

そんなことを想ったテレビ番組だった。

コメント
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