「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

コパ・アメリカ、欧州CLそしてJリーグの明日を思う

2015年06月15日 19時10分52秒 | 世界のサッカー
世界のサッカーカレンダーは、サマーバカンスに入ったばかりだが、今年は少し趣きが違う。

まず、総本山のFIFAがスキャンダルに大揺れで、しばらく機能不全に陥りそうだ。

つぎに、大会関連で、今年のコパ・アメリカがいつになく熱い。欧州各国リーグに所属するスター選手の、いかに多くがコパ・アメリカ出場国の選手であったかが、今更ながらわかる。

コパ・アメリカに出場しない欧州リーグのスター選手をあげたほうが早いかも知れない。クリ・ロナ、ロッベン、ファンペルシー、ルーニー、ノイアー、ゲッツェ、イニエスタ、ピルロ、そんなところではないか。

バルセロナの3トップをはじめ、レアル・マドリーそしてユベントスの10番が南米組だ。ただバルセロナのルイス・スアレスが出場停止なのは本当に残念だ。そのルイス・スアレスの国ウルグアイは2010年南アフリカW杯で、強力3トップを擁してベスト4に進出、中心のディエゴ・フォルランは得点王、大会MVPに輝いている。

そのウルグアイ代表にあって、フォルラン引退、ルイス・スアレス出場停止の中、残ったカバーニがどれだけ暴れてくれるか。また、ブラジW杯で日本と対戦したコロンビア代表の中で、ケガのため選考から外れたファルカオの活躍にも期待している。

逆にこれまでスター選手の宝庫といわれてきたブラジルに、ネイマール以外目立った選手がいないのは、大異変といっていいだろう。ベスト4にどこが勝ち上がるか楽しみだ。

しかし、心配なことが一つある。ケガだ。コパ・アメリカに出場する多くの選手が、昨年6月のブラジルW杯を戦ってから、少しの休暇を経て各国リーグに散り、長いシーズンを戦った後、またコパ・アメリカだ。

メッシ、ネイマール、ハメス・ロドリゲスといった世界サッカー界の宝物が壊れてしまわないか、心配だ。この3人を含め、何人かは次のシーズン、ケガに悩まされることは疑いない。彼らは殺人的な試合数をこなしている。

以前から指摘されながら、なかなか改善しない問題だ。今回のFIFAスキャンダルの結果としての改革が、選手の保護という視点からも進むことを切望している。今回、FIFA理事に選出された日本の田嶋幸三氏には、この点について遠慮せずリーダーシップを発揮していただき成果をあげて欲しい。

もう一つのナショナルチーム大会が女子W杯。我らが「なでしこジャバン」が前回優勝国として出場するのは鼻が高い。日本が活躍することだけは望んでいないであろう某隣国は、果たしてどの程度活躍するだろうか。

私は、なでしこジャパンが連覇できるとは思っていないがベスト4には勝ち上がって欲しいものだ。がんばれ!なでしこジャパン。

さて、決勝が終わってから、ずいぶん日数が経ったが14~15欧州チャンピオンズリーグにも触れたい。当初の私の期待は、やはりスペインリーグの3チームだった。13-14シーズンは、ベスト8でアトレチコとバルセロナがつぶし合ったので、今シーズンこそ、この3チームがベスト4に残ればいいなと思っていたら、またもやベスト8でマドリッド同士がつぶし合った。

ベスト4は、バルセロナvsバイエルン、レアル・マドリーvsユベントス、スペインの2チームと2つの名門チーム、まぁ申し分ない組み合わせといえる。

そして決勝はバルセロナvsユベントス、結果はバルセロナの順当勝ちといったところか。

ただ、バルセロナの勝ち方は、確かにイメチェン路線だった。昨シーズンまでの、どんな狭いスペースでも繋ぎ切ってしまう、メッシを中心とした、イニエスタ、シャビ、アレクシス・サンチェス、セクス・ファブレガスらのメンバーによるパスサッカーから脱皮した。

それを1年でやり切ってしまったルイス・エンリケ監督は凄いという話になる。近年のバルセロナを確固たるチームにしたグアルディオラ監督、昨年取り上げたアトレチコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督に続き、リーガ・エスパニョーラの監督というのは、どんなに才能の宝庫なんだろうと思う。

もう一つ、ユベントスのことも印象的だった。辛口で鳴らすイタリアメディアもユベントスの健闘を讃えたという。それが正直な感覚というものだろう。

長くささやかれてきたカルチョの世界の疑惑が白日のもとにさらされ、その元凶としてユベントスはセリエB落ちというペナルティを受けたチームだ。

そうした中で、アレッサンドロ・デル・ピエロ、ダヴィド・トレゼゲ、ジャンルイジ・ブッフォン、パベル・ネドヴェドなどが残留して、06-07シーズン、セリエBを1年で脱出したことが大きかった。

それでもユベントスがしばらく欧州リーグ戦から消えたことで、イタリアサッカーの地盤沈下が進んだことは否めない。インテル・ミラノがモウリーニョ監督を擁して09-10シーズンの欧州チャンピオンズリーグを制したと言っても、イタリアサッカーの復権とはみなされていない。

ユベントスは、10-11シーズンに、アントニオ・コンテ監督が就任して、それまで5連覇を続けてきたインテルからセリエAのスクデットを奪還すると、その後は一度も覇権を渡さず4連覇している。

そうした実績の延長戦上に、今回の欧州チャンピオンズリーグ決勝進出があると思うのは、イタリアメディアも同じだろう。

ユベントス決勝進出で思うのは、よくぞ、這い上がった、よくぞ戻ってきたという感慨だ。戦力的にバルセロナに勝てそうな感じではない。しかし決勝のピッチに立った。

監督アッレグリが、稀代の戦略家であれば、奇策を用いてバルセロナの足元をすくうこともあるかなと思ったが、結果は「やっぱり」だった。

けれども、ユーベ、よくやった。ということだ。

私は、ついつい、これを日本のサッカー界に置き換えて考えてしまう。

たとえばJ2落ちという屈辱を、いまや「Jリーグオリジナル10」と呼ばれるチームも次々と味わっている。

名門の名をほしいままにしたチームが二部落ちした時に、どう立ち直るか。おそらく、一つの大きなカギは1年で脱出することだと思う。オリジナル10、つまり、1993年のJリーグ発足当初の10チームのうち、浦和、広島、G大阪はJ2落ちしても、すべて1年で脱出しているが、市原(現・千葉)、ヴ川崎(現・東京V)は1年での脱出がない。

その結果、千葉(旧・市原)と東京V(旧・ヴ川崎)は、J2が指定席になってしまうのではないかと心配される現状だ。どちらも名門中の名門にもかかわらず。

では、1年で脱出できる要因は何か? 幾つかあげられるだろうが、一番はユベントスのケースでもわかるように、主力選手の残留そして、何がなんでも1年で脱出するというチームとしてのエネルギーではないだろうか。

だとすれば、そういう危機の時、主力選手をして「このチームに残るんだ」と決意させるだけの「チーム愛」を育んだチームかどうかという話になる。つまり名門だとか強豪チームといった看板ではなく、組織としてのチーム、選手という人間の集合体であるチームに、常日頃、どれだけ
「チーム愛」という血が通っているかという話になる。

Jリーグ草創期のヴェルディ・マリノス時代のあと、アントラーズ・ジュビロ時代という時期があった。アントラーズとジュビロ、どちらも「チーム愛」を大切にしているように見え、これから長きに亘りJリーグの覇権を競う両雄であり続けるのではないかと期待したが、なぜかジュビロが脱落した。

ジュピロには、ゆるぎない「チーム愛」は育まれていなかったのか? 正直、私は落胆した。アントラーズとジュビロ、両雄であって欲しかったのに、それが叶わなかったからだ。

Jリーグの歴史は、まだ20年ちょっとだ。これから30年、50年、100年と悠久の歴史を重ねていく。その中で、長きに亘り覇を競う両雄と言われるチームがどこになるのか、結局、いまのところは、まだ出てきていないということか。

バルセロナとレアル・マドリーのような2強形になるのか、あるいはユベントス、ACミラン、インテルのような3強形になるのか、あるいはマンチェスターU、リバプール、アーセナル、チェルシーのような4強形になるのか、という楽しみもある。

今年の欧州チャンピオンズリーグを楽しんだ中で、このように、いろいろなことを感じた。

さぁ、男子日本代表は、いよいよロシアW杯出場を懸けて長い道のりに歩み出す。なでしこジャパンは連覇への道をひた走る。

私たちに多くの感動とワクワク感をもたらし、また、いろいろな「考える材料」を提供してくれるサッカーの世界、過去、現在、未来が途切れることなく繋がっている、この壮大な世界を、体感し続けたい。



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